4枠化鬼棍棒の育成と配布
概要
イルルカSPは新生配合によって任意のモンスターを後天的に超Gサイズに巨大化させることが可能となった。その為14種類しか4枠になれるモンスターがいなかった3DS版と比べ、903種類全てが4枠モンスターになれるイルルカSPは4枠モンスターの候補が60倍以上になったと言える。それ故に4枠モンスターの研究は重要であり、現在の対戦環境においても活躍が多々見られる。本稿ではその中でも優秀な特性を持ち対戦で多用され、かつオンライン他国マスター(オンタコ)によってしばしば配布されることもあり目にする機会の特に多いであろう4枠化鬼棍棒について、筆者がどのように育成し、それをオンタコで配布するに至ったかについて、鬼棍棒の対戦における位置づけの変化、4枠モンスターに要求される性能について議論しつつ記述する。
1 序論
鬼棍棒は行動遅い故の優れた異常耐性、亡者の執念を始めとした優秀な特性、そして高いHP、攻撃力、守備力を持ち、それ故に3DS版の時代から対戦において様々に活躍していた。異常耐性や耐久力の高さを活かしてチェインを唱える、精霊の歌等で回復役になる、チェインパーティの裏でアタッカーとして働く、行動遅いが特に役に立つリバースパーティに起用される等々、数えればキリがない程である。そして掲示板におけるみやこによる魔獣系評に”2枠は行動回数が安定しないモンスターが多くヘルゴラゴ、タウラス以外は微妙。むしろ種族最強はMサイズおにこんか。3枠は脳筋モンスターが多く耐久力にも優れる。地獄の踊り耐性を完備しているのは◎。こちらも種族最強モンスターはギガおにこん。”(改行削除、句点の補充を筆者が適宜行った) [1]とあるように、鬼棍棒は2枠、3枠に巨大化させても強いということが知られていた。
であるから当然、イルルカSPにおいても鬼棍棒の対戦における活躍は新要素である4枠化による運用も含めて事前に予想され、初期において多々検証と実践が行われた。これはオンライン他国マスターで鬼棍棒を多々見かけることや、3DS時の知識と初期環境を前提に強豪モンスターをピックアップしたブログ記事[2]に鬼棍棒が掲載されていることからも明らかであろう。
しかしながら、実際には鬼棍棒は長らく対戦の最前線では活躍することはなかった。異常耐性の高い1枠として運用するならばイルルカSPにおいて新登場した屍騎軍王ゾルデや妖魔軍王ブギーが勝り(例えばこの赤チェイン[3]では3DSであれば鬼棍棒が使われていたであろう位置にゾルデが、メタルキングがいたであろう位置にリーズレットが配置されており、赤庇う[4]においても用いられない。司令塔シャフ[5, 6]については言うまでもない)、そして4枠化して用いるにしても他のモンスターの方が優れていると考えられたのである(具体的にどのような4枠モンスターが使われていたかは対戦史[7]参照)。行動遅い(orスモールボディ)の物理アタッカーを構築に多数要求する物理リバースにおいてでさえ、時々リバースを持つマンイーターやプオーン、あらゆる役割を持てるスモボ化マジェス・ドレアムで物理アタッカーの枠は埋まり、鬼棍棒は使われなかった程である[8]。
この状況が変わったのは松山研斗以降である。彼が4枠化鬼棍棒を使用して後スキル構成や立ち回りが研究され、最強クラスのパーティの1つであるシャフ黒リバ[9]に対して互角に立ち回れる可能性が明らかになったことから、その有用性が明らかとなった。
本稿では、対戦において4枠に要求される性能を記述しつつ、どのような点において鬼棍棒が先行する4枠である骸骨[10]に勝り、或いは劣るのかを議論する。その後、対戦環境の要求に応じて筆者が育成し、オンライン他国マスターで配布モンスターに設定した3種類の鬼棍棒について詳細に述べる。
2 4枠モンスターへの要求性能
対戦において4枠に要求される性能を列挙すると以下のようになる。各項目について、鬼棍棒を骸骨と比較しながら論じる。
(1) 先制攻撃性能
(2) 相打ち性能
(3) 待ち性能
(4) 詰め性能
(5) 対4枠性能
2.1 先制攻撃性能
