HMWドラゴン系図最遅マジェスの作成
イルルカSPにはマジェス・ドレアムというモンスターが存在し、その優れた性能から、対戦において、様々な育成が為され、様々なパーティに採用されている。その中でも特に有名なものとして、スモールボディを新生し、リバースパーティに組み込むというものがある。リバースパーティでは素早さは低い程望ましいのであるが、意図的に能力を低くして育成することは容易ではない。特に、他のステータスを高める為に系図や個体値を調整するならば尚更である。本稿では、系図や個体値を完璧に調整するという前提における素早さの最低値及びそれを実現する過程について記述する。
1 スモボ化マジェスの最適系図・個体値の決定
サイズをスモールボディにしたマジェス・ドレアムはAI3回行動、凍て付く波動、常にアタックカンタの特性を持ち、AI3スモボというイルルカSPのシステムに合致した強さを基盤に持ちつつ、チェインや4枠捨て身という対策しなければ一方的に敗北を強いられる相手に対しこの1匹だけで一定の抵抗力をも備えている。AI3スモボ故にパーティパワーを下げずに採用出来、他のモンスターをチェイン・捨て身対策以外を重視して選抜することが可能、この汎用性の高さが最大の武器である。
それ故、様々なパーティにおいて、パーティ毎の必要性に応じて、異なる育成と共に採用されてきた。それは対象をリバースパーティに限定しても同様で、物理アタッカーとして用いられることもあれば、マジェス・ドレアムや邪竜神ナドラガのスキルを習得してステータス非依存技を中心に戦うこともある。神鳥レティスと賢者SPで回復役として働く事例も観察されていたり、その他にはアルダララのスキルで状態異常息を吐くことすらある。回復役やチェインパーティの物理アタッカー等、行動順よりステータスを重視する、或いは敢えて遅く動きたい場合には、スモールボディではなくスタンダードボディで育成されることもある。
そのうち、本稿で対象とするのはマツケンリバースというパーティで採用され、マジェス・ドレアムと邪竜神ナドラガのスキルでステータス非依存技を用いて攻撃・補助役を担うタイプのマジェスとする。残り1つのスキルは冥王ネルゲルやチャンピオンSP等といったパターンもあるが、今回はブオーンであるとして以降扱う。
このマジェスの場合、系図と個体値はどうすべきか、その解は一意に定まっている。ドラゴン系図HMWである(野生個体値を用いない場合)。
その理由は以下のように説明される。賢さ個体値は上げないと賢さが401以上にならないので、AI行動回数が多く、AIの判断力が重要となるマジェスにおいてこれは外せない。但し、賢さで効果が上がる技は悪夢の呼び声とジバリーナしか無く、どちらもほぼ使用しない為、それ以上に上げる必要性は無い。素早さは下げたいステータスであり、そもそも上限まで育てないのであるから、素早さ個体値は下げても何のデメリットも無いので下げる。攻撃力はMP切れになった時の通常攻撃にしか影響せず、またHPバブルSPの特性故に1/3に低下するので、その上限を下げても困らない。マジェスの守備力は元々低く、これを高めてもダメージ減少は期待出来ないこと、そしてアタックカンタ故に守備力でダメージを減らせる攻撃を受ける頻度自体が低い為、守備力も下げる。残ったHPとMPは上げる、特にMPはAI3回行動で轟雷滅殺剣や天変地異のような消費の激しい特技を多用する都合上重要である。系図はHPとMPが上がる系統、即ちドラゴンかゾンビになるが、最遅育成が可能なのは前者である為、ドラゴンとする。
2 系図・個体値・最遅配合手順の作成
2.1 配合手順作成に必要な基礎情報
系図・個体値・最遅の同時調整は極めて煩雑な作業であり、余程各種操作に通暁している者でない限り、事前考察やレシピ無しに行えるものではない。そこで、配合に纏わる各種法則や育成時に発生する具体的な数値を整理し、配合の手順書の作成を行う。先ずは最遅調整に必要な配合の法則と具体的な数値を確認し、その後、系図・個体値調整がどうなるか検討する。
2.1.1 最遅調整に使われる具体的数値
配合で生まれてくるモンスターの各ステータスの初期値は、基本的に両親の当該ステータスの合計値/4(小数点以下切り捨て)
但し、各モンスターの各ステータス毎に最低値が定められており、上記の値がそれを下回る場合、その値に置換される。例えば素早さ13のリザードキッズと7の暗黒の魔神を配合してリザードキッズを作る場合、本来素早さ5で生まれる筈が、実際には6となる。
モンスターがレベルアップした時にステータスが幾つ上がるかは種族毎に決まっているが、配合で生まれたモンスターの場合、本人の+値、両親の種族によって上昇補正が掛かる。具体的には
$${\bm{ \lfloor (本人)\times(+値の効果) \rfloor } \bm{+} \bm{ \lceil (父親)/4 + (母親)/4 \rceil } }$$
