愛毒前日譚〜GiftでありGiftである〜
「ディープな水本ワールドが見てみたいです!」
五十崎社中の齋藤さんに、昨年の個展(綴避行)の会期中にやんわりと言われた。
「ディープさ…?ヌードとかですかね?考えておきます!」と伝えていたのを覚えているが、
僕からすると「上手にその個展をできる気はしないなぁ」というのが本音であった。
昨年の展示
どい書店で仕事を始めて早3年が経とうとしている。
その中で僕はクライアントワークをたくさんしてきた。
小田地区の藤岡林業・武田林業さんの関係の仕事に始まり、
えひめ暮らしネットワークの板垣さんと「えひめ暮らし」という動画をつくった。
松山で写真講座の先生もしている。八幡浜みなっとの観光チームの職員にもなった。
縁もあり2021年からは小田分校の寮の舎監もしてるし、
小田小学校・中学校の広報の仕事もしている。
と、最近の仕事を羅列してみた。どれも「写真」から始まったご縁だ。
こういう写真が欲しい!撮ってください!という依頼を受け、
それに僕なりの視点や切り口を添え納品する。素晴らしい仕事だ。
たくさんのお仕事をいただけてありがたい。
ただ、どい書店の動画担当Ko-ki Karasudaniと話す中でよく出てくる会話がある。
「僕らって『作品』をつくったことないよな」…と。
そもそも僕は高校も普通科、ずっと剣道をしてたし、
大学ではまちづくりの勉強で全国各地にフィールドワークに行ってたし、
学問的に芸術や写真を学んだことがない。
高校や大学で芸術を学んだ人は必ず通るであろう「作品制作」を僕はしたことがない。
なので今回の個展もテーマ決めにとことん時間がかかった。
2021年6月くらいに考え出して、全然まとまらず、気がついたら8月になっていた。
自分の中で表現したいものってなんだろう…。とずっと考えていた。
そんななか、ふとカメラを買ったころの写真を見返す機会があった。
当時の写真を見返すと、構図もバラバラだし、設定もぐちゃぐちゃだし、
同じような写真が多かったり…。
だけど、どの写真もイキイキとしてた。
新しい玩具を与えられてワクワクしてる子どものような、
純粋な気持ちで撮っているんだなあと感じる写真だ。
この頃の写真はまさに「自分自身を喜ばすための写真」だ。
たくさん、たくさんクライアントワークをしているなかで、
「クライアントに喜んでもらえる写真」を撮っていた僕にしては
とても羨ましいし素敵な写真にみえた。
(当時はまだ若く(?)勢いもあったのでヌード写真にも挑戦をしていた。
今ならもっと格好良く素敵に撮れるのに!!!!と妬ましく思った)
…ともかく。過去の写真をみて僕の今回の命題は決まった。
「まずは自分自身が楽しんで自分を喜ばす写真を撮ること」にした。
今回テーマにしてる6つの毒も、僕自身が選んだ興味のある分野や感情をテーマにした。
まずは僕自身のことをディープに掘ることに今回は決めた。
だいぶニッチな水本ワールドを楽しんでいってほしい。
まだまだ僕は写真という毒にじわじわと犯されていくようだ。
たぶんこの先も、ずっと。ずっと。
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