ロードレースで結果が出ない理由【前編】
ロードレースで結果が出ない!FTPは高いのになんで!?という方、本当に多いと思いますが、なぜこんな現象が起こるのか。
競泳、陸上、そして自転車競技を経験したからこそ、ロードレースという競技にだけ潜む特殊性になんとなく気付いたことがあります。
語られることが少ない内容ですし、本当は私もあまり人に話したくない内容です。ですが、文字に書き起こすことで、更に頭が整理できて新たな発想が生まれたりするかも知れませんし、思い切って書いてみたいと思います。
他の競技を考える
まず、ロードレース以外の競技を考えた時に、周りの選手と比較して選手の能力が高いのになかなか勝てないという現象はそれ程発生しないと思います。
競泳、陸上で考えても、ベストタイムが早い選手はかなりの確率で勝ちますし、ウェイトリフティングやベンチプレスでも、ベスト記録が高い選手は安定して勝ちます。
ロードレースは個人競技ではなく、チーム競技だからだ!という声もあるかも知れませんが、ハッキリ言ってアマチュアのレースはチームとして機能なんてしていませんし、極めて個人競技であると考えています。
その要素も多少はあるかも知れませんが、私が考えているのはそういうことではありません。強いというのは1つの重要な要素ではありますが、もう1つ大事な要素があると考えています。
FTPをはじめとした強さの指標
ロードレーサーの中でよく語られるパワーを指標とした強さの比較。
FTP
瞬間最大パワー
パワーウェイトレシオ
等々。これらは間違いなくその選手の強さを表すものです。
これを否定するつもりではありませんのでご安心ください。私が以前書いた、エアロビックトレーニングに関することも、この強さを向上させるためのベーストレーニングの一種です。
まず、ロードレースを戦う上では、選手自体の強さを伸ばすことは最重要であるということは、私としても間違いないと考えています。
ここまでは皆さん色んなことを考えてやられていると思うんですが、それをレースでうまく発揮できない!ここにロードレースの特殊性があると思っています。
競泳から学ぼう
先に書いた種目の内の1つ、競泳を例に私なりの解説をしていきたいと思います。
競泳には、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形(クロール)という四泳法があります。これは競泳の経験のない皆さんでもご存知だと思います。
これに加えて、上記四泳法を順番にこなす、個人メドレーという種目があります。ロードレースはこの個人メドレーに近いということを説明していきます。
運動メカニズムの違い
自転車が速いという選手の中でも、平坦スペシャリストやクライマー、あるいはオールラウンダーといった感じで、得意なシチュエーションがそれぞれにあると思います。
平坦とヒルクライムでは、自転車に跨りハンドルに手を置いてペダルを漕いで進むという見た目は同じでも、そもそもの運動メカニズムが違うので、得意不得意が出てくるのは当たり前と言えば当たり前です。
これは、バタフライ専門の選手が平泳ぎが苦手だったり、自由形専門の選手が自由形以外はそれ程得意ではなかったりするのと同じことです。
※この傾向があるわけではなく例えとして挙げています。
能力は適性をある程度補う?
もちろんバタフライで全国大会に勝つレベルの選手は、苦手とは言え平泳ぎを泳いでもその辺の選手よりは速いです。
私の例でも、バタフライで全国大会で優勝した中学1年生の時には、苦手だった平泳ぎでもギリギリですがジュニアオリンピックの標準記録は突破していました。
皆さんもよくご存知のマン島の超特急、マーク・カヴェンディッシュ選手のようなトップスプリンターを相手にヒルクライムで戦っても、日本のほとんどのヒルクライマーがやられると思います。
この比較でも分かる通り、競泳の種目違いと自転車競技のシチュエーションの違いというのは、極めて同じような現象が起こるということが言える訳です。
個人メドレーはリザルトが荒れる?