但し、$${\lfloor x \rfloor}$$は小数点以下切り下げ、$${\lceil x \rceil}$$は小数点以下切り上げ。リザードキッズの素早さの場合、レベル10までには1だけ上がるレベルが4つあり、それ以外のレベルでは上がらない。従って、リザードキッズ同士で配合してリザードキッズを作った場合、レベル10までに$${\lfloor 1 \rfloor + \lceil 0.25+0.25 \rceil=1 + 1 = 2}$$の4倍である8上がることとなる。+値が25以上になってランクがFからCに上がると、ステータス上昇量が1.45倍になるのだが、$${ \{\lfloor 1.45 \rfloor + \lceil 0.25+0.25 \rceil \} \times 4= (1 + 1) \times 4 = 8}$$という計算になるので、成長は全く変わらない。即ち、最遅調整においてリザードキッズは+25を超えても困らない。+50を超えて倍率が1.75倍になっても同様。しかし新生配合すると倍率が2.05倍になるので素早さが$${ \{\lfloor 2.05 \rfloor + \lceil 0.25+0.25 \rceil \} \times 4= (2 + 1) \times 4 = 12}$$上がってしまう。以上の数値は、リザードキッズにリザードキッズではなくドラゴンバゲージ、アイアンタートル、マポレーナ、暗黒の魔神を配合してリザードキッズを作った場合でも全く同じである。リザードキッズとあくまの黙示録を配合した場合、+24以下であれば、レベル10までに上がる素早さは10。
マポレーナは元からAランクなので、+99になっても素早さの上昇量が増加しないことが自明で、魔獣系の中では使い易い。
マジェス・ドレアムにリザードキッズ、ドラゴンバゲージ、アイアンタートル、マポレーナ、暗黒の魔神の何れかを配合して作った場合、マジェス・ドレアムはレベル10までに素早さが55上がる。SSランクなので+99どころか+★であろうとこれは変化しない。
錬金鍵の報酬として得た暗黒の魔神(レベル10で素早さ7)同士の配合で生成されたあくまの黙示録の素早さはレベル1で4、10で22。
2.1.2 系図・個体値調整と最遅調整の統合
最終的に個体値HMWのモンスターを作る為に黙示録をどう配合すれば良いのかは以下のウェブアプリによって確かめられる。
その上で、系図調整として、配合に使われたモンスターの系統が以下の条件を満たす必要がある。
両親はマジェス・ドレアムとスモールボディを持つドラゴン系モンスター(スモールボディに限定するのは、スモールボディを新生配合で使う為)
祖父母はマジェス・ドレアム1匹とドラゴン系モンスター3匹
曾祖父母はマジェス・ドレアム、魔獣(or悪魔)系のモンスターが1匹ずつ、それ以外の6匹は全てドラゴン系
曾祖父母までの系図は出来上がったモンスターからは確認出来ないが、配合前の両親の祖父母までの系図を確認しておけば良い。
系図と個体値を調整するだけであればこれで十分であるが、素早さを下げるという都合上、曾祖父母8匹の素早さを極力下げることが必要になる。曾祖父母から祖父母を作る配合以降、素早さを下げる配合を差し挟む余地が無いからである(もしそうすると、系図や個体値の調整が崩れる)。素早さの低い
曾祖父母の作成には、錬金鍵の報酬として得た暗黒の魔神(鍵魔神)と、それ同士の配合から生成されたあくまの黙示録(魔神産黙示録)を用いる。素早さと+値が極めて低く個体値も明白だからである。鍵魔神は全ての個体値が0、魔神産黙示録は個体値が最大と最小(±100)だけで構成されている。素早さを下げる手順は個体値毎に、以下のようになる(最初に個体値0のモンスターと配合して消す必要のある個体値は0にしておく)。
個体値0のモンスターは最遅になるまで鍵魔神と配合し続けて作る
個体値mW、hSのモンスターはそれぞれ魔神産黙示録DW、ASと配合して個体値mW、hSにした後、最遅になるまで鍵魔神と配合し続けて作る
+値を99や★にまで上げても困らないモンスターの場合、個体値DW、ASの黙示録が魔神産でなくとも良い
個体値HasW、mdSWのモンスターは最遅にした個体値mW、hSのモンスターに個体値as、mdWの魔神産黙示録を配合して作る
尚、配合で生まれてくるモンスターの個体値は両親の個体値から一意に決まるが、その過程は父親からHP攻撃力素早さ、母親からMP守備力賢さの個体値を引き継ぎ、全ステータスの個体値合計が0でなければ修正が加わるというものなので、上記の配合の際は性別を意識する必要がある。また、黙示録の個体値の場合、その条件を満たす個体値の組み合わせの全てが許容される。例えばmdWであれば、HmAdsWもhmAdSWも、HmadSWの何れも用いることが出来る。魔神産黙示録の個体値は配合結果確認画面から確認出来るステータス上限値から判断出来る(下表参照)。
2.2 完成した配合手順とその解説
2.1の情報を総合すると、配合手順は以下のようになり、マジェス・ドレアムの素早さ最低値は23となる。