特性強化や特技追加による火力インフレにより、イルルカSPでは3DS版とは異なり1枠モンスターの攻撃で1ターンの内に4枠モンスターがやられることも一般的となった。その為、相手の行動前に行動し、何もさせずに倒すことの重要性は上がっている。実際、アスラゾーマ等4枠モンスターにまねまねやアンカーナックルといった後攻技、マダンテのような先制が保証されない攻撃技を使わせるのは3DS時には一般的であった[11]が、SPにおいては耐久力に優れるメタルゴッデスがマダンテを使うのを除けば殆ど見られない。
先制攻撃の方法には行動順操作特性(超行動速いや行動遅い)と先制技(捨て身や疾風突き、リバース+アンカーナックル等)の2種類が存在する。但し、行動順操作特性は4枠モンスターはシャッフルでは全く恩恵を受けることが出来ない為、シャッフルが多々使われる現環境においては、シャッフルを1ターン凌ぎ、尚且つシャッフルを消す方法を持つモンスターしか十分に活かすことが出来ない(或いは、シャッフル相手とは戦わせない、特技による先制に頼るという手もある)。先制技に関しても、疾風突きは隣に司令塔モントナーを置けない4枠では火力が足りず、アンカーナックルはリバースを取り、次にアンカーナックルを使うターンに時々○○の霧でリバースを上書きするという下準備を手数の少ない4枠で実行するのは非現実的であるので、事実上捨て身に限定される。
先ず行動順操作特性について鬼棍棒と骸骨の比較を行う。骸骨は行動順操作特性を全く持たない為、先制攻撃の手段は先制技に限られる。対して鬼棍棒は行動遅いを持ち、尚且つ時々リバースまで保有する為、行動順操作特性と特性による先制を可能にする霧の発動を両立しており、この点においては鬼棍棒が明確に勝っている。モンスター単体だけでなく構築全体で考えると、裏にメガザルダンス使用者を含むリバースパーティを配置することで鬼棍棒が先制攻撃出来る状況を高い蓋然性を以て実現させられるので、この差は更に広がる。
先制技に関しては骸骨、鬼棍棒共に攻撃力の高い物理アタッカーであるから同じように捨て身を使うことが出来、その点では差は小さい。しかし、鬼棍棒には時々リバースがある為、赤い霧によって捨て身を封じられた場面でも確率次第では捨て身を打つことが出来る。最後の足掻きではなく亡者の執念を持つ鬼棍棒でそのような立ち回りをすることは少ないであろうが、純粋に理屈の上ではこうなる。
以上より、行動順操作特性、先制技の双方に関して、鬼棍棒が骸骨に勝る、即ち、先制攻撃性能に関しては鬼棍棒の方が優秀である。
2.2 相打ち性能
1枠モンスターの火力増加により4枠の耐久力が相対的に落ち、先制攻撃の重要性が増したことは既に述べた通りである。しかしながら、そのことは1枠モンスターを使う側も心得ており、先制攻撃への対策は当然行われている。その為、先制攻撃で倒し切れなかった、或いは先制攻撃しなかった場合においても、相手側に打撃を与えられることが汎用性の為求められる。
それを実現する手段として考えられるのは最後の足搔きと亡者の執念であり、それぞれ骸骨、鬼棍棒が所持している。この2つは性質の異なる特性であるから、順調に発動出来た場合の破壊力と、そもそもの発動成功率の2つに分けて考察を行うものとする。
先ず破壊力について述べる。最後の足搔きは自分が倒された時の超過ダメージを基準にし、その上で大きく不安定なランダムの係数がかかり実際のダメージが決まる為、ダメージの不安定性を与える要因が2つも存在することになる。特性強化のシステムもあり多くの場合十分な破壊力を発揮するものの、常に相手パーティを壊滅まで追い込める訳ではない。対して亡者の執念の場合、鬼棍棒は瀕死で会心出易いの特性もあることから、通常攻撃による会心の一撃によってほぼ確実に壊滅付近にまで持っていくことが出来る。特に亡者の執念をSP化した場合にはテンションが上がる為アタックカンタ持ちであれ逃がさない。破壊力という点では鬼棍棒が優れていると言える。
次に発動成功率について考えると、こちらは逆に骸骨の方が勝っているが、その理由はそもそもの特性の発動条件の阻害され難さ、特性が発動した場合に実際にダメージを与えられるかの蓋然性、その2つにある。
