実は100種類以上あるタトゥー針
こんにちは、せいごです。
みなさんはタトゥーに使われる針って見た事ありますか?
タトゥーの経験が無い方はもちろん、お客さんもまじまじと見た事がある方は少ないと思います。
施術前は緊張されているお客さんが多いので、わざわざ針をお見せする事は無く、説明も省略していますが、実はかなり多くの種類があって彫師は用途に応じて使い分けをしています。
細かく繊細なデザインから広範囲を塗りつぶすデザインなど、お客さんから頂く注文は様々で、それに対し最適な針選びをする事は必須事項ですが、見習いの頃はどの針を使えばいいのかわからず、僕も困ってしまった経験があります。
という事で今回は、「針の種類と使用用途」と、もう少し踏み込んで「タトゥー針独自の表現技法」についてご紹介していこうと思います。
目次
・基本構造 ルーズニードルとニードルバー
・種類と用途 ライナーとシェーダー
・応用編 ライナーでシェーディング
・まとめ
基本構造
まずはじめに針の構造についてです。
タトゥー針は、ニードルバーにルーズニードルをハンダ付けした物で、ルーズニードルの本数や組み方を変化させる事で、用途を変える事ができます。
ルーズニードル・・・・標本を止めるピン程の細い針。
太さに種類があり、0.25mm~0.40mmから選ぶ事ができます。僕は一般的な0.35mmを使用しています。
ルーズニードルの針先部分をTaper(テーパー)と言い、ロングテーパー、ショートテーパーなどがあります。
さらに、テーパーに凹凸加工が施されている物をTextured(テクスチャード)と言います。
ニードルバー・・・・ライナー用とシェーダー用がありルーズニードルの組み方によって使い分けをします。バーの先端が半円型の物がシェーダー用です。
彫師は針を自作する場合が多いですが、プリメイドニードル(ハンダ付けされ、組まれた状態の針)も販売されていて、滅菌済みパックから取り出しすぐに使用する事ができます。
※自作針の場合、滅菌作業も自分で行います。
種類と用途
「100種類以上の針がある」とタイトルにも書きましたが、カテゴライズするとライナーとシェーダーの2つに分類する事ができます。
ライナー
スジ針またはRound(ラウンド)とも呼ばれていて、主に線を彫る為の針です。ルーズニードルが円状に組まれていて、1本針、3本針、5本針....18本針という感じで太さを選ぶ事ができます。
5本針のRound Liner(ラウンドライナー)の場合、5RLと略記されます。
ちなみに僕がよく使うライナーは3RL、5RL、7RL、9RLの4種類。
3RL、5RLはレタリングやブラック&グレーなどのデザイン。
7RL、9RLは和柄の筋彫りに使用する事が多いです。
シェーダー
Magnum(マグナム)と呼ばれていて、ボカシ(グラデーション)や塗りに使用する針です。ライナーとは違い、平たく2段に組まれた針は広範囲を彫る事ができます。
シェーダーにもサイズがあり、5本針、7本針、9本針...15本針から選べます。
9本針のMagnum(マグナム)の場合、9Mと略記されます。
僕はほとんどの作品を7Mか9Mで仕上げています。
とくに9Mは適度に細かな作業もでき、バランスがいいので使用頻度はめちゃくちゃ高いです。
シェーダーにはさらに以下の種類があります。
Curved Magnum(マグナムカーブ)
針先がアーチ状に組まれています。
Big Magnum(ビッグマグナム)
25本針など多くの針で組まれています。
Round Shader (ラウンドシェーダー)
ライナーの様に円状に組まれていますが、針先がやや開いているので、より細かなボカシや塗りができます。
* * *
ざっと紹介してきましたが、「多くの種類から選ぶ事ができる」というと、ワクワクする人もいるし面倒くさいと思う人もいるかもしれないですね。
タトゥー針を自作する場合、「テーパー」「テクスチャード」「太さ」「本数」「組み方」をそれぞれ選ぶ必要があるので、見習いの彫師には難しいと思います。
なのでまずはプリメイドニードルから始めて、使いやすい針を探すのがいいと思います。実際に僕が使用している針の種類は10種類ほどで、頻繁に使う針は5種類ほどなので、そこまで多くの種類は必要ないと思います。
試行錯誤を重ねて、自分に合っている針を見つけ出してください。
応用編
さて、これまでライナーは線を描く用。シェーダーはボカシ用。と紹介してきましたが、必ずしもその限りではなく、針の使い方を工夫する事で新しい表現ができるので、少しだけ紹介してみたいと思います。
この2つのタトゥーはライナーのみを使って仕上げた作品です。
よく見ると点描画の様な、ドットで陰影を表現しているのがわかると思います。
わざと針痕を残す事で、ざらっとした質感を出すのがポイントです。
※針のピストン数を少し減らすか、手の動きを早くするとやりやすいです。
慣れていないと難しいですが、マグナムに比べて少しづつ色の調子を合わせる事ができ、皮膚へのダメージが比較的少ないのでオススメの技法です。
まとめ
針の種類や技法については、世界中の彫師が日々研究し進歩しているので、ここで紹介した物が全てではありませんが、基本的な事は全て書いた(はず)です。参考になればと思います。
また、針の購入にはオートクレーブ所持の証明を求められる場合もあるので、安易な気持ちで購入するのはやめましょうね。
以上タトゥー針についてでした!
次回はアフターケアについて書こうと思います(たぶん)
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