街に棲む色
最近は自宅とオフィス以外、あまりウロウロすることがなくなってしまった。
別にコロナウイルスが原因ではなく、単身赴任の頃とは違い、自由にできる時間とお金が減っただけのことである。
別にそれが苦になっていることはないのだが、時々用事ができて普段行くことのない街を歩くと、その街ごとに人の色が違うことにあらためて気付かされる。
丁度その時読んでいた本に記されていた地名のつく場所に降り立つと少し興奮もする。
まぁ、特に何か変わったことがあるわけではないのだが、本に記された地のそのシーンに自分が落とし込まれたような不思議な気分になるのである。厨二病のようなものである。
今回はここ本郷三丁目駅付近がそうだっただけである。
付近に東京ドームや東京大学の本郷キャンパスがある地だ。
東大の本郷キャンパス内含め、ここには時折来たことはあるし、今後も東京にいる間は何度も通うであろう街だ。そんなことはどうでも良い。
東京ドーム付近は少し雰囲気は違うが、いくつかある本郷三丁目駅付近を歩く人たちが纏う雰囲気はかなり落ち着いている。
10年以上住んでいるにも関わらず、東京23区都のうち私が行ったことのある地はそう多くはないが、この地は上中里に少し雰囲気が似ている。(と私は感じている)
街を歩く人達は地元の人だけではないはずだが、どこか落ち着いていて少しだけ他の街とは違って立ち居振る舞いが賢く見えるので不思議だ。
東大があるというのも一つの理由なのだろうが、江戸時代は東京駅付近と同じ武家地だったはずである。
しかし八重洲側とも違うし、丸の内側とも違う。
その理由はこの後家路に向かう途中の新宿で分かったような気がした。
新宿に降り立った時、いつも目にしているはずなのに、なぜか違和感を感じる自分がいる。
嫌いではないのだが、何か違和感を感じるのである。
勢いは当然、新宿や渋谷といった街の方があるのだが、これは丸の内とも違う。雑踏なのだ。
人の種類が違うのだ。人種というと語弊があるのかもしれないが、新宿や渋谷のそれは全く落ち着きのない人たちの動きが感じられる。そう、目まぐるしく変わり続けているのだ。
それは上中里や本郷三丁目付近も同じはずだが、それとは少し毛色が違う。
これはそこに立ち、それが感じられるモノにしか伝わらないのではないだろうか。
はっきり言えるのは、新宿や渋谷は賑やかだが、そこに生活はないような気がする。いやちゃんとそこに息づく人々はいるし、生活している人もいるのだが、そこでは焦りしか感じないような気がする。
何か見えない街の勢いのようなものに負けないように、必死に走り続けなければ押し潰されるような雰囲気がある。
よくわからないだろうなぁ…