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昼勉強会で「CD腸炎」に関する知識をUpdateしました!

 8月になり、浜松も茹だるような暑さが続いております.

 聖浜総診noteの読者の方々におかれましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により全国各地で緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発出される中、ご自宅でオリンピックアスリートの熱い競技に釘付けになっておられる方も多いのではないでしょうか.

 聖浜総診でもオリンピックと同じぐらい熱く(?)、毎日昼の勉強会を続けております.先日は私、専攻医の齊藤が読んだCD腸炎に関するreviewをみんなで共有しました.


CD腸炎は医療関連感染症である

 日頃から聖浜総診では5stepsを意識した抗菌薬の適性使用に関する教育や、グラム染色、病歴や身体所見を重視した感染症診療を意識して取り組んでいます.その根源的な目的は、不適切な感染症診療による無用な医療関連有害事象や治療期間の長期化、医療費の増大を防ぐことにあります.その際たる例である、Clostridioides difficile Infection(CDI)に関するreviewのご紹介です.

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              Cho et al. Mayo Clinic Proceedings. 2020, 95(4), P758-769


CD腸炎診療の原則を学ぶ

 CD腸炎診療の原則は「早期にCDIを認識すること」「適切に重症度判定をすること」「必要十分な治療を行うこと」の3つです.


ー早期にCDIを認識すること

 「早期にCDIを認識すること」に関しては、「抗菌薬(特に嫌気性菌をcoverするもの)の使用歴や、周囲の使用者、周囲のCDI疑いあるいは確定者の存在」「毎日のバイタル表での便の性状変化や回数変化」を確実に見逃さないことが大切です.

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        Cho et al. Mayo Clinic Proceedings. 2020, 95(4), P758-769


ー適切に重症度判定をすること

 「適切に重症度判定をすること」は以下の表を参照してください.実はAGCやIDSAをはじめ、様々な機構が重症度判定に関するガイドラインを出しています.簡易的には「血液検査上の炎症反応の上昇」に加えて「臓器障害があるか否か」がMild or moderateとSevereの境界と考えると良いかと考えます.


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        Cho et al. Mayo Clinic Proceedings. 2020, 95(4), P758-769


ー必要十分な治療を行うこと

 「必要十分な治療を行うこと」は以下のアルゴリズムで行います.特に昨今のEvidenceとして重要なのが、メトロニダゾール(MNZ)の位置づけが経口バンコマイシン(VCM)よりも低くなっていることを挙げます.米国の2020年のRCTでは重症CDIではVCMよりMNZの効果が劣っており、なおかつMNZの使用はVCMと比較して再発率が高かったとのことです.

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        Cho et al. Mayo Clinic Proceedings. 2020, 95(4), P758-769


 昨今の世界的な潮流としては、重症や劇症CDIで治療に難渋する症例に対しては、便移植などの微生物補充療法やカプセル内服による便送達などが臨床応用されています.さらに、Toxinに対する抗体医薬も開発されており、治療の進展は凄まじいものがあります.


まとめ

 しかしやはり、いくらCDIに対する治療開発が進展しようとも、基本となるのは適切な抗菌薬使用によりCDIをそもそも発生させないことにあります.そのことを強く肝に銘じて、これからも診療にあたっていきたいと思います.

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        Cho et al. Mayo Clinic Proceedings. 2020, 95(4), P758-769


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