食品の陰陽を見分ける裏ワザ 【漢方医放浪記】
暑いですね。
気候に負けないように、日々の食事に「薬膳」の考え方を取り入れたい…とお考えの方もいらっしゃるかと思います。
医食同源。
特に中医学の領域では病に打ち克ち健康を維持する上で、食事や生活習慣が重視されます。漢方医にとって陰陽五行説の理解は必須であり、この考え方は万物に応用可能です。
薬膳を学ぼうとすると、聞き慣れない難解な理論が立ちはだかり、食品の陰陽五行についても分かりにくく、膨大な食品の陰陽表など、記憶するのが億劫になります。
陰陽表を覚える必要はありません。
薬膳の専門家には必要かもしれませんが、我々が日常生活で考えるならば、もっと基本的で簡単なルールひとつで充分だろうと、私は考えます。
今回はテーマを絞って、食品における陰陽を見極める裏ワザをお伝えいたします。
陰陽論に関して必要な事前知識はひとつだけ。
分類のために覚えるルールもひとつだけです。
陰性食品は身体を冷やし、陽性食品は温める。
そして、
太陽が強い「陽」であるため、
陰性食品は太陽に向かって成長し、
陽性食品は太陽から遠ざかろうとする。
以上です。
南国の果物は木々の背丈も高く陽射しをいっぱい浴びながら実ります。よって強い陰性食品です。
ゴボウや人参は太陽から遠ざかるように地中に向かって育ちます。よって陽性食品です。
米は夏と冬の間、ほどよい気候の秋に収穫を迎え、背丈も高過ぎず低過ぎず、ギュッと小粒に纏まります。これは陰陽のバランスがとれた「中庸食品」です。
例外はありますが、経験的に上記のシンプルなルールで殆ど正確に分類可能と考えております。
食事では、陰性と陽性のバランスが大切です。どちらかに傾き過ぎないように気を配りながら、暑い日には陰性食品を取り入れて、寒い日には陽性食品を取り入れるのがよいでしょう。風邪をひきそうなら身体を温めるように陽性食品がよいでしょう。熱のこもった便秘なら冷やすために陰性食品が有効なこともありますし、冷えによる便秘では逆に陽性食品を意識するのが適切です。
さぁ、小難しい理論はパッと忘れて、シンプルな原則で日々の食事に変化を。
拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、美味しい食事を楽しみながら、激しい気候変動を乗り越えられますように。
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