では、バタフライが得意な選手、背泳ぎが得意な選手、四泳法をそつなくこなせる選手等が個人メドレーでレースをした時、ロードレースのように泳ぐたびに勝ったり負けたりするのか?という話になりますが、もちろんそんなことはありません。
やはりベストタイムが早い選手が何度やっても高確率で勝ちます。それはなぜか?当たり前と言えば当たり前ですが、400m個人メドレーであれば必ず各種目100mずつ、しかも順番もバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形ということが決まっています。
では、ロードレースは?
ここにロードレースの特殊性があります。競泳の個人メドレーとは違い、ロードレースでは平坦の距離、立ち上がりの回数、ヒルクライムの距離や回数、それらが出現する順番、これらが同じコースでやらない限り、同じフォーマットになることはありません。
よく、『広島のコースは相性良いねんけど、美山は苦手やねんなぁ・・・』というような感じのことを聞きますが、実に惜しいところまでいっていると思います。これがなぜかというところに思いがいけば、答えは出ると思います。
個人メドレーの特殊フォーマット
例えば400m個人メドレーで、今回は特別ルールで開催しますというようなことがあったとしましょう。以下のようなフォーマット、
①150m背泳ぎ
②50m自由形
③150mバタフライ
④50m平泳ぎ =400m個人メドレー
こんな形で開催されることが決まったとします。
皆さんだったらいつもと同じトレーニングを繰り返しますか?もしそうだとしたら、少し頭を使う訓練をした方が良いと思いますwww
まず、トレーニングのボリュームのうち、背泳ぎとバタフライの比重を増やすこと、それと同時にバタフライの前に背泳ぎ⇒自由形からの切り替えでバタフライにつなぐ練習、最後の疲れ切った状態で泳ぐ平泳ぎを何度も体験して、それらのフォーマットに慣らしていくんじゃないでしょうか?
このようなケースは本来競泳では有り得ないわけで、元々フォーマットが決まっていますから、常にそれに合わせたトレーニングをすれば良く、それ以外を考える必要はありません。
ロードレースは常に特殊フォーマット
ですが、ロードレースは毎回全然違うフォーマットなんです。ここに【アジャスト(適応)】させるという能力が重要な訳です。
狙っている大会のために1ヶ月以上前に試走にいき、『アカンは!なんかここ俺向きじゃないわ・・・』とか言ってる場合じゃないんですwww
そのコースを見ても、いつもと同じようにFTPの上昇を目指して同じトレーニングを続ける・・・。頭を使うのはそのタイミングなんです!
そのコースの構成要素を自分なりに分析し、2時間のレースであればどういう運動構成になるのかを理解し、それに身体をアジャストしていくことが重要な訳です。
息子は苦手なコースがない?
息子が選抜やインターハイ、全日本選手権でもだいたい同じようなリザルトで走っていましたが、それを見て『あまり苦手なコースとかないんですねぇ』とよく言われました。
それは、レースの前にコースレイアウトを分析したり、行けるところは実際に試走したりして、その内容に身体をアジャストしていたからというのが、私なりに辿り着いている理由です。
だけど、それが10位前後のリザルトばかりというのは、元々の実力(FTP等)が勝つレベルの選手まで足りていないことを同時に表しています。
どちらも同じように大切
皆さんが普段取り組んでおられる実力を上げるトレーニングをすることは、全ての基本となりますので、それをまずは作り上げることが第一段階です。
それを生かすためにアジャストするという概念を取り入れることができれば、レースでかなりの力を発揮できるようになるのではないかと思います。
分析をする上での要素や、それに対してどうするというような具体的な細かい内容は書き切れていませんが、文字数が既に3000字を越えてきましたので、今日はここらで一旦切り上げます。
本日も長い文章にお付き合い頂きありがとうございました<(_ _)>
私としてはかなりの肝の部分を書いたつもりですが、いかがだったでしょうか?
皆さんからの反応が良ければ、少し突っ込んだ内容も書いてみたいと思っていますので、参考になったという方は【♡】ボタンを押してお知らせ頂けるとありがたいです(^^♪
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