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イルルカSP環境定義四天王

イルルカSPには903種類ものモンスターが存在する。当然ながら、膨大な数のモンスターが対戦において対等の力を持つということはなく、(プレイヤーの研究によって時折変化するものの)強い弱いの差がある。特に突出して強いモンスターは「ぶっ壊れ」なり「厨」なりと呼ばれ、時々話題となる。

ところが、世間における強さの評価は、対戦をあまり行わない人が中心である為か、的を得ていないことが多い。例えばYoutuberがマジェス・ドレアムや轟雷滅殺剣ばかりを強いモンスターや特技の代表として扱うのがその一例である。

このような認識の差が生じる原因として、強さを評価する基準が曖昧であるということが挙げられる。そこで、本稿ではモンスターの強さの評価基準として、育成や構築において行うべきことを設定し強制する力(環境定義力)を提起、それに基づいて強いモンスター・特技をそれぞれ4種類選抜し、強さの定義と基準の明確化を行った。


環境定義モンスター四天王

環境定義力とは、そのモンスターが存在しているだけで育成や構築において行うべきことを設定し強制する力のことである。これだけでは抽象的であり議論に適さない為、最初に強いモンスターの結論である環境定義モンスター四天王を挙げ、彼等を論じることで理解を深めることとする。

【1】名もなき闇の王~状態異常耐性埋めの強制

3DS時代から存在したモンスターではあるが、サイズ縮小や紋晶による特性強化によって環境に大きな影響を持つモンスターとなった。新生配合によりサイズをスモールボディにすることで超行動速いとスモボを両立し、特性による通常時の行動順が最速となる。加えて常にアタックカンタにより、疾風突きや捨て身のような下準備無しの先制技は受け付けない。これらのお陰で先制行動が保証され易いのだが、それでいて行動した時の破壊力もAI2~3回行動と超ガードブレイク故に突出している。超ガードブレイクは特性のSP化により耐性激減までは弱点扱いでダメージ計算するので、耐性が無効以上でないならば高確率で相手を状態異常にすることが出来る。それが1ターンに複数回飛んでくるのだから、マインド、混乱、麻痺、眠り等、完全に行動を止めてしまう状態異常が全て無効でない限り、ほぼ確実に行動不能に追い込まれてしまう。以上をまとめると、先制技無効かつ特性で行動順が速く、敵全体を高確率で状態異常にする技を1ターンに複数回連打するモンスターという、あり得ない性能をしているということが分かる。

このモンスターの存在により、以下の5つの対策のうちどれか1つ以上を全てのパーティが採用しなければならなくなった。

  1. パーティ全員を状態異常全て無効以上のモンスターで固める

  2. リバースやシャッフルにより名もなき闇の王の行動順を遅くする

  3. より素早さの高い超速スモボで名もなき闇の王より先に動く

  4. 相殺によって身代わりを維持して状態異常技を防ぐ

  5. 威圧やラブリー等の特性で行動不能にする

1は主にSP版で追加された異常耐性の異様に高いモンスター(例えばぶちスライムベスや妖魔軍王ブギー等)だけでパーティを組むというやり方で、対策としては分かり易く、名もなき闇の王以外の状態異常使いに対しても有効なのがメリットである。状態異常耐性自体は空いてはいるがしっぺ返しで相手も状態異常にするモンスターが1匹混じっていても良い。しかし、これだけでは名もなき闇の王が止まらないというのがデメリット。ザキ、マインド、混乱、麻痺、眠りまでは埋まってもマホトラや斬撃封じ、体技封じまでは流石に埋まらず、行動不能にこそならずとも実質的な無力化はされてしまうことが少なくない。特技を封じられても通常攻撃するだけで強い3,4枠モンスターでも巨大モンスター潰し+チャンピオンSPでギガキラーSPと体当たり、回し蹴りを搭載した型には破壊される。状態異常を撒かず攻撃役になっても強いのである。これだけでは致命傷は避けられるがそれだけである。2,3,5あたりと併用する必要がある。