この表の見方を解説する。この表は左側にいる母親のモンスターと右側にいる父親のモンスターから下の子供のモンスターを作るという過程の繰り返しをツリー構造で表現している。ツリーの葉(これ以上親が書かれていないモンスター)は2.1.2の手順で最遅化したモンスター及び魔神産黙示録である。1匹のモンスターの情報が3行で表現されており、1行目はモンスターの名前と(許容される最大の)+値、2行目が個体値、3行目がレベル1、10における素早さである。モンスターとしてリザードキッズ、マポレーナが使われている理由は、前者はスモールボディかつドラゴン系で最も素早さの伸びが低いからであり、後者は魔獣若しくは悪魔系の中で最も素早さの伸びが低いモンスターの1匹で、尚且つランクがAなので+99にしても素早さの伸びが増えないからである(+99や+★にして良い部分があれば、その分だけ他の黙示録で代用が利き、魔神産黙示録を作る回数を減らせる)。
モンスターの+値の中で使われている整数nは最遅にするまでに暗黒の魔神と配合した回数を表している。リザードキッズの+値を50未満に抑えるには1匹の最遅化の為に行える鍵魔神配合の回数の上限がどの程度か、概算する為に記載した。配合手順の左側では最大でも$${8+4n}$$なので、大体$${n=10}$$まで問題無く、これは十分な回数である。実際、筆者が実行した時には、左のリザードキッズの+値は+22と、余裕を持って収まった。
(本当は+50未満に抑える必要はないのだが、当時は+25~49で素早さ上昇量が伸びないことしか確認しておらず、+50~99でも素早さの上昇量が増えないことは未確認だった為このような記述をしているが、リザードキッズ以外でのモンスターでの育成への応用性を考え、残しておくものとする。)
途中、リザードキッズが+★になっている箇所が1つあり、そこで素早さが4余分に上がってしまっているが、最終的な結果には影響しない。祖父母世代でリザードキッズをアイアンタートルに置き換えれば鍵魔神配合で素早さが6ではなく5まで落ちるようになるが、最終的な素早さに影響しない。系図や個体値を調整したリザードキッズを2匹オンライン他国マスターで入手し、個体値mWのマジェス・ドレアムと2回配合してHMWに調整すると素早さを更に下げることは可能だが、最終的な素早さが23から22になるだけなので、HPバブルSP込みだと素早さはどちらも8、実用的には全く意味が無い。
3 配合の実行において用いるもの
暗黒の魔神が報酬になっている錬金鍵……ボスがスラ忍ゴールドであれば鍵の修理費用が簡単に賄え、数を揃えるのが楽なので尚更望ましい。鍵報酬で暗黒の魔神を手に入れる→牧場で暗黒の魔神を冬眠させる→次の暗黒の魔神を手に入れる→……の繰り返し。40匹くらい入手すれば十分。十分な数が集まったら一斉に冬眠を解除し、適宜クラウドセーブしながら野生モンスターを倒し経験値を集め、牧場の魔神全員をレベル10にする(レベルが上がり過ぎてしまったらクラウドロードでやり直し)。
スキルの証……鍵魔神同士の配合であくまの黙示録を生成する為には、覚えているスキルの数を増やす必要がある。レッド、イエロー、グリーン、ブルーの証あたりをマルタの国の大通りで買っておけば良い。
スキルの種……宿木の世界で詩人を倒して稼ぐ。プレイ時間が320を超えていれば1戦で64個手に入るので、詩人3回でレベル10の暗黒の魔神2匹にスキルポイント$${300=100\times3}$$振ることが出来る。詩人を倒して得られた種がスキルの種以外だった場合、タスクキルし、アプリを再起動することで抽選をやり直すことが出来る。
スキルの証とスキルの種を使い、例えば以下のような配合であれば、あくまの黙示録を作ることが出来る。
魔神産黙示録……6匹必要。個体値毎の必要数は下表。
尚、マジェス・ドレアムとマポレーナを系図の父親側ではなく母親側に置く場合には、ASの必要数が1、DWの必要数が3に変化する。リザードキッズの+値を50未満に抑える必要が無いと判明した為、恐らくasとmdWを1匹ずつ用意すればそれで十分な筈である。
黙示録を配合で作る時、黙示録の個体値が必要なものであれば、性別指定のところまで戻り、適切な性別を指定してから誕生させる。必要なものでなかった場合、アプリをタスクキルし、再起動してやり直せる。
野生でリザードキッズが出現する錬金鍵……素材は銅で鍵作成の試行錯誤を行う。鍵の初期レベルは11~20だが、これが低い程野生モンスターのレベルも低く、素早さの低い個体が得られる。マポレーナは宿木の鍵で出現する為、錬金鍵で出現させる必要は無い。
しあわせの種……無くても実行可能ではあるが、レベルをぴったり10にして配合という処理を繰り返すので、大量に持っていれば戦闘で経験値を稼がなくて済むので楽。暗黒の魔神以外のレベル上げをこれだけで賄う場合、450個程消費する。
大量の種……作り上げたマジェス・ドレアムをレベル1のまま、素早さ以外のステータスを上げるのに必要。スキルの種も必要なので、通信広場で購入するより詩人を狩った方が良いかもしれない。
種を投与する前は例えばこんな感じで、当然このままでは戦えない。
4 完成したマジェス・ドレアム
これぞ究極を追い求めし者の終着点、究極のマジェス・ドレアム!
