ほうき星(声劇二人用台本・BL)
ほうき星
シュン
ハヤト
ハヤト『…アイツ、遅いなぁ…もう約束の時間なのに…』
(間を空けて数時間前)
シュン『なぁなぁ、ハヤト!今日さ、用事ある?』
ハヤト『は?いや、何もねえけど?』
シュン『あのさ、夜中二時頃展望台行かね?』
ハヤト『夜中って…何で?』
シュン『女子に聞いたんだ!ほうき星を見付けたら願いが叶うんだってさ!』
ハヤト『…ほうき星なんて直ぐに見付けられるだろ。当てになんのかよ、それ』
シュン『ハヤトは夢も希望もねえな…』
ハヤト『おい、サラッと失礼な事言ってんじゃねえよ』
シュン『俺さ…どうしても叶えたい事があるんだ。今夜じゃないと、もう時間ねえし…』
ハヤト『時間ねえって何で?』
シュン『…親が離婚したんだ。だから、俺は母親の実家に行く事になった。学校も今日まで』
ハヤト『はぁ!?何でそんな大事な事ずっと言わなかったんだよ!!今日の明日って…もっと前から決まってたんじゃねえの!?』
シュン『…親が隠してたんだよ。俺も今朝打ち明けられた…子供の気持ちも考えろってな…』
ハヤト『………二時頃展望台だな?』
シュン『…え?』
ハヤト『二時頃展望台でほうき星探すんだろ?』
シュン『うん!』
ハヤト『お前遅刻魔だから遅れるなよ?』
(間を空けて戻り)
ハヤト『…俺は五分前に来てるのに本当に遅刻魔だなぁ…時間ねえんだろが…』
(間を空けて)
ハヤト『…………おい、三時だぞ。流石にねえわ。帰ろ』
ハヤト『ん?携帯鳴ってる…?こんな時間に?…!?アイツもしかして寝てたのか!?……もしもし!?シュン!?お前なにし……え?オバサン?…はい、はい…え…事故…?トラックと衝突…?無事なんですか!?オバサン!ちょっ、しっかりしてください!!俺も今から病院行きますから!!』
(間を空けて病院)
ハヤト『…今夜が峠って…嘘だ…なあ!シュン!!俺はお前に言いたい事があるんだ!!だから、叶えたい事俺にもあったんだ!!死ぬな!!……頼むから…死ぬな…』
(間を空けて数分後)
ハヤト『…っ!!俺は何やってんだ…アイツに好きって言いたくて…ほうき星の話に乗ったのに…何で…っ!』
シュン『夢も希望もねえなぁ』
ハヤト『シュン…?』
シュン『…ほうき星、探しに行こうぜ』
ハヤト『幻聴か…?…っ!?オバサン!俺ちょっと行かないといけないところがあるんで行ってきます!!』
(間を空けて)
ハヤト『はぁ…はぁ…くっそ!!坂道キツい!!間に合うかわっかんねえけど…間に合わせねえと…動け脚!!』
シュン『俺さどうしても叶えたい事があるんだよなぁ』
ハヤト『知ってる!!』
シュン『でもさ、俺一人じゃ叶えらんねえんだよなぁ』
ハヤト『どんな願い事だよ!!』
シュン『言わねえよ?願い事は誰かに言ったら叶わねえって相場が決まってんだ』
ハヤト『んなの知るかよ!!』
シュン『って、俺は死んじゃうかもなんだよなぁ』
ハヤト『ふざけんな!!闘え(たたかえ)!抗え(あらがえ)!!』
シュン『………うん』
(間を空けて展望台)
ハヤト『はぁ…はぁ……はぁ…つ、いた…クッソ…脚重てえ…大体、ほうき星ってどんなのだよ…わっかんねえよ!!チクショー……おい!!ほうき星!!俺の願いを叶えてくれ!!もうほうき星じゃなくても何でもいい!!シュンを奪わないでくれ!!想いが届かなくでいい!!せめて…せめてアイツを奪わないでくれ!!!…頼む…から…!!』
シュン『…ハヤト、おい、ハヤト』
ハヤト『!?』
シュン『振り向かずに聞けよ?じゃねえと俺帰れなくなるからさ。』
ハヤト『…わかった』
シュン『お前さぁ、無駄な願い事すんなよ。もっとあるだろ?叶えたい願い事』
ハヤト『ねえよ!!』
シュン『マジで?』
ハヤト『今一番の願い事だっつーの!!』
シュン『ふーん…なら身体に帰らないとな。…俺の願い事はさ、お前への告白が上手くいきますよーに、だったんだ。でもさ、お前が俺の為に願い事使うもんだからさ…俺もお前の為の願い事しないといけねえじゃん』
ハヤト『…そんなのいい!!早く帰れよ!!俺の願い叶えろよ!!』
シュン『…ハヤト、帰ったら聞いて欲しい話がある。ちゃんと俺の口からお前に伝えたい気持ちがあるんだ。聞いてくれるか?』
ハヤト『聞くから帰れ!!』
シュン『わかったよ。…あ、因みにほうき星に願い事を言うと叶うって…俺のハッタリ』
ハヤト『!?はぁ!?!?………あれ?帰った、のか…?……電話?あ、はい、今?えっ…シュンの意識が戻った…?マジですか!?………よかった………はは、シュンのバカ野郎…ちゃんと願い事叶えてくれたわ…そしたら今度は俺がシュンの願い事聞いてやる番だよな。直ぐに行くから待ってろ。』
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