特性の発動条件の阻害について考える。最後の足搔きも亡者の執念も大ダメージを受けHPが0になった時に発動するのであるから、一見は対戦中確実に発動するように見える。しかしながら、実際はそうではない。連携中のモンスターの攻撃であれば、被攻撃時に発動する特性は発動しないからである。連携は通常は確率的に発生する低確率の運要素に過ぎないが、チェインを唱えることで意図的に起こすことが出来、またチェインパーティは対戦で多々使用されている為、無視することは出来ない。そして連携中の攻撃によって無効化されるという点だけ見れば最後の足搔きも亡者の執念も同じであるが、主にチェインによって引き起こされること、チェインの効果は凍て付く波動によって解除されることを考慮に入れると、凍て付く波動の特性を兼ね備える側がより発動において安定であると言える。骸骨と鬼棍棒の場合、前者のみ凍て付く波動を持つ為、そちらが勝るのである。また、骸骨は鬼棍棒よりHPが1000以上も多い為、チェイン連携攻撃に対する生存性能自体もより優れている。
そして特性が発動した際に実際にダメージを与えられるかを考えると、こちらは特性それ自体の性質として最後の足搔きの方が勝っている。亡者の執念は発動した段階ではターン終了時までの行動が保証されただけであり、モンスターが実際に行動の手番を得られるか、また行動したとしてダメージを与えられるかは保証されないからである。ラウンドゼロによって行動する前にターンが強制終了させられる、或いはギャンブルボディ+バイメリト+庇う(身代わり)等によって行動出来たとしても攻撃を無力化されるリスクを内在している。発動した時点でダメージ判定が行われ、スモボ回避以外での不発をほぼ考慮する必要の無い最後の足搔きの方が優れているのは自明である。ラウンドゼロや身代わり(仮令何らかのダメージ無効化ギミックが無くても、これだけで被害軽減は出来る)はチェインと異なり多くのパーティに一般的に採用される特技であるから、この差は無視出来ない。この点においても骸骨がより優秀であると言える。
以上をまとめると、ダメージによる死亡時の相打ち性能に関しては、理想的な動きをした場合の最大火力に関しては鬼棍棒、ダメージを与える確実性に関しては骸骨が勝るということになる。総合的にどちらが優れているのかは人によって異なる解釈があり得るであろうが、筆者は骸骨を評価する。最大火力自体は鬼棍棒の方が勝るとはいえ火力自体は大抵の場合骸骨でも十分に強力でありダメージの確実性、特にチェインに強いということを重視すべきと考えるからである。そして火力が物足りないなら最後の足搔きのダメージを増やす為、赤霧でも骸骨に捨て身をさせる択があることを付記しておく。
尚、上記で相打ち性能一般とせず、「ダメージによる死亡時の相打ち性能」に関しては骸骨が勝ると条件を限定したのは、状態異常等のダメージに依らない無力化手段を使われた際の相打ち性能はまた別だからである。具体的にはザキ、マインド、混乱、麻痺、眠り、マホトラ、マヌーサ属性であるが、骸骨はこれらの耐性を無効まで上げつつハックも無効にすることで防ぐのに対し、鬼棍棒はハック耐性は上げず過剰耐性によって防いでいる(マヌーサは特技ではなく吹雪呼びを想定する為、過剰耐性にする必要は無い)。過剰耐性による防御は常に安泰ではあるが、ハック無効による防御はグレイトハックや不気味な光等の特技は防げるが根に持つタイプによる耐性低下は防げず、状態異常を受ける可能性が存在している[12]。頻繫に遭遇する事象ではないものの一応念頭には置いておきたい。
2.3 待ち性能
命名が適切かどうか判然としないが、ここでは先制攻撃も出来ず、相打ちを即座に狙いにもいかず、持久戦を仕掛ける性能のことを待ち性能と呼ぶこととする。先制攻撃性能の項で先述したように火力インフレが起こったので、待ちの手段は極めて限られ、ほぼアストロン、大防御、○○予測のみであると言える。
