ひと色展 コバルトブルーヒュー 朗読
【 ぼくと雨さん/散らかる文 青紗蘭 】
ねぇ、きみ、どうしたの?
みんなも心配してるよ。
きみが、あんまり雨色に染まっているから。
「ぼく、なんだかとってもさみしくて かなしいんだ。だから、雨さんのね、そばにいたくなったの」
そうだったの。
そういうときは、たくさん泣いていいよ。
雨のようにポロポロ、ザァザァ、シトシト。好きなように泣いてごらん。
「雨さんも泣くの?」
あら?意外?
ふふ、命あるものはそうよ。
さっ、あなたの気持ちを教えて。
雨は、やさしく包みました。
男の子は、泣き始めました。
たくさんのきもちといっしょに…。
男の子のたくさんのきもちは、やがて、雨の魔法といっしょにシャボン玉になりました。
そして、舞い上がってゆく中で…思い思いに弾け、大きな虹になりました。
泣いてもいいの。
いつかの涙は、いつかの虹になるから。
男の子が気がついたときには、かわいい雨さんは居なくなっていました。
「雨さん…ありがとう」
やさしい雨の色は宝物になりました。
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