刻むもの
【作品形式】朗読・1人読み
【男性:女性:不問】0:0:1
【登場人物】
・私(不問)
【文字数】406字
【目安時間】約3分
時と呼ばれている
それは
流れていくものとして生まれた
時は本来
直接的には目に見えない
けれども
昇る太陽や沈む月の規則性
天空に広がる星たちの軌道
大地や海に広がる動植物の循環
様々な経験を蓄積していく人間
それらを通じて
存在を示していた
『目に見えるものが全てなのではない』
その事実を教えてくれるものの一つでもある
そんな『時』が
音となり
針となり
目に見えるもの
時計として
私たちの生活を刻んでいった
『時』の流れを刻む針の音が
これまで歩んできた過去
今まさに歩んでいる現在
これから歩むだろう将来
それらの存在を知らせる
脈打つ心臓の鼓動
頭の中を駆け巡り
心を熱くする想い出たち
一つ
ただ一つ
私が歩んだ『時』を
世界に……人の記憶と心に刻んでいく
時計
私が刻み込まれた『時』である自らの歩みを振り返り
これからの歩み方を『計』る
生活の中で身近にある時計だが
その在り方を思い巡らすと
今一度生き方についても考える機会を与えてくれる
大切な存在なのかもしれない
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