『次は』が嫌いな貴方に ※SQネタバレ有

何をどこから書けばすっきりするかわからない。未だに色んな感情が尾を引いていて頭が錯乱していて、油断すると泣きそう。

ようやく地獄の5ヶ月に結末が着いた。手塚と戦うと分かった時から、試合の結果は正直そうなるだろうなと思ってはいた。幸村くんだって沢山成長してるけれどもここで手塚が負けたら、手塚が何の為にどんな覚悟でドイツに渡ったのかを無碍にしてしまう。

試合が始まって早々に、完治したって言われて『実はしてませんでした』とサラリとカミングアウトされてからおよそ8年間も何も語られずにきた病気について、また『ちゃんと調べたら本当は完治してたよ』とご都合主義展開出されたり、Decide歌詞が流れてきた(しかもフル)のを見た時には全国決勝のトラウマ過ぎったりもして、最初からあぁもうこれはダメだ…また手塚のプロへの道への踏み台に、『あの』『神の子·幸村精市』に『勝った』という描写されるのかと気が気じゃなく、そんな胸糞悪い展開なら早く終わってくれと思い続けていた。その点で言うならば今回はそういう描かれ方をされていなくて本当に何よりだった。

自分の全てだと思っているテニスが出来ないと知らされてから手術を受ける覚悟を決めて、テニスコートに戻ってきてからも完治したと知るまでのこの14歳の男の子の1年半弱は、想像も出来ないくらいに長く、苦しい日々だったと思う。幸村様クラスタが実は病気完治してなかったと衝撃の事実を知らされてから、つい最近完治したと知るまでの約8年の苦悩以上に、きっと幸村くん本人は体感長く感じていたんだろう。

全国大会決勝で、確かに「完全に完治」と書かれていたのを見たけれども、思い返せばそれは立海の誰かのセリフではなかった。丸井くんも君様と交渉していた時のやり取り見る限りでは幸村くんが完治してないことを知っていた様な反応をしていたし、何よりその後のアメリカでの手術の話を聞きに行く前の幸村くんを見ていても自分が治っていないと思っているからこその表情と、完治したと知った時に泣き崩れていたのは『治っていない』と思っていたからだろう。ぺアプリで全国の後に、この健康体を~って答えていたのにやっぱり設定覆しやがったなっていう怒りをとりあえず置いておくとしても、幸村くん並びに立海メンバーは完治していないことを知っていても、全国と合宿、U-17に参加していた。

それを前提に考えると「俺も…未来を塗り替えよう」ってセリフがどれだけ彼の苦悩と呪縛があったか、全国も合宿もU-17もどんな気持ちで過ごしてきたかと考えると心が抉り取られた様な辛さで涙が止まらない。


「塗り替える」ということは、彼の中での未来は明るいものではなかったということ。それを思い知らされて、ショックすぎてずっと泣き続けてた。

直前手塚に対して「この先キミはテニス選手として確実に明るい未来が見えているだろう」とも言っている。じゃあ幸村くん自身は?自分自身の未来は?

彼はとっても現実的な人で『今』しか見ない。病気になった事が1番のきっかけだろう。「今、出来ることを全力で諦めない」。かっこいい生き方だと思う。だけど同時に悲しかった。徳川さんとのダブルスで「テニスを出来る喜びは俺は誰よりも強いんだ」って言っていた時は、まだ完治していないと思っていた頃。テニスを出来ることへの何よりの喜びはわかる、だけどもテニスに対しての『未来』への期待は、この身体ではどうなるかわからないから描けてこなかったということ。それはもしかしたら幸村くんの中で全国大会が…立海三連覇をさせる事が全てだったが故に、試合の中で全国決勝のトラウマ払拭するまで全国大会が心に引っかかり続けていて、その先の目標や未来が見えなかったことが原因の一つなのかもしれない。誰から見たって描かれなくとも幸村くんにとって全国はトラウマだろうってことは分かっていたけれども、この前まで一切全国での悔しさだとかトラウマだとか描かれてこない=見せてこなかったということは、彼自身本音はどこにも見せてこなかったんだろう。いつもいつもそうやって自分一人で抱え込むんだ、幸村精市という人は。

『今』を懸命に生きて臨む人が今回の試合で『未来』を見たことにびっくりしたけど、それが『奪う』ものであったことにも最初とても辛かった。

「色々諦めなくて良かった」。こんなにも「色々」って言葉が重く感じたことはない。私のような語彙力のない人間が発する雑な『色々』ではなく、本当に沢山の経験、想いが込められた『色々』。