戦闘時にはHPバブルSPで素早さ8となり、オンライン他国マスター産の最遅どんぐりベビー(ねぶた魂込みで素早さ24)に、リバース下で確実に先制することが出来る。マジェス・ドレアムが作戦封じの息や冥界の霧でサポートをした後にどんぐりベビーの強力な攻撃を通すことが可能だ!
記号・表記と個体値等のシステム解説
ステータスの略称はHP、MP、攻撃力、守備力、素早さ、賢さをそれぞれ順にH、M、A、D、S、Wとする。これはHP、MP、Attack、Defence、Speed、Wisdomの頭文字である。
イルルカにおける個体値は、簡単に言うとどれか1つが最大まで上がると別の何か1つが最小まで下がるようになっている(少なくとも、通常その範囲内でのみ考察する)。上昇したステータスを大文字、下降したステータスを小文字で表記することにすると記述が楽であり、本稿でもそれに従う。例えばADswであれば攻撃力と守備力が上がり、素早さと賢さが下がっている。3つのステータスが上がる場合、下がるステータスが何なのかは表記せずとも明らかである為、通常省略する。例えばHMadsWはHMWと書かれる。個体値が変化していない状態は0又はOで表記する。野生モンスターの個体値は一般にランダムで扱い難いので、鍵報酬モンスターという全個体値0が確定しているモンスターとの配合によって0にする前処理が求められる。配合の副産物として生成されたあくま/だいあくま/魔王の黙示録は、個体値が最大と最小のみから構成される為、個体値調整の素材として多用される(黙示録であっても、野生個体や配合で直接生み出した個体に関しては、個体値が最大最小のみとならないので、個体値調整には使えない)。
イルルカSPにおいては、配合で生まれたモンスターのステータス上限値は、両親、祖父母、曾祖父母の系統によって上昇補正を受ける。これは系図補正と呼ばれる。より新しい世代程その効果が強い。どの系統がどのステータスに補正を掛けるかは次の表に従う。
例えば本稿のマジェス・ドレアムの場合、HPとMPに補正を掛けたいので、各世代に1匹ずつ入るマジェス・ドレアムを除き、系図はドラゴン系若しくはゾンビ系で埋めることになる。前者の場合、これをドラゴン系図(の育成)と呼ぶ。
尚、この際、補正率計算の切り上げ処理の都合上、作りたいモンスター(マジェス・ドレアム)の系統(???系)とは異なるステータスに補正が掛かる系統(魔獣系)のモンスターを曾祖父母世代に1匹だけ混ぜた方が、その系統に対応するステータス(MP、守備力、素早さ)の上限値が僅かに高くなる。この時、系図からドラゴン系が曾祖父母世代で1つ減っているが、ドラゴン系対応のステータス(HP、MP、攻撃力)の上限値は下がらない。このように、系図の中には異なる系統を曾祖父母世代に1つだけ混ぜるのが推奨され、混ぜる系統を異物と呼ぶ(今回の場合、素早さ上限値は育成において無関係なので、異物として魔獣ではなく悪魔系を使っても同じであるが、魔獣系のマポレーナが最遅育成において便利なのでこれを用いた)。異物は育成予定のモンスターの系統から基本的に一意に定まる為、個体値や系図を明記する際に書く必要は無い。
また、ステータス上限値は配合した時の両親のレベルの合計によっても上昇補正を受ける(祖父母以上は無関係)。今回は素早さを下げる為にレベル10で配合し続けたが、そうではなく意図的に下げたいステータスが無い場合には、両親のレベルは最大まで上げてから配合すべきである。
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