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[技術百景] 無理が通れば道理ひっこむ

 さて前回は「ポメラを持ち歩くならばDM100だよね。DM30は折りたたみキーボードだから、モバイルには向かないよねー」と結論した。
 しかし無理だと言われると何とかしたくなるのが技術者というものだ。そうやって先人たちは不可能を可能にしてきた。

 そんな訳で、ポメラDM30を持ち歩いて仕事することにした。「DM250やDM200を中心に扱った本を出版した自分はどこへ行った?」である。

 ちなみに挑戦してみると、予想外に活躍してくれている。キングジムさんは後継機を出すとしたらDM250ベースになると思うけれども、ぜひDM30系も期待したい今日この頃だったりする。そういや作家でもある芝村さんはDM30を推していたことも思い出した。

 さて前回ぼやいた課題を、一つ一つ片付けていくことにしよう。

 まずはDM100と異なって、入力開始となるまでに手間がかかる点だ。これは、いつもおなじみのアレで解決した。
「キーボードを開くのに手間がかかるなら、最初から開いておけば良いじゃない」

液晶パネルだけ折りたたんだ状態

 鳥が翼を広げたままだと不便だし、傷もつきやすいだろう。しかしDM30を利用する場合は底板を添えて使うことになるから、キーボードに衝撃が加わることは少ない。
 それにカバンに収納したらば問題になるかもしれないが、しょせんは通勤などで持ち歩く程度だ。冒頭画像のように、小脇に抱えて持ち歩いてしまっても、何の問題もないだろう。
 具合の良いことに、液晶パネルには緩衝ゴムが付いている。つまりパネルとキーボードがぶつかるのは緩衝ゴムの部分なので、DM30が傷ついてしまうことはない。

 さらに...… 液晶パネルだけを折りたたんだ状態だと、DM30は電源オフすることがなければ、サスペンドモードになることもない。
 つまり、電車を乗り換えて液晶パネルを開けば、待機時間ゼロで入力作業を継続できるのだ。DM250やDM200はおろか、DM100よりも短時間だ!

 次にキーボードがたわまないようにする底板の問題だ。どこかの場で、白だと目立って恥ずかしいと書いた記憶がある。たしかに透明シリコンカバーであっても、白い両面テープで滑り止めにすると目立ってしまう。

シリコンカバーと両面テープの組み合わせ

 しかし...… である。「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだ」ということで、1mm厚の黒ゴムを調達しておいた。このゴムを両面テープで底板に貼り付けたところ、人前を歩いても気恥ずかしい思いをすることは無くなった。
(えっ、僕の辞書に「恥ずかしい」という言葉はないはずだって? そんなことは流石にないよ...… おそらく、たぶん)

目立たなくった底板の滑り止め

 と、いう次第で、驚いたことにDM30のモバイル環境が実現できてしまった。もちろんDM100と同じく組み込み型ATOKなので、子供に言わせると「漢字変換はChromebookの方が快適で使いやすい」となる。しかし僕は単文節変換で育って来たので、その部分は殆ど困らない。

 それにDM30はDM250やDM200と同じく、編集画面でCtrl + Hキーがバックスペースに割り当てられている。Ctrl + Mキーで改行できないのは若干面倒だけれども、改行コードをCtrl +Cキーでコピーさせておけば、Ctrl + Vキーを改行キー代わりに利用できる。技術文書だとコピー&ペーストは必須機能だけれども、小説やエッセイで使うことは稀だ。だからCtrl + Vキーを改行キー代わりに使うことが可能だ。

 と、いう訳で、驚いたことにDM30でも快適にモバイル環境が実現できてしまった。唯一の欠点といえば、すでにDM30は販売終了している点だろうか。いかに優れたマシンでも、入手できなければ意味はない。

 そんなこんなで、やっぱりポメラ本を執筆したことは無駄ではなかったと思う。少なくとも僕には時間の無駄になってしまったかもしれないが、皆さんには少しは役立つかもしれない。

 そうやって、今日のところは自分の心を慰めることにしておこう。

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 それでは今回は、この辺で。ではまた。

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 記事作成:小野谷静

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