そして幸村精市という人のテニスは『我が立海三連覇の為に』とか『勝つことでしか証明出来ない』だとか、いつでも己自身の様であって、そこには必ず第三者がいて完全なる己自身の為のテニスでなかった。それにも関わらず周りに対しては「これからは自分の道を進め」って背中を押す。幸村精市という人をこの世で一番応援してる人から見たら、これがどれだけ辛くてもどかしかったことか。テニスをしている幸村くんが1番好きだけれども正直試合は観たくない。もう試合なんてしないで欲しいって気持ちの理由の一部は、こういう心理ありきだったかもしれない。それが今回、初めて自分自身の為の前向きなテニスへの新たな気持ちを心で口にしてくれた。「俺も…」という心でのセリフが本当に嬉しくて仕方ない。「塗り替えてみよう」じゃなくて「塗り替えよう」って言葉が、あぁ幸村くんだなぁと思った。

病気が完治したと知っても、どこかでスッキリ出来ていなかった。それは1度完治したと聞かされてからやっぱり完治してなかったですって知らされて、約8年もその後どうなったかも彼の心情がどうなのかも描かれて来なかったのに、いきなり「完全に完治しているよ」って言われても信じられない、またやっぱり完治ではなかった、とか再発しましたって言われたらどうしよう…って不安もあったから。だけど多分何よりも、彼が『神の子』だとか『常勝立海大テニス部部長』としてテニスをしていて何かに縛られて続けている、どこかで焦燥感を感じてしまっていて、彼自身の為だけの歩みが今月の最後の最後に決心するまで見れなかったからなのかなってようやく気づいた。未だに本当に完治したよね?もう再発しないよね?って不安になってるんだから、本人なら尚更前日に言われたばかりで身体のことも全国のこともそんな一気に処理しきれないのは当然で、だけども幸村精市という人は本当に賢くて強くて真っ直ぐな人だから対手塚との一戦でそれを見事に消化しきった。本当にどこまでも強くて真っ直ぐで、言葉にしきれないほど素敵で尊敬出来るし、一生応援したいと思った。今まで試合があってもどこか嬉しくなかったけれども、ようやくこれからの幸村くんのテニスの試合は、少し前向きな気持ちで観ることが出来そう。

でもやっぱり勝って欲しかったからめちゃくちゃ悔しい。「人は負けを知るほど強くなれる」って幸村くんが言っていたし、今回は全国決勝の様にしこりが残る負けではなかった。だけど、幸村くんは未だに『勝ち』で過去からの脱却をしたことが1度もない。真田とのダブルスは脱却ではない。病気に打ち勝って、全国で負けた、だけど今があって沢山の杞憂や不安を打ち破った先にある『勝ち』。それを手にして喜ぶ姿を見てみたいと本当に思ったし、なんで勝たせてあげなかったのと思うのは私が幸村くんを応援してるからであるワガママなのはわかってるけどやっぱり思う。私の中では幸村精市が唯一無二だからそこは許して欲しい。

ずっと応援はしていたけど次のコマでは負けてしまってるんではないか、と思いながら毎月の発売日が怖くてページを捲るのが怖くて、ある意味勝ちを信じてあげられなかった自分は、幸村くんを応援していると好きだと胸を張って言えないんじゃないかとも考え込んでしまった。そんなのファンとは言えないのは確か。テニスに対してドロドロとした感情が出てきた辺りから、もうファンではないことは分かっていたけれども。でも好きな人だとも言う資格なんてないんじゃないかっていう疑問がずっと消えなくて辛い。それは嘘偽りないのに、勝ちを信じてあげられなかった。最低だなって本当に思うし、辛い。「勝ちを信じる=好き」ではない、とは思えない。こんなにも幸村精市という存在で頭いっぱいで、愛おしくてどうしようもないのは嘘偽りないのに。

他にも試合中の立海メンバーや終わってから駆け寄ってきたこととか、他の日本代表中学生メンバーのこととか思うこといっぱいあるけども、これ以上考えるとキャパオーバーすぎて私生活に支障をきたす日々が長引いて、仕事行けなくなるからもうこの辺で終わりにしとく。話も前後してて訳わかんないけど、書き殴ったことによって少し冷静になってきた。


「『次は』だなんて言葉は聞きたくない」そう言っていたし、そういうテニスをして来なかった貴方にようやくこの言葉が言えそう。

幸村くん、お疲れ様でした。次は絶対に勝って、笑顔を見せてください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?