新所属と爆への憧れ
新隊員訓練も終わり、翌週から自分の隊に編入しいよいよ本来の業務がスタートします。
どんな過酷な訓練が待っているのでしょうか?
人間、過去にとてつもない経験をすると、今後それ以上のことがない限り心が折れることがないですね。
昔の人は「若いうちに苦労は買ってでもしろ」と言っているじゃないですか?
あれの意味ってわかります?
私の勝手な解釈ですが、若いうちにすごく苦しい経験をすることにより、人間的により成長し知識もついて、さらにそれを乗り越えたという自信にも繋がります。
今後また苦労が押し寄せてきたとき、人間は過去の事を思い出し比較します。
するとその今の苦難が過去の苦難よりも容易であれば簡単に乗り越えることができる、という意味だと捉えました。
そうして、それは本当なんだなとも思いました。
訓練に限ったことですが、新隊員訓練よりもぬるい訓練は、周りがきついきつい言っていても自身ではえ?ぬるくない?こんなの簡単じゃんとひょいっと乗り越えてしまうという経験がたくさんあったのを覚えています。
逆を言えば、それほどまでに新隊員訓練は過酷だったと・・・・
自分の隊は、第一中隊第一小隊第一分隊
おお、覚えやすくていいね。
ワンワンワン
のド新人
完着にも1-1ってシールが貼ってありました。
完着をもらって、1中隊の部屋へ
すると飲み会でさんざん暴れていた先輩がいました。
先輩は借りてきた猫みたいにおとなしかったですが。
1中隊の部屋の中には、第一小隊から第三小隊までいて
警部の中隊長が1人
警部補の小隊長が3人
分隊は各小隊に3分隊あるので合計9分隊
巡査部長の分隊長が9名いる
あとは巡査の先輩からド新人までの36人
この編成で何かの時に隊列を組んで対処にあたるのです。
基本的に、機動隊は月曜の朝に全体朝礼と言って外に出て朝礼をする。
その時、前にひとり出てその人の指揮で体操から機動隊訓、機動隊歌までやるのですが、これもまた覚えることが多く、一発目から新人の私が指名されてやることになったのです。
機動隊は、本部所属なので全隊員は隊長以下300名ほどになります。
朝礼の指揮を取るため、みんなの前に出て演台に上ると300人を前に圧倒されました。
めっちゃ人いるやん
新人はとにかく声を出さなければならないのですが、みんなまずこの朝礼指揮をやらされるらしく、ここで新人の有能さがわかるとか。
つまり、この指揮によって1中隊の新人、2中隊の新人の度量がわかるというわけです。
先輩方のお遊びみたいなものです。
私は怒鳴るように、「体操できる体型にーーーーーひらけ!!」
いち、に、さん、しー・・・
「機動隊訓唱和!!」
「機動隊歌斉唱!!」
すべて怒鳴って声をとにかく出したところ、もう声がガラガラでした。
新隊員訓練では体を鍛えたが、声まだだったな。
しくじった。
所属の訓練前に声帯がやられてしまった。くそ
とにかく、周囲の先輩方のウケはよく、とりあえず新人の指揮は合格でしょうか。
ここで気になったのが、円台から全隊員を見たところ
紺色の作業服(執務服)の中に2列だけ、肩部分が黄色で背中には「北海道警察」と刺繍入りで、その下が紺色の、通常の隊員と明らかに違って特別感丸出しの隊員10名がいました。
なんだあの部隊は?
先輩に聞いたら、あれば特務中隊
つまり、レスキュー部隊、通称「爆」と言われていました。
なぜ爆なのか?
レスキュー部隊は、以前の記事でも少し触れましたが、山岳救助、水難救助、NBC捜査、爆発物処理
を担当する部隊で、特務中隊
特別任務を任せられたエリート集団だといいます。
最後に紹介した「爆発物処理」で爆
みんな爆と呼んでいます。
この人たちは、機動隊に入った時は1,2中隊のどちらかに所属し、実績を挙げたり、なんらかの才能が光ったりで爆に推薦もしくはスカウトされたりして入隊を果たすルートがあるらしいです。
消防のオレンジみたいなイメージです。
実際に爆は、消防、海保、自衛隊と合同訓練を行いそのレスキュー技術を高めあうのです。
そんな話を聞かされたら憧れない訳ないですよね。
もれずに私も爆にいきてーってなりました。
先輩方は、俺らがいけないのに新人のお前には無理だと言われていました。
つづく