2はいきなり・時々シャッフルやリバースの特性によって名もなき闇の王の行動順を通常時より遅くするという方法で、シャッフルなら単なるスモボと同じ、リバースなら超行動速い故にかなり遅い順番となる。前者は一見対策として不十分に見えるが、名もなき闇の王は素早さが低いので、他のスモボで十分先制出来ることが多い。但し、名もなき闇の王を使う時点でこれへの対策として赤、黒、白、冥界の霧の何れかをパーティに採用しているだろうし、そうなると行動順を乱せるかどうかは運次第になる。また、シャッフルへの対策として素早さアップSPのスキルで素早さを高めた名もなき闇の王も存在する(それでも素早さの高いスモボまでは抜けないが)。これだけでなく他の方法と併用して対策とする必要がある。シャッフルやリバースは3,4枠のモンスターのスモボ化と相性が良いので、1と組み合わせるのがやり易い。シャフ黒マツリバがその一例である。

3や5は赤速攻等で採用される方法である。例えば超行動速いを新生したプチぼうやかくれんぼうは名もなき闇の王に素早さ故に先制出来るだけでなく、ラブリー発動によりマインド状態にすることまで狙える。名もなき闇の王はマインド耐性を埋めることは困難でも武器の鍛冶によって普通にはしているであろうし、マインドに関しては通ったらラッキーという感じか。クイーンモーモン等のラブリーを持つモンスターを更にパーティに加えたり、お色気(威圧)をモントナーに新生したり、マインドの試行回数を増やすのも手。他にも、白黒(オセロ)速攻の超速ベビークラウドも名もなき闇の王に先制して動きを止められるモンスターである。

4は赤庇うや超ハードメタル相殺身代わり等の身代わり軸のパーティで主に採用される手法である。黒速攻やマツケンリバースで闇竜シャムダ等に全てを吸い込む等を使わせるのも該当する。

【2】はぐれメタル~マホカンタ庇う体技予測への突破手段用意の強制

3DS時代から存在したモンスターであり、常にマホカンタを新生することも同じく3DS時代から可能であったが、特性のSP化によって庇うの発動確率が上がり、発動を前提とした立ち回りを要求されるようになって凶悪化した。特技の身代わりであれば身代わり封じが効くが特性の庇うには効かないだけでなく、予測によって有効な技が減り、相殺で攻撃を止め易くなっている。常にマホカンタ新生や後述するリーズレットが時々赤い霧や吹雪呼びで行動を更に制限するのが凶悪さに拍車を掛けている。

常にマホカンタと体技予測だけで普通ならメタルに通るような技がどれだけ止まるか、列挙すると以下のようになる。

  • 何もせずともはぐれメタルに元々効かない

    • 属性攻撃全般

    • 状態異常(ザキ、毒、呪い、混乱、麻痺、眠り)

    • マインド(ねぶた魂のスキルと武器の鍛冶で無効)

    • 体当たり(メタルボディで効果が薄い)

  • 常にマホカンタ故に効かない

    • マジックハック/グレイトハック

    • ギガ・マホトラ

    • メガンテ

  • 体技予測で効かない

    • 凍て付く波動

    • 作戦封じ

    • 特攻

    • 不気味な光/不気味な閃光

    • 正拳突き

    • 悍ましい雄叫び

    • 邪竜神の叫び

これらを除いた突破手段として通常攻撃含む物理攻撃、轟雷滅殺剣、アビスハンド、作戦封じの息、悪夢の呼び声等があるが、前3つは吹雪呼びと時々赤い霧、後ろの2つは邪竜神ナドラガのスキルだけで相殺出来る為、リーズレット1匹でかなり穴が塞がったりする。そしてそれ以前にはぐれメタルは体技予測以外の予測技を使っても良いというのもポイント。

