木犀花(もくせいか) 隠世 /散らかる文 青紗蘭
鼻を擽るのは君か。
秋を知らせる香木。木肌は木犀のようだが
実に可愛らしいオレンジ色をつける。
紅葉の入りに、ふわりふわりと風に口説かれ色っぽさを薫りに忍ばせる。あの鼻を擽る甘さは、妖艶さを感じさせる。
悪い意味では無い。隠世と此処を往き来するような謎めいた魅力を感じる。甘さはあるが気品がある。まるで、その様ないのちの姿をしたものが其処にいそうな気がする。
薫りに身を任せ揺蕩えば。
ふと隠世に招かれそうになる。
ふと薫り強まり手招きされる。
つい薫りの手招きにそっと手を合わし。
何者であるかなど愚問とばかりに、引き寄せたい。想い滾るままに情を交わしてまいそうだ。
明日の身も知れぬ、権力争いに翻弄されていたなら。疫病に怯えるしかないなら。
ならば、誘いに揺蕩うのも悪くない。
薫りの成すままに互いのすべてを重ね。
互いを隅々までいきわたらせる。
虚しさすら哀しみすら蒸発させる。
その熱量、薫り、より色濃く。
二度とは逢えぬ。
いのちの逢瀬と共に知っている。
涙と共に初恋のような接吻をかわし。
薫りの誘いは、魔除けの花となり。
隠世から戻りし私の手に
そっと添えられている。
そなたの名は木犀花。
よく知られる金木犀。
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