#出版社社員が選ぶ本6月(社長編)
みなさんこんにちは!
6月の投稿が遅くなっておりますが…
青月社企画編集部です🌝
今月の#出版社社員が選ぶ本
投稿テーマは「太宰治作品、私なら…」です。
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6月19日は桜桃忌。
今年は太宰の生誕115年に当たりますね。
中学国語の”定番教材”のひとつでもある「走れメロス」。
そんな環境で育っていると、
〈太宰作品はどれも一読すらしたことがない〉という方が難しいのではないかとすら思えてきますし、
おそらく”太宰治”と聞いて作品名がひとつも思い浮かばない!という方も、これまた少数派なのではないでしょうか。
その作品が彼の代表作たる所以はなんだと思うかについて、あるいは
あまりみんなが知らない、自分のお気に入りについて紹介するか、
はたまた太宰は好みでないのか…
そんなことが聞けたら面白いのではと思い今月はこのテーマにしてみました。
では、今回も社長のご紹介からお送りいたします!
『グッド・バイ』
著✒️太宰治(『朝日評論』1948年7月号・未完)
新潮文庫
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文豪たちの数ある未完の小説の中でも、これほど未完、というより、これから始まっていくドキドキ感のまま、突然スクリーンが真っ暗になるようなブッタ切り感のある未完の小説を私は寡聞にして知らない。それはこの小説の軽快さと相まって作家の入水がリアルに伝わってくる瞬間でもある。
10人もの女性に別れ話を持ち出す、その一人目の青木さんに「一すんくらいの厚さの紙幣のたばを、美容師の白い上衣のポケットに滑りこませ、ほとんど祈るような気持ちで『グッド・バイ』とささや」いた田島のキザさ加減に虫唾が走るのと、その直後キヌ子に見せる駄目男ぶり。
この小説が完成していれば、現代のちょいワルおやじを自認するLEON読者たちのバイブルとして活用されていたか、どうか。(社長)
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