待ちの目的は相手の攻撃に耐えている間に何らかの状況を好転させることにある。防御行動に手数を使っている為、状況の好転は特性によって狙うことになる。一応、例えば体技予測によって相手のパーティのアタックカンタを持つアタッカーを反射で倒し、かつ回復役が蘇生に失敗し、次のターン相手パーティの全員に捨て身が通るようになるという風に、特技の効果によって状況が好転する場合も無くはない。しかしながら、そのようになる確率は低く、そうなることを期待して行動するというのはそれ以外に勝ち筋が無い場合を除き、賢明であるとは言えないだろう。待ちの戦法を取るならば、その目標を明確にしておかないと単に時間を無駄にするだけならまだ良い方で、相手にチェインやパーティチェンジ等の強力な技を使う猶予をみすみす与えてしまうことにもなりかねない。例えば何も考えず初手大防御等は良くない手である。逆に、体技予測によって3回行動のスモボに対し轟雷滅殺剣の溜めを誘い、次のターンに斬撃予測で仕留めるというのは相手の回復役の蘇生失敗という確率要素に期待することにはなるものの、合理的な手である。
骸骨の場合、待ちにおいて発動を期待する特性はカウンターと凍て付く波動である。カウンターは赤霧で轟雷滅殺剣を使ってくる恐れが無く、体当たり等の体技以外に攻撃手段を持たない相手の通常攻撃を体技予測によって誘うのが能動的な使い方となる[13](積極的にカウンターを狙いに行かずとも行動回数の余った回復役が勝手に攻撃してきて発動し、それが有効打になる場合も存在する[14]のでカウンターは明示的な待ちの戦術を取らずとも強い特性ではあるが、今は待ちについて議論しているので一旦置いておく)。しかし現環境において体技予測が理想的な待ちとなる場面は轟雷滅殺剣や息、呪文を考えるとそう多いとは言えず、骸骨の待ちのメインは凍て付く波動にあると見做すのが適切であろう。
その凍て付く波動による待ちであるが、この効果も限定的であると言わざるを得ない。自己強化が攻撃の主軸に含まれているのはチェインパーティのみであり、そのチェインパーティにしても、凍て付く波動でチェインを消されてもそのターンのうちに再びチェインを唱える(再チェインする)ことが多いからである。チェイン側が1ターンでは骸骨を倒し切れないと踏んでラウンドゼロを使う、即ち再チェインしないと読んでアストロンや大防御し、次のチェインが切れたターンに攻撃するという動きを想定することは出来るが、チェイン側は普通十分な火力を用意しており再チェインが安定択であることを考えると厳しい。また、そもそも凍て付く波動の発動確率がSP化しても40%と、決して低くはないが頼りにはならない数値であるのも辛い。待ちというよりは相打ち狙いだが、再チェイン(かつ凍て付く波動発動ならば)チェイン側の攻撃を耐えると踏んでこちらも攻撃に出る、もう耐えられないから凍て付く波動からの最後の足搔きを期待して捨て身する等が競合する選択となる。総じて、骸骨は待ち性能は高くはないと言える。
それと比べると鬼棍棒の待ち性能は高い。ギャンブルカウンターこそ威力は過剰で発動率の低さから骸骨のカウンターに劣るものの、時々リバースが発動すれば次ターンの先制が狙える為、待ちによって状況が好転し得る場面は多い。例えばシャッフルとの戦いにおいてリバースを取ることが出来れば、素早さの低くないスモボに対して次のターンは捨て身のみならず任意の特技で先制攻撃が可能となるので、アタックカンタ持ちを幻魔の獄で無力化する、複数回の通常攻撃で捨て身以上の打撃を被ダメージ増加のデメリット無しに行う等、状況に応じた様々な攻めが可能になる。時々リバース発動後に相手の時々○○の霧が発動する、或いは特技で霧を使われてリバースを確保出来ないこともあり得るが、それを踏まえても待ちの価値はある。鬼棍棒がシャッフルに対し待ちの戦法を取った実例としてはニート(ハンドルネーム)によるものが存在する(シャフ黒リバ[9]の4.2項の動画)。
2.4 詰め性能
有利な状況になった後、そこから確実に勝てる状況へ進める能力。極端な例として通常攻撃と捨て身しかしない4枠を考えると、仮に相手のパーティを残り1匹まで追いつめたとしてもそれがアタカン持ちであれば倒せず、そこから逆転を許してしまうことになり得る。アタカン以外にも考えるべきことはあるが、物理攻撃主体の4枠にとっての詰めの主問題がそれであることには変わりない。
