運用レポート2020.4.18

【週間為替市況】

流動性の薄さが浮き彫りになった一週間となった。
イースター明けの月曜日警戒していなかったが、寄付きからドル円は売られた。
新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感から、日経平均が大きく下げて寄付き、ズルズルと値を下げた。
その後、NYタイムにイースター明けの米国勢が参入すると、更に売られた。
OPECプラスで原油の減産合意を取り付けたが日量970万バレルの減産ではこの新型コロナウイルスの需要減を吸収できないとマーケットは判断。
原油価格の下落もあり株価は軟調に推移した。
先週108円ミドルで引けていたドル円は一時107円ミドルまで下落。

翌火曜日、ドル円は更に売られる。
こちらはポジティブなドル安。
FRBの無制限のドル供給を受けて、ドル逼迫懸念が後退。
また、日中に発表された中国の貿易統計が輸出入共に予想を上回り株が買われた。
NYタイムにクオモNY州知事が「最悪期は脱したと確信している」と発言。
こちらを材料視され株価は堅調に推移。
株が買われドルが売られるという、先週から引続きコロナショックの巻き戻し相場となった。

水曜日は調整色の濃い一日となった。
日中から株価が下落。ドル円は堅調に推移した。
NYタイムに米指標の悪化を受け株価が下落するもドル円は底堅く、やはりリスクオフ局面でのドル買いが目立った。
また、G20財務省・中央銀行総裁は「すべての利用可能な政策手段を用いる」と共同声明を発表。
ただ、市場の反応は限定的。各国政府の手詰まり感を滲ませる発表となってしまった。

木曜日は戻りを試す展開に。
日中はドル、株共に堅調に推移していたが欧州オープンと共に失速。
また、この日発表された米新規失業保険申請数が500万件越え、この数週間で2000万件以上の失業保険の申請数という異例の事態となった。
更に、クオモNY州知事が「NY州は行動制限を5月15日まで延長する」との見解を示しダメ押し。
ドル円は再び107円前半まで下落。
引け間際に、この新型コロナの行動制限で需要が伸びているハイテク株のネットフィリックスやアマゾン株が大きく買われナスダックが大幅反発。
他株価指数も大きく値を伸ばした。
大きな買いは引け間際に入るという米株特有の動きとなった。


金曜日。
各株価指数は大きく上窓を開け寄付き。
トランプ大統領が、新型コロナウイルス感染者が少ない地域から段階的に経済活動再開を認める方針を明らかにした
トランプ米大統領、経済再開へ指針公表 州に3段階アプローチ提言 –ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-idJPKBN21Y3FZ
また、米バイオ製薬大手のギリヤド・サイエンシズ社の治療薬が新型コロナウイルス患者の治療で効果が見られたと報じられた事も大きかった。
米ギリアド、新型コロナ薬治験を拡大 2倍超の6000人対象 -ロイター
https://jp.reuters.com/article/gilead-sciences-stocks-idJPKBN21Z3CE
NYダウは寄付きで300㌦以上の上窓を開けて寄付き。
ドル円はやはりコロナ相場の巻き戻しでドル売りが起こり、前日のナスダック大幅反発で108円まで値を上げていたが107円ミドルで引けを迎えた。

株価は上窓を綺麗に埋めてから再反発。
NYダウCFD一時間足

NYダウCFD一時間足

教科書通りの窓埋めをした。

来週以降このギリヤド社の治療薬の臨床データ次第で一喜一憂が予想される。
また、週末の為替市場では材料視されなかったが、FRBは昨晩、債券買入れ額を来週から減額すると発表しており、その影響がどこまで出るのか注目したい。

【取引レポート】
先週様子見としたため週半ばまでは休憩。
水曜日にEURが売り転した為、追加レポートで配信した通りドルショート参戦。
結果、ダマしだった…

EURUSDリテール売買動向

EURUSDリテール売買動向

水曜日にロングが急減。
ところがその後ロングが増加。

引き付けての買い下がり戦略を取ったため、戻りで利益になってしまったが何とも言えない取引となった。
まあ、勝ちは勝ちなのでしっかりポケットにしまっておいた。
その後、ワイドなスプレッドとプライスアクションを見ると流動性が薄いのは明らかだったため、週後半、木金と逆張り戦略を取った。
売ったり買ったりという節操のない取引は個人的に好きではないのだが、ある意味チャンスだったのだろう。
シッカリと利食い。

