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書評まとめ

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コラム内で紹介した作品を更にくわしく書評していきます。
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『冷たい校舎の時は止まる』:青春の孤独と共感が交錯する、究極のサスペンスミステリー

「あなたは、孤独を感じたことはありますか?」青春期を迎えると、どこか孤独や不安を抱える瞬間が増えてきます。友達といても、家族に囲まれていても、自分が誰かに本当に理解されているかどうか、ふと不安に思う瞬間があるのではないでしょうか。自分は何者なのか、誰かにとって必要な存在なのか——そんな問いが心に浮かぶことも少なくありません。 『冷たい校舎の時は止まる』は、そんな不安や孤独に悩む全ての人へ捧げる物語です。著者の辻村深月が描き出すのは、心が張り裂けそうな孤独を抱えた高校生たちが

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『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン書評 – 無償の愛が教える人生の価値と意味を知る一冊

「あなたが無条件に愛し、支え続けているものは何ですか?」私たちは生活の中で、家族や友人、仕事といったさまざまな「支え」を意識していますが、無償の愛や犠牲について、改めて深く考えたことはあるでしょうか?シェル・シルヴァスタインの『おおきな木』は、そんな「愛のかたち」について問いかける絵本です。大人になってからこそ、もう一度読み返したくなる作品であり、読むたびに新しい発見がある深みを持っています。 私は子どもの頃に初めてこの絵本を読んだ時、ただ「木がやさしい」と感じただけでした

『思い出トランプ』向田邦子書評 - 静かな日常の中に潜む人生の味わいを知る一冊

「ふとした日常に、私たちはどれだけの思い出や感情を隠しているのでしょう?」日々の何気ない出来事や人間関係が、実は深く心に刻まれるものであることに気づく瞬間が、誰しもあるかもしれません。向田邦子の『思い出トランプ』は、そんな「日常の隙間」に隠された記憶や思い出に光を当て、人生の繊細な側面を描き出した作品です。

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『火車』宮部みゆき書評 — 消費社会の闇をえぐるサスペンスミステリー

「現代社会で、あなたは本当に自由に生きていると言えますか?」——クレジットカードやローンが普及した便利な社会の裏には、私たちが日々見過ごしている危険が潜んでいます。お金に関する問題や借金のリスクは、普段はあまり意識されないかもしれませんが、ひとたび巻き込まれると抜け出すのが難しい闇です。宮部みゆきのサスペンス小説『火車』は、まさにこの「消費社会の罠」を深く掘り下げ、私たちに警鐘を鳴らす一冊です。

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村上春樹『ノルウェイの森』 – 青春と孤独の狭間で問いかけるもの

私たちがふと人生の意味や人間関係について立ち止まって考える時、そのきっかけになるのは小説の一節や物語の登場人物だったりします。日常の忙しさの中、時には「自分の人生において本当に大切なものは何だろう」と思うこともあるでしょう。村上春樹の『ノルウェイの森』は、そんな心の奥に響く一冊です。この本が描くのは、青春時代の不安、孤独、そして純粋な愛と喪失。ページをめくるごとに、私たちに「生きるとは何か?」という問いかけをしてきます。 村上春樹が紡ぐ繊細な言葉と奥深いテーマに触れれば、読