アタカン持ちへの対処は主に2通り、倒してしまうか、MPを削って生かしたまま無力化するかである。前者には爆裂拳、回し蹴り、剣の舞を、後者には幻魔の獄を用いることになる。アタカン持ちは1枠に限らず大型モンスターの場合も考えられるが、そのような相手には詰め以前にまともなアタカン貫通技が無ければ勝負の土俵にすら上がれないので、前者の特技は必ず何れかは習得しておく必要がある。幻魔の獄はアタカン持ちの他回復等厄介な特技を使うモンスターの無力化にも使える為、必須ではないが習得が推奨される位置付けになる。必須と言い切れないのは通常攻撃や捨て身でアタカン以外を倒してから爆裂拳で倒す、鬼棍棒であれば亡者の執念SPによるテンションアップからの通常攻撃瀕死会心でアタカンごとまとめて全員倒す等、倒すのも幻魔の獄と同じ程度の手間しかかからないからである。しかし習得が推奨はされるのは、単に相手のモンスターを倒してもメガザルダンスで蘇生させられてまた活動を許してしまうのに対し、一旦MPを枯らしてしまえば蘇生されても無力化されたままであり無力化の安定性が高いことに加え、ずっと防御し続けて倒さずに放置という勝ち方も生じ選択肢が増えることにある。相手パーティを倒し切るという点では凍て付く波動+最後の足搔きで相打ち性能の高い骸骨が勝るであろうが、幻魔の獄による(対アタカン持ちに限られない)詰め性能は時々リバースと行動遅いによる先制性能に加え、亡者の執念によりパーティチェンジ適性のある鬼棍棒の方が強力であろう。相手を倒し切ること以外の勝ち筋の太さを鑑みるに、詰め性能は鬼棍棒の方が高いと言える。
2.5 対4枠性能
今までは1枠との対戦を主に想定してきたが、4枠との対戦も考慮する必要がある。物理アタッカー同士はただ殴り合ってほぼ相打ちに終わるかパーティチェンジを通すことに終始し格別の対応策は不要であろうが、回復技を持つ大型メタルの突破を想定するのであれば、修羅の獄か特攻、道連れのワルツの何れかが求められる。修羅の獄や特攻は4枠のみならず3枠メタルにも通用するのが利点となる。
3. 鬼棍棒の育成
以上で論じてきた条件を満たす鬼棍棒のスキル構成とそこに至る経緯を、オンライン他国マスターで設定したことのある3種類について示す。
3.1 攻撃力SP型
個体値はHADドラゴン系図(異物???系)で、ステータスとスキル構成は下図の通り。賢さが401を下回っており判断力が低いがこれは一概に悪いことではない。というのも、アタカン持ち1枠を幻魔の獄で無力化した後、残った行動回数でテンションを上げずに通常攻撃を行うのでアタカン持ちを倒さないでいることが出来るからである。
スキルの選定理由は創造神マデサゴーラが体技・斬撃予測と幻魔の獄、アストロン。マリンデュエルが爆裂拳とマホトラ、ベタン耐性。知略ジェンヌはパーティチェンジで、オリハルゴンは捨て身と大防御、ダウン対策のバイキルト。ガーディスは2つ目のマホトラ耐性と道連れのワルツ、リザオラルや凍て付く波動。攻撃力アップSPは比較対象となる骸骨の攻撃力が通常対戦で使われる範囲で最大が1843であり、それに劣らぬようにする為。武器にはアンチ身躱しアップ、マホトラを過剰耐性にする為のマホトラ耐性、瀕死時の会心率を100%にする為の会心率アップを付けるのが定番である。特性強化は時々リバース、スタンダードキラーまでは衆目一致するところだが、残りはアタカン持ち1枠を重く見るなら亡者の執念だが大型モンスターを重く見るならギガキラーと、人によって見解が分かれる。
必要条件を列挙すればスキル構成はここから大きく外れない。実際、例えばドクター・デロトは大防御やバイキルトより回し蹴りや特攻を重く見てオリハルゴンではなくチャンピオンSPを採用した個体を私以前に育成していたし、その他、Bruceがパーティチェンジ後のMP切れ対策としてスラリン船を入れた個体を作り、またオンライン他国マスターで配布していたりもした。スキル構成という点で見ればこの鬼棍棒はありふれた極普通の型だと言って良い。敢えて言えば、当時としては回し蹴りや特攻よりも大防御を優先してオリハルゴンを入れているのは珍しいというくらいか。
にも関わらずわざわざ屋上屋を架して鬼棍棒を新たに作り、配布設定したのかと言えば、従来の配布鬼棍棒は完璧ではなかったからである。鬼棍棒配布者は把握している限り無個性、Bruce、るなりあの3名がいたが、当時は自前で育成した鬼棍棒をそのまま対戦で使えるようにする為、鬼棍棒の素早さを下げる目的で両親のレベルを最大まで上げずに配合されており、ステータス上限値が低かった。鬼棍棒の対戦動画(シャフ黒リバ[9]の4.2項の動画)において、鬼棍棒のHPが4300程度しかなかったのがその一例である。尤も、恐らく現在においては配布前提の完全な個体値の鬼棍棒が増えているであろう。
