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【技術百景】適所適材

 今回は、ポメラDM30にはDM30の、DM100にはDM100の活躍場所が存在しているという話。いや白状すると、無理にDM30を使おうとして失敗したという顛末記かもしれない。

 2025年1月1日、さっそく緊急で老人ホームへ赴くことになった。看護チームから電話が掛かって来たのだけれども、なんでも朝になって母親の部屋へ赴いたら、床に倒れていたとのことだ。わざわざ電話を頂戴するのは、これで三回目だ。(前回はアチコチをぶつけたようで救急車で病院行きとなった)
 わざわざ老人ホームのスタッフには感謝するしかない。とはいえ口だけでは申し訳ないので、取り急ぎホームへ赴くことにした。幸い駅前の崎陽軒が元旦から営業しており、手みやげも用意できた。
 ちょうど何を書こうかと考えている時だったので、今回はポメラDM30を持参することにした。老人ホームの最寄り駅まで電車で移動し、車中では執筆活動に勤しもうという魂胆である。

 DM100は便利だけれども、日差しの影響を受ける昼間にはe-enkこと電子ペーパーの画面が便利なのだ。たとえ最新機種のDM250であっても、直射日光があたると画面を見にくくなることがある...… と自分に言い聞かせて、今回はDM30だけをカバンに入れた。
 通勤時にDM30を使うと知り合いに目撃される可能性が高いけれども、さすがに元旦は大丈夫だろうという予想で大胆になってしまった。何しろDM30はキーボードが特殊で、観音開き方式になっている。それも膝の上に乗せて使うことなど想定していないから、強度的にも大したことがない。プラスチック製の板を底板として敷いて使う必要がある。

 つまり使い始めるまでに、実に4ステップの操作が必要となる。おまけにe-enkなので、画面表示にタイムラグが生じる。

 ・ステップ1:底板を取り出す
 ・ステップ2:底板の上にDM30を置く
 ・ステップ3:DM30の液晶画面を起こす
 ・ステップ4:観音開きのキーボードを開く

 しかし開発&製造元のキングジムがe-enkを採用しただけあって、視認性の良さには目を見張るものがある。画面に光が当たらないようにと、向かいの座席に移動したりする必要がない。
 DM100やDM200を使っていると、地下鉄が地上に出た時に画面が全く見えなくなる瞬間もある。理論的にはDM100だったらバックライトをオフにすればDM30的に使えるけれども、いちいちオン/オフを切り替えるのは面倒くさい。
 いや、面倒どころか実用的でないとさえ言える。

 ともかくDM30は快適だった。大変に快適だった。あまりに快適だったので、ついつい仕事に熱中し過ぎてしまった。ふと気づいたら乗り換え駅で停車中になっており、キーボードを畳む間もなく慌てて電車を飛び降りた。これがDM100だったらノートパソコンのように、単純に画面を閉じるだけで良かっただろう。

これが観音開きのキーボード&底板だ

 おまけに初めて知ったけれども、単純に画面を閉じただけでは電源オフとならない。地球にやさしくないというか、貴重な単三電池エネルギーを消費してしまう。(そこが本音か?)
 逆に言えば短時間の乗り換えであれば、乗り換えた車中で電源オンする必要はない。わずか数秒とはいっても、これはストレスが溜まらないので嬉しいことだったりする。
 そう、一般の方々は変人だと思われるかもしれないけれども、たしかに若干は変人かもしれないけれども、この数秒間をストレスと感じる者は多い。雑誌記事の解説はおろか、わざわざキングジムが各機種の起動時間を詳細に説明しているほどだ。

 そうやって考えると、たしかにDM100は偉大な機種だった。起動は速いし、399gと超軽量だし、ポメラの裏側に滑り止めシートを貼ったりする必要もない。
 ちなみにDM30は450gと微妙に重いし、最新機種のDM250でさえ膝上に置くと滑ってしまう。そもそもDM200やDM250は、電車の中で膝上に乗せて利用する設計思想ではないのだ。
 だからユーザーが滑り止めの布を貼るといったような小細工が必要となってしまう。せっかくのデザインが台無しである。

両面テープで布を滑り止めに貼った様子

「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃないの」ではないけれども、「滑り止めがなければ使わなければ良いじゃないの」という訳にはいかない。『貧乏暇なし』であり、車内の作業時間は貴重なのだ。

 そういえば2イン1型のマイクロソフトSurfaceを車内で利用している女性を見かけたことがある。国会議員などが机上で利用している光景は見かけるけれども、車中で膝上に乗せて一心不乱にキーボードを叩いている様子は圧巻だった。

 それはさておき、やはり電車の中で仕事をする場合は、DM100が便利だと思う。
「適所適材、わたしの好きな言葉です」というところだろうか。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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 記事作成:小野谷静

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