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イルルカSPの3DS版からの進化

ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議な鍵SP(イルルカSP)は、3DS用ゲームソフトとして発売されたドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵(3DSイルルカ)に様々な追加と変更を加え、スマートフォンに移植したものである。本稿ではそれらの変化について、項目毎に整理する。


モンスターの大幅追加

3DSイルルカ時点でモンスター数は803でDQMシリーズ最多であったが、SPでは更に100種類追加され、903種類という圧倒的ボリュームとなった。以下の記事に示す通り、(単なる色違いを除けば)DQ1~11のモンスターのほぼ全てが本作で網羅されている。

3DSイルルカより後に発売されたJ3(P)で新登場したモンスターに関しても、その多くがイルルカSPでは収録され、まさに登場モンスターという点でDQMの集大成となっている。更に完全な新モンスターとしてマジェス・ドレアムまで存在しており、DQMSLのサービス完結もあり現在ではイルルカSPのみで会えるモンスターである。

配信限定という概念の消滅

3DSイルルカでは特定の書籍の購入、コラボした他のゲームのプレイ、イベント会場での配布等、配信限定要素が存在する。それらの一部はプレイヤー間で二次配布出来るものの、全てがそうではない。従って、3DSイルルカではこれから始めた人は全ての収集要素をコンプリートすることは出来ない。

対してイルルカSPでは、当然ながら配信限定という概念は無い。3DS版では配信限定だったものが通常の1人プレイで入手可能である。その他、称号の獲得条件も変更されており、大称号王の獲得が現実的に可能となっている。ゲームをとことんやり込む上でこれは嬉しいことであろう。

育成環境の改善

メタルが出現する錬金鍵の入手条件緩和

イルルカではメタル系スライムが出現する錬金鍵を作成するのが経験値稼ぎにおいて最高効率で、場合によっては戦闘1回で999万9999ポイント獲得してレベル最大にすることすら可能である。

しかし、メタルが出現する可能性がある鍵の名称は限られており、鍵の前半部は「はくしきな」「伝説の」「メタルの」「とどろく」のみ許容される。ところが、これらの鍵を作る為の条件は厳しく、「はくしきな」以外は配信限定モンスターの入手が必須で、「はくしきな」に関しても、配信限定以外の全モンスター入手が求められていた。

それに対し、イルルカSPでは「おしゃれな」という鍵名称が追加され、衣装を全て集めるだけでメタルが出現する鍵を作れるようになった。
また、配信限定モンスターという概念が消滅したこともあり、「はくしきな」鍵を作る為の条件も、モンスター収集率75%に変更されている。

武器や鍛冶素材の入手条件緩和

イルルカではモンスターに装備させる武器に出来の良さという概念があり、出来の良い武器は最大3つまで鍛冶によって効果を追加することが出来る。当然、武器や鍛冶素材の入手効率は重要となる。

出来の良い武器は錬金鍵の報酬として手に入れるが、最も効率が良いのは鍵の後半を「堕天使」「未来」「箱庭」のどれかにしたものである。しかし、これらの鍵を作るのは難しく、MGP/CGPで1位になる、自分が作成したコミュニティの参加人数が100人以上かつ対戦回数9999回等、相当のやり込みが要求されるものとなっている。対戦を始める前に育成環境を整えたいのに、理想的な育成環境を作るには対戦で結果を出すことが要求されている。

それがイルルカSPでは改善され、以上3つの鍵を作る為の条件が「マジェス・ドレアムを仲間にする」「超Gサイズモンスターを100体以上仲間にする」「まぼろしの鍵を100回クリアする」に変更されており、遥かに楽になっている。

鍛冶素材に関しても、特に3DSイルルカではオーブの入手が難しく、「段位ポイント9999達成」で手に入る「神々」の鍵が最高効率ではあるが、これは極めて難しい条件である。それがSPではカメハのふしぎな冒険隊によってアイテムが大量に手に入るようになり、「神々」の鍵を使う必要が無くなっている。

牧場の容量倍化と余ったモンスターの利用法追加

3DSイルルカでは一度に500匹までモンスターを仲間に出来たが、SPでは1000匹まで可能となった。また、イルルカは鍵報酬等で要らないモンスターが牧場に溜まってしまいがちなのであるが、SPではカメハのふしぎな冒険隊で消費することが出来るようになった。これらの要素により、牧場に余裕を作るのが楽になっている。

