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Livin' Underground 〜freeform breaks remastered 2022 〜 後編

tribeからの7インチのリリースの後、僕はこの作品の製作に入った。
無論、tribeでの流通を視野にいれていたので、相談に伺った時に、瀬葉さんから、直々に紹介されたのが、この作品に関するマネージメントの全般を担当してくれた小泉氏である。

この作品の企画の段階で、新規レーベルの最初のアーティストとして、という形で行きたいとの話から「solid state music lab.」という命名含め、この作品をリリースするレーベルを立ち上げたのも彼であり、実質、この作品の完成は彼の手腕によるものであると言っても過言ではない。

現在も、rockwellやroph recordings等のshop運営、レーベルのマネジメントやDJ業等、多くの仕事を担っている。

美しいジャケットアートを担当してくれたアーティストのyoheyy氏も彼が紹介してくれた。

以後、僕は彼に全面の信頼を置き、製作を進行していった。

無論、瀬葉さんもプロダクションサポートとマスタリングという形で力を貸してくれた。

作品のライナーノーツは僕の希望で前記のFK氏にオファーした。

FK氏はこうした動きの中、相談にのってくれる様な寛容さを持っている人で、この件も引き受けてくれた。

彼は当時よりアーティストとしても秀逸な作品を発表しており、界隈では名の通った人物で、
そのセンスや知識も含め、スタッフとしてでなくとも、彼を慕う人間は数多いと思う。

作中のゲストアーティストについても記さねばなるまい。

ここに関しては、その実、僕がテクニックという側面にさして興味がないというのもあったが、テクニックという分野に置いて、その道のエキスパートの仕事を側面として打ち出すのは悪く無かろうと思い、僕の活動において友誼を結んでいた、

yohei HIBIKI、dj shin-g、igacorossas

の3名にゲストアーティストとして参加して貰った。

yohei HIBIKIこと響洋平クンは、現在は怪談の分野においてもその名が知れ渡っているという変わった面を持っている奇才であるが、現場での交流を経て参加して貰った。
国内外での活躍含め、彼のターンデーブリストとしての技量は一流である。

dj shin-gは、音楽活動以外でも古い付合いなのだが、ことhiphopという分野において、現在も都内を中心に日夜活動しており、そのセンスやスキルも含めて、信頼出来る友人である。
彼がいなければ今の僕はないだろう。

igacorosasクンは無論、界隈では指折りの実力者で、何度か現場で一緒になり、そのスキルやトラックメイキングセンスからオファーさせて貰ったが、自らremixを買って出てくれて、歓喜したのを記憶している。

各々の参加して貰ったトラックでは、その実力が堪能出来る仕上がりになっているとは思う。
僕の楽曲のigacorosasクンのremixはアルバムのラストに収録した。

他にも当時、様々な形でサポートしてくれた人は多いが、クレジットという形でその義に応じた。

こうして、freeform breaksは完成した訳だが、アルバムのリリース直後に、耳を疑う様な連絡が入る。

瀬葉さんがこの世を去ったと。

ちょうどリリース直後だったので挨拶に行けたらと思っていた頃だった様に思う。

礼も言えずに逝ってしまわれた。

仕事として捉えれば、僕のアルバムは彼の名が記されている仕事の最末期に当たると思う。

無論、周囲の状況も一変した。

追悼という形式で様々な動きもある中、追悼イベントが行われた。

僕もそこに参加のオファーをいただき、アプレミディの橋本徹さんの後を受けて、DJとしてプレイをした。
そこでtribeからリリースした7インチをプレイしたが、僕は曲間に抱拳礼をし、別れの挨拶をした。


それからこの事も記しておこうと思う。

宇山寛人クンの作品の事。

宇山クンは上記の追悼イベントでもメインを務める様な人であり、アーティストとしても、優秀なプレイヤーとしても、瀬葉さんの信頼の厚かった人物として認識されている様に思う。

そんな彼が2017年にfreeform jazzなるアルバムをリリースした。

僕の作品に近いタイトルだったので気にはなっていたのだが、一聴した時、楽曲の構成に対し、ある種の対話の様なものを感じた。

言葉での対話では無い 対話の様な何か をである。

それは僕の作品についての 何か でもあろうと。

というのも、彼には幾度かお会いする事があったのだが、イベントの出演者としてであり、そう多くを話した事はない。
挨拶以外の対話として記憶している事と言えば、僕が「彼のサインが欲しい」と呟いた時、丁重にお断りを受けた事くらいだろう。

と、いう書き方は冗談で、無論、彼はその場でのファンサービスにも快く応じていたし、お断りされたのは、あくまで僕を同じ立場の一表現者として見てくれたというコトである。

花屋は花屋に花は売るまいと。

ここは彼の粋な計らいに感嘆した瞬間ではあったが、

ただ、そうした表現のみから伝わる 言葉無き対話 の様な感覚はそうそう得られるものではないだろうと個人的には思っている。

寧ろ言葉を交わすよりも多くを語られた様な気がした。

そういった感覚を得られた事は、この作品の存在意義としては最上のものだろうと思う。

それから

これも特筆すべきポイントであるが、
再リリースに際し、リバーサイドスタジオのノグチ氏がリマスタリングを担当してくれました。
この場にて深い感謝の意を示したい。


そして、2022年現在のjazz〜lofi hiphopなるシーンの流れも含めた上で、この作品がどういった聴かれ方をするのかは、皆目、見当もつかないが、何より世界の内よりアンダーグラウンドの、サンプリングミュージックの何たるかを、探究する。

そんな人へ届く事を願ってやまない。



※別頁に当時製作したプロダクションノートを掲載します。作品と共に閲覧してみるのも良いかと思います。

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