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小説 針妙丸「赤ちゃんってどこから来るの?」正邪「!?」
ちゃぶ台の上の方から聞こえたそれは、横になっていた私を酷く動揺させた。少なくとも、針妙丸に対しての適切な答えは私には持ち合わせていなかった。
人間ならまぐわうことで命が宿る。コウノトリが赤ちゃんを運んで来るという伝承でその場を凌ぐこともできるらしい。妖怪なら人間の怖れに依って生まれる。だから感情に依存し、人間から怖れられなくなったら消滅する。私は妖怪だから未だ人間に怖れられているということなのだろう。
では、小人はどうだろうか。人間というには小さく、妖怪というには無邪気なその生き物は、どのように歩みを始めるのだろう。針妙丸が小人族の末裔と名乗るのだから、前者なのだろうか。
コウノトリが運んで来るという結論を伝えようと私は身体を起こした。目があったのは、にやにやと人を嘲る顔をした天邪鬼のような小人だった。私も消滅する前に子孫を残した方が良いのだろうか。