配合で生まれてくる子供の性別指定方法の緩和

3DSイルルカでは配合前に親に♂/♀の杖を持たせることで生まれてくるモンスターの性別を指定していた。それがイルルカSPでは不要になり、生まれてくる直前に指定する形式になっている。性別指定はあくまの書/黙示録に対しても有効である為、3DS版よりも同種族を用いた4体配合が楽になっている。

また、親と同じ種族の子供を作る際に3DS版では転生の杖が必要であったが、SPでは親と同じ種族が配合候補としてデフォルトで現れており、これも不要となっている。

新生の宝珠の無限化

3DSイルルカでは新生配合の際に新生の宝珠を消費する為、格闘場イベントバトル等で日々集めておく必要があった。しかしイルルカSPでは新生の宝珠は消費しない重要アイテムとなり、新生配合が新生の宝珠の個数に制約されなくなった。

育成の自由度向上

サイズ変更の完全自由化

3DSイルルカでもサイズ特性を入れ替えることでモンスターのサイズを変更することは出来たが、大きくすることは出来ても小さくすることは出来ず、またモントナー以外のモンスターを超Gサイズまで拡大することも不可能であった。それがSPでは任意のモンスターを任意のサイズにすることが可能となり、縮小や超Gサイズも自由である。好きなモンスターを好きに並べるという趣味的な楽しみの他、対戦で活躍し得るモンスターの候補が増加した。

紋晶による特性強化

イルルカSPでは紋晶を使うことで、1匹のモンスターにつき最大3つの特性を強化することが出来る。紋晶はカメハのふしぎな冒険隊で簡単に集まるので、消耗品だが使用を躊躇う必要は無い。

系図によるステータス補正

イルルカSPでは3DS版当時からあった個体値に加え、両親、祖父母、曾祖父母のモンスターの系統によって能力値上限に上昇補正が掛かるようになった。計算方法の理解や育成における調整は大変ではあるものの、3DS版よりも強いモンスターを育てることが出来る。個体値と合わせ、下の記事が参考になる。とはいえ、対戦に参入する上で系図・個体値を完璧に仕上げる必要は無く、やり込むのは自己満足に近いことではある。

対戦環境の変化

チェイン対策の重要性の低下

3DSイルルカではチェインが強く、対策は最重要であった。パーティにはチェインを阻害する為の黒い霧やラウンドゼロを採用し、スタンバイには特性の凍て付く波動を3匹以上用意する等といった、表裏両面に及ぶ対策もしばしば行われていた。その甲斐もあり上級者ならチェイン相手に勝ち越すことが可能であったが、初心者は何も出来ずに負けてしまう。チェインは対戦環境に多いチェイン相手の対戦で勝率50%止まりになりがちなので、上級者になると使われなくなり、トップ層だけを見ればチェインは強くないのであるが、初心者を無抵抗のまま処理してしまうという意味ではチェインは強過ぎる。上級者>チェイン使い>>(超えられない壁)>>初心者という構図は明白である。

しかしイルルカSPでは、1枠に縮小した大魔王マデュラージャやマジェス・ドレアム等、黒い霧や凍て付く波動の特性を持つ使い易いモンスターが多数存在しており、紋晶によって特性発動確率が上がったことも併せ、チェインを意識して対策する必要性が低下している。これによりチェイン対策を特に考えずパーティを組むことが出来るようになり、構築の自由度が増加した。

イルルカSPで如何に多くのパーティがこれまで考案されてきたかは、以下の記事に詳しい。

モントナーの強化

モントナーはイルルカのストーリーで重要な意味を持ち、姿もプレイヤーが自由に決められるモンスターパートナーなのであるが、3DS版では特に強い能力や特性を持つ訳でもなく、対戦で活躍させるのは難しかった。それがSPでは強化され、対戦でも戦える強豪モンスターとなった。モントナーは性格毎に異なる特性を与えられるようになり、特に性格ふつうの個体が司令塔という特性故に重宝されている。

しかし強いといっても全ての構築に採用必須という程ではないので、これを使わない自由もちゃんとある。丁度良い調整と言えるだろう。

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