この状況はしばらく続くと思われる。
弱いファンダメンタルと流動性不足。
本来大暴落相場だが、各国政府の採算度外視的な資金注入により株式市場はなんとか踏ん張っているが、この先は誰も経験した事の無い、未知の領域だという事は忘れてはならない。
メスター総裁、モラルハザード懸念は二の次-経済への打撃軽減に専念 -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-18/Q8YNQADWLU6P01?srnd=cojp-v2
連銀総裁がモラルハザードを一部認めた様なものである。
また、IMFのゲオルギエワ専務理事は14日に「大恐慌以来、最悪の不況になる可能性がある」と指摘している。

この先の相場は、今迄と同じ振舞いでは取れないかもという考え方は必要だろう。

【来週からの戦略】
原則逆張り戦略か様子見。
今週の動きある程度この相場がわかってきた。

冷静に考えれば、これだけ為替市場の主要プレーヤーが行動制限を受けている以上、大きく壊れるか動きは限定的になるに決まっている事を再確認した。
ロンドンとNY、アジアではシンガポールがロックダウン中という事はポジションが取れない、または限定的だろう。
ある業者は米株インデックスCFDのクオートを止めてしまった。

売買動向も迷走感がある。
市場に建っているポジションが少ないという事が伺える。

ドル円リテール売買動向

ドル円リテール売買動向

値動きの割にポジションの変動が大きい。
スカスカ感がある。
売買動向分析がここまで当たらないのはメジャーどころが休んでいる証拠だ

それでも大きな損失にならないのは一方方向に相場が動かないからと断定できる。
結果として、乱高下後のレンジ相場となっている。
よくよく考えれば、あの乱高下相場で夥しい損失を計上したリテールプレーヤーが多く資金難や新規参入に対する恐怖感から取引を控えているのだろう。
また、プロはロックダウン中の為、セキュリティ上自宅からの注文など行える筈はない。
必要最低限の注文しか行えていないだろう。

CFTC円先物投機筋NOP(円先物のため売買反転)

CFTC円先物投機筋NOP(円先物のため売買反転)

ポジションの動きが無い。

現在為替相場を動かしているのは、ごくごく少ないエクスポージャ―だと思われる。
従って売買動向は宛にならないというよりも、ころころ変わるので後手に回る可能性がある。

また、株式市場の謎の活況はこちら
来週の日本株は上値重い、コロナ後の経済正常化探る-実態悪警戒 -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-17/Q8WWJRDWLU6V01
4割が自社株買いという実態を忘れてはいけない

そこで取る戦略と言うのは、様子見だろう。

ただ、取引を行う事を生業としている私はそれでは困る。
昨年までボラティリティ難でのつらい思いを思い越せばなんとも贅沢な悩みである。
やはり逆張り戦略を取りたい。


具体的な手法は明かせないが、単純にレジサポ戦略が有効だろう。
一日のサポート&レジスタンスラインを引いて、ロスカットを置けば簡単に取れるような気がしている。
高い所を買わない、安い所を売らないというのは基本戦略なので、現在の相場状況で方向を決めつけるのは危険と言わざるを得ない。

ドル円日足

ドル円日足

3月のV字以降、売買動向同様、やる気の無さを感じる。

先週レポートした通り、イースター明けに何らかのアクションが起きる事は確信している。
メインプレーヤーは虎視眈々と参戦時期を狙っているだろう。
従って、どちらかに動いた際がその時期だと思っている。
売買動向が寄ればその逆を張って行くのが上策だろう。

GBPUSD一時間足

GBPUSD一時間足

クソレンジである。

従って来週は、
売買動向の寄りと、底(天井)感があるまでは
様子見、もしくは逆張り。
リスクテイクモードならGBPUSDやGBPJPY
ビビりモードならドル円やEURUSD
それでも現在は、ドル円で100pipsくらいの値幅がある。

リスク最小限、最大利益100pipsというチャレンジを行いたいと思います。

今週もありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。

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