そこで完璧な鬼棍棒を配布すべく、自前での使用を考えず両親のレベルを最大まで上げて配合したのがこの個体である。加えて、従来の鬼棍棒では素早さ調整と個体値調整の両立の困難さから個体値は攻撃力と守備力のみ上げていたところ、HPまで上げてより肉弾戦性能を高めてもいる。
3.2 マダンテ型
魔法使いSPを採用し、マダンテによって相手の鬼棍棒を一撃で粉砕する型。マダンテの威力確保の為MPの個体値は下げず、ギガキラーをSP化させる必要がある。その時のマダンテのダメージは5220。十分な火力を出す為には素の鬼棍棒ではMPが少し不足するので、マダンテ習得スキルは魔法使いSPである必要がある。自動MP回復を得ることが出来、1ターンに60程度回復するので爆裂拳や幻魔の獄に必要なMPは即座に回復するのが魅力。鬼棍棒同士の対決で初手にパーティチェンジしかやることのない相手に対し有利。
マダンテの有用性は2021年11月7日にJasper主催で開催されたおにこん杯(AI1~3回行動のモンスターのみ使用可能、行動回数が確実にAI1~3であると保証する為、新生配合による特性変更はサイズ変更のみ、かつそれが義務の対戦会)において、鬼棍棒にマダンテを採用したドクター・デロトが優勝した[15]ことに起因する。多数の鬼棍棒ミラーの発生が予想され、また実際そうなった大会において、唯一マダンテを採用し、かつそれによって勝利を掴んだ実績は重要である。この個体は鬼棍棒ミラーを想定してマダンテを習得しつつ、一般的な対戦環境で通用するようマダンテ対策のぼっけもんではなく通例通り創造神マデサゴーラを入れたものである。攻撃力こそ先の個体より落ちるものの、対1枠には瀕死会心があるので大したデメリットにならないと判断。現状総合的に見て最高の型と筆者は考えており、究極的には鬼棍棒ミラーでマダンテ、大防御、パーティチェンジの三竦み、じゃんけんが成立するだろうと期待している。
尚、今現在ではBruceにより同じスキル構成で野生モンスターを使ったより複雑な個体値調整が行われた個体がオンライン他国マスターで配布されている。その個体値は守備力は上げず、賢さがギリギリ401に達し、MPが上がるように調整されている。その目的はオンライン他国マスター配布の性質を活かし素早さだけでなく守備力を最低値にすることで、相手のモンスターにAIでラウンドゼロを使用させ難くし、MPの更なる向上によりマダンテ威力を引き上げることにある。
3.3 ダウン完全無効型
闇の波動やダウンオールによる物理攻撃の与ダメージ減少を避けたいという声を受け、百万石の誇りとバーサーカーによってダウンを過剰耐性に上げたもの。特技は攻撃力SP型と比べて大防御は失われているが、特攻や正拳突きを得ている。攻撃力は1745であり、標準的な骸骨よりは低いが修羅の獄やゼロの衝撃を採用した型の1773とはほぼ同水準となる。また個体値はADであるが、これは育成の労力軽減、加えて幻魔の獄でパーティチェンジを不発にされるリスクを低減することを目的としている。
4 オンライン他国マスターにおける配布
第2節と3節に渡り、4枠モンスターに対戦で要求される条件、それを満たすモンスターとして4枠化鬼棍棒があり、その能力は鬼棍棒以前から対戦で活躍している骸骨に劣らないこと、そしてその育成の実例を示した。
しかし、これだけであれば鬼棍棒と同じく骸骨も有用であるのだから、骸骨をオンライン他国マスター(オンタコ)で配布すれば良いのではないかという疑問が生じる。そこで本節で骸骨にはオンタコをしない理由が、鬼棍棒にはオンタコをする理由があることを示す。尚、育成では負けず嫌い対策としてレベル1のまま種でステータスを上げることを前提とする。