【3】リーズレット~物理アタッカーのマヌーサ耐性埋めの強制

吹雪呼びSPがマヌーサ無効でないモンスターを高確率でマヌーサ状態にしてしまう為、マヌーサで命中率が下がる物理攻撃主体のモンスターはスキルでマヌーサ耐性を無効にしなければならなくなった。混乱と眠り無効の耐性、時々赤い霧やAI2回行動という他の特性も優秀な為、はぐれメタルと組まずとも赤霧パーティなら自然に採用出来、対策は切れない。物理アタッカーというだけで事実上白虎の進撃の採用が強制され、スキル枠が1つ減るというのは環境への影響が極めて大きいと言わざるを得ない。

【4】ぶちスライムベス~レベル1育成の強制

状態異常全無効故に対戦で多用されるが、負けず嫌い(SP)の特性を持つ為、レベルが自分より高いモンスターへの与えるダメージが1.3倍となる。これは無視出来る倍率ではない為、特別な理由が無い限り、対戦で使うモンスターは全てレベル1にしなければならなくなった。

環境定義特技四天王

モンスターと同様に、環境を定義するものは偶然にも4つ。ここで重要なのは、環境定義は環境定義であって、トップ層の対戦における勝率ではないということ。捨て身やチェインはトップ層の対戦であまり使われないが、にも関わらずその対策は最優先で行われている。

【1】捨て身~アタカンor赤霧採用の強制

捨て身は高火力先制技で、特に4枠のダメージ上限無しの全体攻撃版ならば無対策だと何も行動出来ずに全滅する。対策しないことはあり得ない。赤霧パーティ以外なら常にアタックカンタの採用は当然で、或いはHPバブルSPや亡者の執念で多少誤魔化せるくらい。

【2】チェイン~凍て付く波動採用の強制

チェインも事実上の高火力先制技であり、無対策なら何も行動出来ずに全滅する。連携が発動するので亡者の執念等の特性も無駄。凍て付く波動の特性を持つモンスターをパーティに採用しチェイン発動後の対策をするのは最低条件、可能ならばラウンドゼロや黒い霧等の発動を阻害出来る特技も採用したい。

【3】メガザルダンス~パーティチェンジ(orメガザルダンス)採用の強制

ステータスの系図補正やHPバブルSPの登場により1枠モンスターでHP3000到達が容易となり、事実上のスタンバイ確定全復活技となった。相手にのみ使用されると使えるパーティの数がこちらだけ1つ少なくなり圧倒的不利。環境にいるメガザルダンス使いは基本的に異常耐性が高く状態異常で止めるのは無理、冥界の霧は相手がゼロの衝撃を使わずこちらが先制するのが前提で対策として不十分。こちらもメガザルダンスを使うか、パーティチェンジで交代権を失わせ復活を無意味にするか。パーティチェンジがより安定。

【4】パーティチェンジ~相殺orラウンドゼロ採用の強制

メガザルダンスと同じく数の有利を生み出す技だが、メガザルダンスのように味方を増やすのではなく、相手の使えるモンスター数を減らす。イルルカSPの対戦は相手のモンスターを全て倒さずとも10ターン目の終了時に判定によっても決着する為、交代権を失ったパーティをこちらに反撃出来ない程度に痛め付けて生殺しのまま時間経過、最終ターンに止めを刺して判定勝ち、という動きが強い。パーティチェンジを止めるには同じくパーティチェンジで相殺するか、ラウンドゼロで発動の瞬間を時飛ばしするしかない。一応、幻魔の獄や低MPモンスターによるチェンジ等でも不発に出来るが、前者は対策され易く、後者はパーティに組み込むにあたって汎用性の低さが問題となる。

環境を定義しないが強いモンスター・特技

強さとは何かについてより理解を深める為、特に高い環境定義力を持たないものの強いと言われているモンスター・特技について、具体例を通じて議論する。環境定義力を持たないということは、対戦で出会えば厄介ではあるが育成・構築段階までには束縛を掛けないということである。

