天皇杯2回戦 柏レイソルvs栃木シティ
今まで1番足を運んだスタジアムは恐らくこの日立台だと思う。それは決して柏サポーターだからということではない。サッカー専用ならではの臨場感。小さな入り口から広がる景色。ゴール裏の雰囲気など魅力がたくさん詰まっており多くの人が行きかう賑わいがある場所。
のはずだった。
しかし6月9日に行われた天皇杯の2回戦ではその姿は感じられなかった。試合開始の1時間前になっても自分の周りに人はほとんどいない。平日ナイター、天皇杯初戦、コロナ渦という状況が大きく関係していると思うが好きなスタジアムの閑散とした様子はとても寂しくなってしまった。
この試合
現在関東サッカーリーグ3位で昨年の関東優勝チーム栃木シティは2020年の地域CLで惜しくも3位。あと1歩のところでJFL昇格を逃した。今シーズンから新スタジアムが完成し工藤浩平らを獲得して必ず昇格するという気持ちが伝わってくる陣容であった。
すこしずつ観客も入り始めるとウォーミングアップが始まった。ここで感じたのは柏の井原、栗沢コーチ。タッチやフィードが輝いていた。栗沢コーチは現役時代のプレーもよく見ており、今では指導者になっていて時の流れを感じさせた。
試合は栃木が気持ちのこもった入りを見せる。セカンドボールを積極的に広い守備では中を固めて自由にボールを回させない。スタンドからも小さな声で栃木の選手ウマっという声も聞こえてきた。攻め込む時間は少なかったが格上の柏を苦しめていたと思う。しかし前半18分に栃木のセットプレーがクリアされカウンターの流れから呆気なくクリスティアーノに決められた。耐えていた守備が自分たちの攻撃からやられた。失点後栃木の選手は円になる。話し合って前を向く。
それでも状況は好転しなかった。柏のFW細谷が粘り仲間へ、サイドに広げて三丸のシュート性のボールがゴールに吸い込まれた。これで2-0。もう一度栃木の選手は円になる。結局栃木のシュートシーンは厳しい体勢で辛うじて打ったヘディングシュート1本だけだった。
後半柏がビックチャンス2つを枠外に飛ばした。ここを決められないのが今の柏の状況を表していると思った。2点差あるから大丈夫。相手は地域リーグだから大丈夫。そんな考えではいけない。競り合いでも負けるシーンがありリーグ戦で降格圏に沈むチームは深刻であるということがわかった。栃木はなかなか迫力が出ず1歩前に出ることができなくなった。両チームに決定機が訪れなくなった。柏はいい位置で奪っても途中でパスが合わず、栃木はマイボールになってもボールをつなげず奪われる。その繰り返しのようなゲームになった。しかし後半アディショナルタイムに途中出場のアンジェロッティが決めて3-0。このままゲームは終了した。
両チーム課題が浮き彫りになった。しかし柏はこの勝利を確実にリーグ戦に繋げなくてはならない。これは必須である。中身が悪くても勝ち続ける。このことがどれだけ大切か。それは2019シーズンに身をもってかんじたことだろう。タレントも揃っており期待しているからこそ柏には上位を目指して戦ってもらいたい。
選手がスタジアムを周る。1597人。自分がここにきた試合で最も少ない観客数だった。しかしスタジアムにはサッカーが好きという共通の趣味を持つ人間が集まる。そこに人数は関係ない。空席も目立つがそれ以上に久々のホームでの公式戦勝利を嬉しがるサポーターがいた。
スタジアムを出て暗くなった道を歩くと不思議な虚無感に襲われた。