骸骨がオンタコしない理由は簡単、下げたいステータスが無いからである。HPや守備力の高さは耐久力に直結するし、攻撃力は骸骨の力の源泉だから上げるのが当然、MPも下げて得することが無い。賢さは低いことが一概にデメリットとは言えないと3.1では書いたが、かといって高くて悪いという訳でもない。特に骸骨は最大でも1ターンに2回しか動かないので、特技使うなであれば幻魔の獄の使用後にテンションと通常攻撃を両方使うことは出来ず、アタカン持ちを幻魔で無力化しつつ倒さないでいることは容易である。そうであるならば、赤い霧下で爆裂拳を使おうとして無駄行動するリスクを無くせるよう賢さも高い方が良い。そして行動遅いを持たないから、素早さも下げる意味が無い。ステータスを下げないのであれば両親から高いステータス初期値を貰えるよう、オンタコで得るよりも自前で配合して作る方が良い。参考までに配合で作った直後のステータスの一例を下に示す。
特に重要なのがスキルポイント。スキルの種はインターネット広場の商人で購入出来ない為入手に手間が掛かるが、自前で配合して作った個体であればすぐに全てのスキルに最大までスキルポイントを振ることが出来、種が不要となる。オンタコ産を得るより自分で作る方が育成も楽であるからこそ、骸骨はわざわざオンタコで配る必要が無い(もっと別のモンスターを配布した方が喜ばれる)という訳である。
それに対して、鬼棍棒は下げたいステータスがあるからオンタコで配る価値がある。行動遅いを持っている為、素早さを最低値(鬼棍棒の場合は6)の個体を得ることがリバース時の先制性能向上に直結する。オンタコで得た個体を育成すると例えば以下のようになる。
この他、HPや守備力を上げないことで亡者リザオラルのコンボをやり易くしたり、相手のAIにラウンドゼロを使わせるのを抑止する育成法もある。
5 結論
本稿では鬼棍棒の対戦における使用の歴史、4枠モンスターに要求される性能を概観した後、対戦でよく使われる4枠である骸骨と比較しながら鬼棍棒の特徴、育成例、オンタコで配布する意義について記述した。4枠化鬼棍棒の対戦と配布における有用性が示された訳であるが、これのオンタコによる更なる今後の普及に期待する。
参考文献
内容確認は何れも2022/2/13
[1] https://mbb.whocares.jp/mbb/u/gc32/167/?o=101
[2] https://note.com/himateras/n/ncd9701d41a55
[3] https://note.com/himateras/n/nfddc81e4053a
[4] https://ameblo.jp/ruin-j3/entry-12637756443.html
[5] https://note.com/kirimi2233/n/n3f56665ec02c
[6] https://note.com/kirimi2233/n/n4d9b6702a11d
[7] https://note.com/seigaikijin495/n/n551133d8f56b
[8] https://twitter.com/yuu14571/status/1317291036310343681?s=20&t=ZjGNJatmvOHCQ7zmzYG-JA
[9] https://note.com/seigaikijin495/n/na89b0d4336b8
[10] https://xepalous-teriw.hatenablog.com/entry/20210624/1624485893
[11] https://twitter.com/seigaikijin495/status/1239893718678695936?s=20&t=ZjGNJatmvOHCQ7zmzYG-JA
[12] https://youtu.be/ElDTItPz0uU
[13] https://youtu.be/_X66k8TFRvc
[14] https://youtu.be/WwnA3fMlEx8
[15] https://twitter.com/Q35vUoEf6OqZYta/status/1457343511448096769?s=20&t=ZjGNJatmvOHCQ7zmzYG-JA
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