工藤あゆみ『今日は自習にします』の今日のこぼれ話 vol.20
しあわせの計算、人生の作文、月のように満ち欠けする体と心……。
45の教科と学校の時間をキーワードに、日々を大切に歩むヒントを絵とことばで紡ぐ『今日は自習にします』(工藤あゆみ著、2023年6月下旬発売)。
本書の刊行を記念して、書籍掲載作品の一部と、その作品に著者が寄せたことばを「今日のこぼれ話」としてご紹介します。
イタリアの夏休みは3か月、ほぼ100日間です。起きたい時に起き、海や山で遊び、ピッツァを食べ、また遊び、夜9時を過ぎても明るい公園でもうひと遊びし、やっと暗くなる頃にジェラートを片手におしゃべりしながら帰って寝る。数週間サマースクールを挟むこともありますがそこでも一日中遊んで過ごします。
学校からは宿題は出ますが量は少なく、「計画的に」「生活リズムを崩さず」といった一言やプリントは何もありません。「良い休暇を!9月に会いましょう!」と先生や友達とハグをしてしばしのお別れです。
大人も1か月、短い人でも2週間は必ず確保します。
時計もカレンダーも気にしない100日間×10数年。その後の14日間×何十年。その前後の心ここにあらずの日々を合わせたらもっと多い。
こうやってイタリア人が、イタリアが出来上がるんだなあと感心します[算数]
書籍情報
今日は自習にします
著者:工藤あゆみ
定価:1,980円(本体1,800円)
アートディレクション:小熊千佳子
判型:180×140mm
製本:コデックス装
総頁:72頁
ISBN:978-4-86152-920-7 C0071
https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-920-7/
著者プロフィール
工藤あゆみ(くどう・あゆみ)
1980年岡山生まれ。イタリア国立カッラーラアカデミア美術大学絵画科卒業。絵と文章からなる作品を中心に独自の世界観を展開、ヨーロッパや日本で発表を続ける。
2021年第14回岡山県新進美術家育成「I氏賞」大賞。
ボローニャ国際絵本原画展2012年、2019年入賞。
プレミオサンフェデーレ大賞2011/2012(ミラノ)2位。
2018年「はかれないものをはかる」2021年「キスの練習をしています また会える日のために」(ともに青幻舎)2022年「il sospiro della mamma」(Lazy Dog Press)を刊行。
2002年よりイタリア在住。現在、ミラノ近郊の街に彫刻家の夫と娘と暮らす。