1㎞タイムトライアルの衝撃!
昨日閉幕した、第93回全日本自転車競技選手権大会トラックレースですが、息子もエリートカテゴリーで、スクラッチとオムニアムの2種目に参加させて頂き、圧倒的な中距離ナショナルチームの力の前に、何もできませんでしたが、本当に勉強になったレースでした。
速いのはもちろん、その速度域がずっと続くという異次元の走り。ジュニアでは到底体感することのできない新境地!これを体感できたことは、本人にとっても更に大きく飛躍するきっかけとなると信じています。
さて、その話はそこそこに、今回私的に一番衝撃を受けたのは、窪木選手と松田選手が出場した、1㎞タイムトライアルでした。2人共中距離選手とは思えない素晴らしい走りでしたが、特に窪木選手の走りの中から新たな発見があったので、今回記事にしてみたいと思いました。
スプリントにも参加
ご存知の方も多いと思いますが、中距離ナショナルチームでエース格の窪木選手ですが、競輪選手として公営競輪でも活躍しておられます。
ですので、短距離種目に参加するのが不思議なことではないんですが、自転車競技としては中距離選手のスプリント参加というのも、とても興味深いと思っていました。
結果は16位まで予選通過のところ、惜しくも17位で予選敗退とはなりましたが、それでも10秒500という記録でしたので、流石だなと感じていました。
短距離選手との比較
優勝者のラップタイム
今大会優勝したのは、昨年まで中央大学のエースで、現在は日本競輪選手養成所でトレーニングを続けている市田龍生都選手でした。
優勝タイムの1分00秒539は、新田選手の大会記録を更新するという走りでしたので、まさに1㎞の王道チャンピオンだと思います。
ちなみに市田選手のスプリント予選での記録が、9秒944でしたので、これも参考にしたいと思います。
その市田選手の250m毎のラップタイムは以下の通りでした。尚、タイムの後の%については、スプリント予選のハロンのタイムと単純比較したものです。
250m:18秒772 ※188.78%
500m:31秒934(Lap:13秒162) ※132.36%
750m:45秒659(Lap:13秒725) ※138.02%
1000m:1分00秒539(Lap:14秒880) ※149.64%
※後半500m:28秒605
スタートからのスピードも当然素晴らしいですが、ラストの250mも短距離選手の中ではかなり粘っている印象です。短距離選手が目指すべき走りがここにあると感じました。
昔から言う、『前半から突っ込めるだけ突っ込んで、最後は我慢!』を絵に描いたようなデータかなと思います。
窪木選手のラップタイム
これに対して中距離エースの窪木選手のラップタイムですが、非常に興味深いデータになっていますのでご覧ください。
250m:20秒097 ※191.14%
500m:33秒834(Lap:13秒737) ※130.83%
750m:47秒460(Lap:13秒626) ※129.77%
1000m:1分01秒578(Lap:14秒118) ※134.46%
※後半500m:27秒744
何が凄いって、3周目が1番早いラップになっているという点もそうですが、最後の1周の粘りが短距離選手と比較すると異次元です!
こんなLapの刻み方でタイムが出るということが本当に驚きでしたし、中距離選手の1㎞の走り方の大きなヒントになったように感じました。
なぜこんなLapになっているのか?
このLapを見て皆さんはどのように感じられたでしょうか?『前半抑えて後半勝負?』そう感じられた方が多いのではないかと思います。しかし、私は少し違うことを思いました。
窪木選手に伺った訳ではありませんし、全く私自身の個人的な仮説になります。同じように感じるかどうかは分かりませんので、あくまでも私が思ったことということを改めて強調しておきます。
1周目に上げられるから短距離選手?
市田選手も窪木選手もやはりスタートからしっかり突っ込むつもりで入っていると思います。短距離選手は遅筋に対して速筋が優位ですから、そこに対しての適性が高く、無理をせずとも一気にトップスピードに乗せることができるのではないかと思います。
上げるのに時間が必要な中距離選手?
中距離選手の窪木選手も、市田選手同様スタートから突っ込んでいるものの、短距離選手と比較するとやはりトップスピードに乗せるまでに時間が掛かってしまう傾向があるのだと思います。
しかし、無駄に力まずにトップスピードに乗せ切れば、速筋に対して遅筋優位な訳ですから、その維持は短距離選手と比較にならない程粘れるという感じなのではないかと。
200mの入りに拘らない!
ここで思ったことが、1㎞タイムトライアルをする際に必ずと言って良い程入りの200m(250m)のタイムに強く拘りますよね。実はそこも重要だけど、少し時間は掛かってもトップスピードに無理なく持っていくことに一番気を遣うべきではないかと考えました。
短距離選手と比較した時に、中長距離選手はどうしても入りが遅くなってしまいます。それを補うために、少しギア比を落として少しでも前半のロスを小さくするという選択肢を取ることが多いように感じています。
ですが、それをやってしまうと結局トップスピードまで乗せ切ることができず、変に力んで無駄な力ばっかり使い、結局後半の本来の持ち味である速度維持が困難になり、平凡なタイムで終わってしまうのではないかと・・・。
これでは、完全に短距離選手のマネをしているだけ、つまり短距離選手の土俵で戦っているから、中長距離選手は良いタイムが出せていないのではないかと感じました。
インカレの息子のデータ
ここで、先月のインカレで息子が走ったデータと比較をしてみたいと思います。ハロンをしっかり測ることがないので、ちょっと正確ではありませんが、11秒000くらいでは走れるのでそれを基に計算します。
※詳細Lapは出ていないので、ガラパさんの場内アナウンス参照です。
【息子】
250m:20秒400 ※185.45%
500m:34秒800(Lap:14秒400) ※130.91%
750m:50秒000(Lap:15秒200) ※138.18%
1000m:1分06秒147(Lap:16秒147) ※146.79%
※後半500m:31秒347
【市田選手】
250m:18秒772 ※188.78%
500m:31秒934(Lap:13秒162) ※132.36%
750m:45秒659(Lap:13秒725) ※138.02%
1000m:1分00秒539(Lap:14秒880) ※149.64%
※後半500m:28秒605
【窪木選手】
250m:20秒097 ※191.14%
500m:33秒834(Lap:13秒737) ※130.83%
750m:47秒460(Lap:13秒626) ※129.77%
1000m:1分01秒578(Lap:14秒118) ※134.46%
※後半500m:27秒744
・・・完全にやっとるなwww
なんとなく思っていることが当たってる感じがします。
もし同じ比率で走れたら!?
窪木選手程の持続力はありませんので、同じようにはできる筈もありませんが、もし同じ比率で走ることができたらこんなタイムになるというのを計算してみます。
250m:21秒025
500m:35秒416(Lap:14秒391)
750m:49秒691(Lap:14秒275)
1000m:1分04秒482(Lap:14秒791)
※後半500m:29秒066
思っているよりも1周目が遅いですが、それはトップスピードに上げ切る過程なので仕方ありません。そのままどんどん加速して維持!4周目まで維持したらこのタイムです。これでインカレ4位相当のタイムとなります。
常識を疑う!
今回のことでも強く思いましたが、1つの物事を捉えるのに、今までの常識に囚われることなく、自分の中で感じたことを検証することで新たな発見があるなと感じました。
もしかしたらピントのズレた仮説になっているかも知れませんが、少なくとも私にとってはこのように感じ、少し違うアプローチも必要なのかなと考えるきっかけとなりました。
また、しばらくお休みするかと思いますが、また気が向いたらnoteも書いていこうと思います(笑)最後まで長い文章にお付き合い頂き、ありがとうございました!