葡萄酒の上に浮かんだ月 《詩》
「葡萄酒の上に浮かんだ月」
秘密に縛られた心
その箱の蓋を開ける事は
貴方自身を物語の一部に取り入れて
ある意味での犠牲者にしてしまい
共有していかなくてはならない
そう 俯いて囁いた
深い沈黙が意味を帯び
彼女の語り始めた言葉を
注意深く拾い集めた
限定された空間の空にしか無い
観覧車が廻る
ゆっくりと静かに
僕は彼女と共に其れに乗っていた
大きな運命の輪に結びつけられた
奇妙な形をした箱の中に居た
天空に達しては下降してゆく
その観覧車は停まる事は無い
永遠を意味していた
僕等は葡萄酒の上に浮かんだ月を
飲み干した
それが全ての始まりだった