運用レポート2020.5.16
【週間為替市況】
週明けの寄付きは若干下げたが、ドル円はこの日棒上げとなった。
欧米各国で外出制限が一部緩和され、経済活動が再開されるという期待感から全面リスクオンの展開に
またNYタイムに入ると先週末に持ち直しはじめていた米債利回りが上昇。
こちらもドルの下支えとなり、寄付き時に106.40円台だったドル円は107.70円台まで上昇。
約10日ぶりに一日の値幅が100pipsを超える動きとなった。
この日の高値107.70円台がドル円の週間高値となった。
翌火曜日は原油価格が急騰。
対資源国通貨に対しドルが弱含んだ、NYタイムに発表された米消費者物価指数は市場予想通りだったが、11年振りの下落幅とその内容が悪かったため、そちらを材料視され更にドルは下落した。
また、トランプ大統領が「他国がマイナス金利の恩恵を得ているなら、米国もその『ギフト』を受け取るべきだ」とツイート。こちらもドル売りを誘った。
107円割れまでは下げなかったものの、為替相場の不安定さを露呈した一日となった。
この日以来FRBのマイナス金利導入が市場コンセンサスになりつつある。
焦点:市場が織り込む米国「マイナス金利」、特効薬か劇薬か –ロイター
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-rates-investors-idJPKBN22Q018?il=0
水曜日、日中は揉み合い。
NYタイムにパウエルFRB議長が自身の講演で、
「新型コロナの感染拡大で長期の経済的打撃への懸念が高まった」
「見通しは極めて不透明、下向きのリスクが大きい」
「景気悪化の長期化回避のため追加政策が必要となる可能性」
など、ネガティブな発言を連発。
市場はトランプ大統領のマイナス金利導入に応えるのか?といった反応を見せたが、一転
質疑応答の際に、マイナス金利に関しては、
「マイナス金利に対するFOMCの見解は変わらず」
「マイナス金利は現時点で検討対象ではない」
と応じるとドル円は大きく買い戻された。
また、この日にはザ・ヘッジファンドであるアパルーサ・マネージメントのデビッド・テッパー氏が「株は買われ過ぎ」と指摘。前回の金融危機の際に世界で最も大儲けしたファンドマネージャーの発言とあって株価が急落。
翌木曜日にトランプ砲が久し振りに火を噴いた。
なんと「ドル高容認」
FOXニュースのインタビューで「現時点で強いドルを持つことは良い事、みんなドルを持ちたがっている」
「私がドルの価値を維持した」と発言。
巧妙なトランプ大統領のやり方としては露骨すぎる手だともいえる。
マイナス金利導入とドル高容認。
この相反する理論で導き出したい答えは株価を上げたいだけだろう。
今年は米大統領選もあり本番に向け準備に入ったと受取るべきだと思われる。
更にトランプデーは続き、中国の新型コロナウイルス対応を痛烈に批判。
「心底失望」と断交の可能性まで示唆したが、こちらはあまり材料視されず、トランプ大統領のドル高容認発言にフォーカスしドルは底堅く推移し107.30円台まで上昇。
そして昨日。
あまり方向感の無い一日となった。
米小売売上高(自動車を除く)が予想12.0%減のところ16.4%減と予想よりも悪い数字にドル円は再び106円台へ突入。
だが、その後に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回り、同時に低下していた米債利回りが反転上昇。そのまま勢いよく値を戻し107.30円台まで戻したが、ここでまた米中ネタ
米商務省が中国の通信機器大手ファーウェイに対する制裁強化を発表、それに対し中国も対抗措置を取るとの報道もあり戻りは続かず行って来いの展開となった。
やはりこの米中ネタは為替相場への影響は依然として大きい。
また、この日Spot Goldは4月14日の高値を更新、2013年以来約7年間で最も高い状態となった。
昨晩の引け間際にFRBがこのまま収まらなければ相当なリスクであると警笛を鳴らしたことも付け加えておきたい。
米金融の脆弱性、コロナ危機で「重大に」=FRB報告書 –ロイター
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-stability-idJPKBN22R3BT
週間通してだとドル高に見えるが、方向感が無いと言えば言える一週間となった。
【取引レポート】
先週レポート通り、ドル、Gold、スイスフラン買いを敢行。
中でも馬鹿当たりしたのがGBPとGoldだった
GBPUSDリテール売買動向
EURUSDリテール売買動向
EURUSDと比較するとGBPUSDのリテールロングの増え方が顕著だった。
ロング急増と共にGBPは日々値を切り下げた。
GBPUSD週足
目先も弱そうである。
また、Goldは連日押目買いで対応。
非常に乗りやすい相場であった。
昨日4月14日の高値を更新した際に利食いを入れて一旦撤退。
来週もうひと伸びしたら調整が入るかどうか見極めたい。
問題はスイスフラン…
USDCHF一時間足
この事ある毎に買われてしまう通貨はSNB(スイス中央銀行)の介入が付き物なのだが、ここまでいやらしく入って来られると萎える…
とはいえ急騰は近いと思っている。
一旦ほどほどで撤退した
来週以降も引続き中々の相場環境と思っている。
シッカリ分析を試みたい。
【来週からの戦略】
CFTC円先物投機筋NOP(円先物のため売買反転)
引続き円買い傾向。
ドル円リテール売買動向
リテールはドル円ロングが増えている。
ドル円日足
テクニカル的にはチャートに揉むと書いてある。
また、売買動向も投機筋が売ってリテールが買っている。
やはり揉むと書いてある。
ドル円は見送りでレンジと予想。
CFTC日経225先物投機筋NOP
ロング増加。
売ってみても面白いが目を見張るほどのモノではない
CFTC金先物投機筋NOP
ロングが減ったままで上昇。今週も若干減っての直近最高値更新。
これは是非買ってみたい。
この建玉の状況なら充分2000㌦は狙える。2011年に1900㌦台で失速した雪辱を晴らせるか注目している。
CFTCスイスフラン先物投機筋NOP
やはりロングが減った。
前述しているが、スイスというお国柄、この通貨は事ある毎に買われるため中央銀行が介入をしてレートの安定に励んでいる。
現在が徐々に投機筋がロングを外して行く所と仮定すると、大きく上げるのでは無いかと推測できる。
SNBも介入効果最大化を計り一旦の上昇を容認するのではないかと踏んでいる。
また、ドルの動きは米国債利回りとの連動が戻ってきている。
FRBのマイナス金利導入という話も囁かれている訳で、当然だが金利動向はシッカリ確認しておく必要がある。
米国10年債利回り(ローソク)とドル円(紫)推移一時間足
以上のことから来週は
GBPUSDショート
Goldとスイスフランロング
GBPにしてもGoldにしても、値幅が非常に大きいシンボル。
参入の際には必ず引き付けなければならない、日々当日の安値(高値)の見当を付けてから入るという癖を付けることをお勧めしたい。
そういう意味ではスイスフランもGBPやGoldほどではないが介入という厄介な仕掛けがある、介入を待ってロング参入が良いだろう。
そうすればやられても傷は浅くて済む。
ドル円はちょっと分かりにくい。
大きく動いた際に逆張りで20~40pipsを狙うという戦略が来週も有効ではないかと思っている。
あまり欲張ると一日の平均が50~60pipsくらいの値幅が予想されるため反転した際に痛い目に合う。
という戦略で行きたいと思います。
今週もお疲れ様でした。
来週もよろしくお願いいたします。
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