エクストリーム帰寮記~茶畑を駆け抜けて~
前編はこちら
メンバー
筆者:あす会長(ももいはるたか(あす会長)@seibu_user)
占冠(政治を語るワニです@Uempets)
Mt.Rice(Mt.Rice@MtRice_ro)
うらん(うらん@Uranium2380)
長きにわたる放浪ののち、歩き続けること2時間。我々はようやく初の集落にたどり着いた。バス停の長いすで初めての大休止。食パンをむさぼりながら、今後のことを思案する。
頭の中にぽわぽわと地名を並べていく。ここから左に曲がれば信楽に出る。しかしこの多羅尾には東に進んでたどりついたわけだから、どこかでまた西に向き直らなくてはならない。目の前にあるバスの路線図を眺めると、北にまっすぐ行き、西へ曲がってまた北へ行くと京阪石山寺に繋がっているのが見える。北に行けば東海道線沿いにぶつかる、ということは目的地の宇治にはそこを西へまっすぐ行けばたどり着くのだ。しかしここで疑問が生まれる。近道は石山か、宇治か。
たまたま通りかかった車を呼び止めて、聞いてみる。
どうやら近道がどっちかわかっただけじゃなく、その道筋まで決まったらしい。
山へ
少し進んだところで標識。ここに来て、ついに初めて県道に出られたようだ。さらに上には「大津・枚方方面」の文字が。大津も、枚方も京都のお隣さんである。勝ったわ。風呂入ってくる。
峠越え
先ほどの交差点から先へ進む。集落は途切れ、再び山の中へ。しかし今度は道がちゃんと二車線ある。車通りもある。何より、陽が出ている。さっきまでの心細さが一転、素晴らしい散歩である。もうだいぶ歩いてきた。さっきの話を考えると、すぐに国道に出られるのだろう。そうしたら宇治はすぐそこだ。
・・・
長い。オレンジ色の山が進めども進めども続くばかりだ。最初小さな峠を越えて以来、ずっと下りである。
まさに「分け入っても分け入っても」という景色が延々続く。
下る。下る。下る。だんだん、飽きてくる。
・・・
・・・・・・
うーん。
発狂
さっきの分岐からどのくらい歩いただろうか。左から太い道が合流してきた。どうやらここはゴルフ場の入り口のようだ。そしてそこにはこんな看板が立っていた。
この看板、どこかで見たことがある。若干先に出発していた、学部の友達とコロポックラーのチームがこんなツイートをしていた。
同じ所。
4時間の差。
・・・
あなたはわかるだろうか、このクソみたいな山の中を5時間這いずり回って、ようやくたどり着いたのが他参加者のスタート地点だった時の気持ちが。
このチームはたしか40kmとか言っていただろうか。出発から5時間にして、我々はまだ20kmも移動できていなかったようである。
絶望
完全にマンネリ化した旅路、普段はやかましい面々だがだんだん口数が減ってくる。ツイートもここからどんどんまばらになっていく。変化といえば、車のほかにロードバイクの隊列が登ってくるようになったことである。それだけ人が通うようなところまで下りてきたということが、少しだけ心に安心をもたらしてくれる。
ロードの人たちに道を聞きつつ、近道だという細道に入る。
これが京都への最短経路だといわれて、信じる人は何人いるだろうか。しかしここまで来たら、信じて進むしかない。
道は再び登りに変わる。登って、登って、そして小さな峠を越えて、谷津に広がる田んぼに出て、集落に出た。
前進
丁字路の交差点に突き当たる。突き当りにあった民家でこの先の道のりについて聞くも、返答はおおむね一緒であった。宇治に出るのが近い。宇治へ行って、そこから北へ行けばよい。ではどうやれば宇治へ行けるか―返答は丁字路の右でも、左でもない、突き当りにある山道だという。
せっかく人里に出られたのに、また山。
転機
山の中を歩くこと、20分。また太い道に行き当たった。だいぶ前に予告されていた、枚方方面の国道に出たのだ。
スタートから6時間45分にして、これが初の国道である。
道が太い。歩道もしっかりしている。今までの道とは、安心感がまるで違う。
開始から8時間が経過した、10時30分。ここでついに、だいぶ前から予告されていた大津or宇治の二択が迫る。我々は最適解を知っている。迷わず、まっすぐだ。
調子に乗る男
ジモティー達から最短経路のお墨付きを得て、調子に乗る男がいた。政治を語るワニである。我々のまえを行く例のコロポックラーのグループに、喧嘩を売り始めた。
こいつ、やはりパワフルである。しかしそれだけ我々は快進撃であった。
さっきの交差点からまた登りに変わった。緩やかな坂を上って、登って、そしてトンネルに出た。
京都、奪還。
(京都大学まであと??km)