また、環境定義力の低いモンスターや特技は別のもので代用が利くという点からもその強さの限界が知れる。というより、似たような性質を他も持っているモンスターの場合、幾ら強くてもそれが「標準」にしかなり得ないようにも思われる。テリワンではムドーのAI2~3回行動は評価されたがイルルカではそこまででもないし、イルルカではあまり評価されていない蛸壺小僧もいきなり・時々黒い霧の両立しているのでもしテリワンにいたら活躍出来たことだろう。

【1】マジェス・ドレアム~捨て身&アタカン対策枠

新生配合で1枠にするとAI3回行動なので使い易く、それでいて常にアタックカンタと凍て付く波動を両立して捨て身とチェインへの対策をたった1枠で行える。当然これだけでは対策として不十分ではあるが、捨て身やチェイン対策に割くパーティやスキルの枠の総量を圧縮出来るので、彼を採用しないで捨て身・チェイン対策をするよりも強いパーティになり易い。とはいえ、彼無しで強いパーティは組めるし、全てのパーティにおいて彼を採用した方がより強くなるということもない。アタカンならば大魔王マデュラージャや闇竜シャムダ、凍て付く波動ならば真・魔王ザラーム等でも良く、そちらの方が状態異常耐性がマジェスより高かったりもする。尤も、アタカンと波動の両立がマジェスの強みとして残ってはいるし、両立したモンスターの中で最も使い易いのは確か。両立モンスターはアタカン新生エルギオス等が次善のものとして存在する。

そして相手がマジェス・ドレアムを使うだろうと想定したところで、自分がパーティをどう作るかには大して影響しない。4枠捨て身やチェイン、名もなき闇の王の異常連打のようなまともに受け切れない理不尽火力の押し付けはしてこないし、はぐれメタル・リーズレットのようなこちらの攻撃の殆どを無力化するような鉄壁の要塞でもない。アタカンと全ガード+でタフではあるが普通に攻撃すれば死ぬし、麻痺や眠りも効く。精々、チェインを使う人が連携を消されることの想定とアタカン貫通火力の準備が要求されるようになったくらいか(とはいえ、マジェスのいない3DS版でも強いチェイン使いは相手の凍て付く波動を想定しつつ戦っており、これも大きな変化とは言い難い)。一応、呪文チェインはそういう観点から司令塔モントナーと呪文主体の攻撃を採用しており、マジェスを意識して構築が変わることが皆無という訳ではない。

総じて、捨て身とチェインの両方の両方を同時に対策出来るモンスターの中で最も汎用性が高いから採用されているだけで、彼がいなければパーティが組めないとか、彼の存在によって環境が変化しているとか、そういうことはない。

【2】轟雷滅殺剣~単なる高火力技の1つ

ステータス非依存特技なのでAI3スモボに使わせて強い技ではあるが、所詮はそれだけに過ぎない。呪文や体技、息で代用が利くので、赤速攻のようにこれを採用せずとも高火力を出せる構築は存在する。また、HPバブルSPでHPの上がった相手を倒すことも困難。HPの高い相手を倒すという観点では体当たりや特攻、メガンテに明確に劣る。攻撃技として轟雷滅殺剣だけ採用して通用する程このゲームは甘くない。

【3】異常耐性の異様に高いモンスター全般

屍騎軍王ゾルデや妖魔軍王ブギー、メルトア等。強いことは強いが名もなき闇の王対策としてこれらのモンスターを使っているのであって、状態異常がこんなに強いゲームでなければ別のモンスターで代用が利く。

結論

世間的にはモンスターや特技の強さに関して、ぶっ壊れや厨といった言葉で色々表現されているが、定義が雑で有益な議論にはなっていなかった。本稿では強さの定義として環境定義力というものを導入し、それに従って今まで強いとされていたモンスターや特技の強さの分類を行った。その結果、評判と異なり、マジェス・ドレアムや轟雷滅殺剣が強さの頂点という訳ではないということが分かった。

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