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名門シャルケの昇格と優勝に貢献!「神様、板倉滉を引き留めて!」とサポーターが懇願するほどに成長した21-22シーズン
【ポートフォリオ用】
2シーズンぶりにブンデスリーガへの復帰を決めたドイツの名門チームシャルケの優勝セレモニーに日本人選手の姿があった。21年夏の移籍マーケットが閉じる直前に同チームへレンタル移籍した板倉滉(25)だ。
板倉は、今シーズン31試合に出場。守備的なポジションを任されながら、4ゴールをマークしている。シーズン後半に監督の交代があってからは、本職のセンターバックのポジションを離れ、ボランチとしてプレーするなど高いユーティリティ性を魅せつけた。
移籍直後の試合で自らのミスから相手に失点を許し躓いたものの、その後は安定した守備力が認められ、チームの1部昇格と優勝に大きく貢献した。その活躍ぶりは、もちろん現地のシャルカーたちからも認められている。
「何としても板倉を引き止めて!」「サッカーの神様、何とか板倉を引き止めて!」そういった声がTwitter上でもよく見られる。
ここ数日間、シャルケサポーターは新体制チームの話で持ちきり。その中でも注目を集めているのが、マンチェスター・Cからレンタル移籍でチームに加わっていた板倉の行先だ。シャルケは、今シーズン板倉を買取オプション付きのレンタルで獲得しており、買取オプションを行使した場合、550万ユーロ(7.5億)を上回る金額をマンチェスター・Cに支払う形になる。
板倉の獲得にはチームの昇格が必須条件とされてきたが、監督や他ポジション選手の補強を考えると、昇格が決まった今もやはり買取は厳しいのが現実らしい。
現在、板倉にはブンデスリーガの数チームやスコットランド1部のセルティックなどからもオファーの声が寄せられているようだ。
もちろん、板倉の今季の活躍は、クラブチームだけではない。カタールW杯最終予選でも、日本代表としてW杯出場に大きく貢献した。
東京五輪代表など、これまでも日本代表として活躍してきた板倉だが、最終予選で初めての出番がやってきたのは、1月末に行われた中国代表との一戦。
主将である吉田麻也が怪我で招集外。それに続いて、今までセンターバックとしてスタメン出場していたアーセナル所属の冨安健洋も怪我で招集外となった。
そこでチャンスが巡ってきたのが、板倉と谷口彰悟の川崎フロンターレコンビ。共にW杯最終予選初出場ながら、安定したプレーを見せ、結果は2-0の無失点。「いいプレーしようとかなかったです。」「とにかく0に抑える、それだけでした。」
JFA公式のTeam Camのインタビューでこう答えている。川崎フロンターレの元同僚である2人だが、実はセンターバックとして共にフィールドに立ったことはないという。(https://youtu.be/KigHLECSLEs?t=228)
主将の不在、コンビを組むのは初めての相手、そして初めての最終予選という舞台。プレッシャーがかかる状況で、板倉と谷口は、その後のサウジアラビア戦でもフル出場し、大一番をクリーンシートに抑えた。初めてコンビを組む相手、一緒に練習する時間が少ない代表チームでここまで安定した守備を固めることができたのには何かポイントがあったのだろうか。
「わかっていることも、しっかり喋りながら、ということは練習中も確認しながらやってきた。その延長線上で90分間しっかりできた。」試合後のインタビューで板倉はこう答えている。
「わかっていることも、しっかり声に出して相手と確認し合う」簡単そうに見えて、これができずに連携がうまくいかないチームは多い。
相手が誰であっても、コミュニケーションを怠らない。板倉の強みのひとつだろう。海外のチームで活躍するには、スキルや体格はもちろんだが、チームにいかに早く馴染み、試合中の連携を取りやすくするかというのもポイントだ。
海外でプレーする選手の中には、仲間とのコミュニケーションがうまく取れず、信頼が得られないばかりに、なかなかパスがもらえないといった問題を抱える人も多い。
板倉がシャルケにフィットするまでにかかった時間はほんの数試合。リーグの後半では、センターバックとボランチを兼任し、試合の途中でポジションの交代するなど、綿密なコミュニケーションが必要になる役割を担っていた。
シャルケでの、自身のディフェンス力、ボールに追いつくスピードや、最終ラインでボールを回収するためにどんな工夫をしているのかと問われたインタビューでは、「『あそこは俺が行く』と示すことで、センターバックの両脇の選手が、前に強く行けるので。『オレが絶対に裏にいるから、思い切って前に行ってくれ!』とコミュニケーションは普段からとっています。」と答えている。(https://number.bunshun.jp/articles/-/851767?page=3)
決まったことをこなすだけでなく、ゲームの状況や、チームの状況によって試合中にも味方同士の連携を忘れない。こうすることで、誰と組んでも安定性のある守備ができるのだろう。
来季シーズンの所属先がまだ正式に決まっていない板倉滉だが、持ち前の守備力とコミュニケーション力があれば、どこのチームに行っても活躍を見せてくれるはずだろう。