「ウマ娘」ナイスネイチャという革新
H.N.仮面屋
はじめに
前の「桜坂しずく」記事に引き続き、今回も俺の「好き」について自由に赴くままに語りたいと思う。この度俺が話したいのは、メディアミックス作品内のゲーム「ウマ娘プリティーダービー」より、「ナイスネイチャ(以下ネイチャ)」について。俺は今は前田佳織里オタクを名乗っているけど、そもそもそうなるに至った一番のきっかけこそが、「ウマ娘」を始めて出会った最推しキャラクターのネイチャだ。
前回の記事をですます調で書かせてもらったが、今回はカジュアルな文体だったり、であるだ調とかで書いてみようと思う。理由は気分。正直疲れるし。
……どういう形で執筆するのが良いのか試行錯誤してみたいと思うので、どうかご容赦願いたい。
また、俺は「ウマ娘」をゲームやアニメコンテンツとして楽しむファンであり、モチーフとなった競馬や実在する競走馬には詳しくないので、ご理解のほど。再三、俺が好きなのは「ウマ娘」のキャラクター、ナイスネイチャだ。
ナイスネイチャとは
別世界の(※つまり、実在する)競走馬の魂と名を受け継ぎ、その人間離れした脚力で速さを競うウマ娘たちを、専属トレーナーとなってプレイヤーがトレーニングし数多の大会で一着を目指す育成シミュレーション、それがゲーム「ウマ娘」だ。
そんな中でも、実力のあるウマ娘たちが通う中央トレセン学園に属する生徒であるネイチャは、良くも悪くも周りと一味違う。
ゲーム開始時に最初に育成するダイワスカーレット、アプリの顔でもあるスペシャルウィーク、アニメ2期で活躍し絶大な人気を誇るトウカイテイオーなど、ほとんど誰もが「1番」を目指すトレセン学園でも、ネイチャは一人「アタシには無理だわ~」と、出会った時から努力家や天才に囲まれてどうしようもなく諦める一般人のような話し方をする。下町育ちで商店街では顔が広く、みんなから愛されているものの、レースはいつもいつも3着。おかげで「ブロンズコレクター」という称号までついてしまっているくらいだ。
……CV.前田佳織里 です。今回はそんな触れないけど。
ナイスネイチャの葛藤
公式の紹介文で「シニカルガール」と書かれるほど斜に構えたネイチャは、自分の実力を見てもらうための選抜レースで同期の実力者・トウカイテイオーと同じレースを走ることにため息をつき、走り終わっていつも通り3着をたたき出す。その後トレーナーにスカウトされる際も、「やだなートレーナーさん、おっちょこちょい。テイオーの待機列なら向こうですよー?」「アタシでホントに大丈夫?」「嫌になったら言いなよね?」など、後ろ向き瞬間最大風速な台詞が次々と出てくる。
そんな彼女の実力は「素で毎回3着を取る」ほどの磨けば光る原石。自分を信じてくれるトレーナーや商店街のみんなの声を受けて彼女は、本当は悔しい、みんなの期待に応えたいという本心を吐露する。
本当は誰よりも負けず嫌いで、でも頑張りに頑張った先でやっぱり主人公や天才に勝てなかったら。みんなの期待に応えられなかったら。3着で満足すれば。これ以上求めなければ、傷つかないで済む。人より少し大人びていて、真剣な彼女だからこその恐怖やためらい。
そんな彼女は、自分の自己嫌悪するひねくれた部分も受け入れてくれて真っ直ぐ背中を押してくれるトレーナーと過ごす内に、少しずつ自分と向き合っていく。
ナイスネイチャの存在が肯定すること
ネイチャは言うもさらなり死ぬほど可愛いが、今回語りたいのは別の点。俺がナイスネイチャ、そして「ウマ娘」に心打たれるきっかけとなった、彼女の性根についてだ。
ネイチャの個別シナリオを読んだ俺は、端的に言って衝撃を受けた。スポ根モノにこんなキャラクターがいていいのか、と。
スポ根にあるまじきひねくれた後ろ向き加減。トレーナーとのトレーニングで結果を出しても、自信をつけるまでがめちゃめちゃ遅い。トレーナーや仲間、商店街の人達などにいくら心の底から褒められてもいちいち謙遜したりするなど、ぶっちゃけ、かなりめんどくさい。
結論から言うと、俺はネイチャにこれ以上ないシンパシーを感じていた。俺は運動神経は決して悪い方ではなかったが、他人と自分を比べて自信なんてなくて、生まれた時からボールに触っているようなヤツやどれだけしんどい努力でも笑顔で軽々こなしてみせるような生粋の運動好きなどを前に、「今からいくら頑張ったとて、どうせ彼らには勝てっこない」と諦観からスポーツを中学を最後にすっかり辞めてしまった。
この考え方が正しいのかや、厳密にネイチャと同じかどうかは置いておいて、この後俺はスポーツができないことをコンプレックスとして抱え学校生活を過ごし、スポーツ漫画に見るような底抜けに明るいスポーツ少年や一生懸命に自らを磨き続ける努力家たちこそが評価されるべき素晴らしいもので、自分のような弱気でひねくれた考えは悪いものだと無意識のうちに自己否定をし続けてきた。
そんな中ある日、身内に「美少女のガワを被ったスポ根だよ!」と紹介され、とりあえず流行ってるしどんなものか見てみようかとインストールした「ウマ娘」で出会ったネイチャは、あろうことか昔の自分をそっくりなぞって作られたと錯覚するようなネガティブな台詞を次から次へと吐いたと思えば、最後に本心からの悔しさを顕わにしながら言い放った。
スポ根モノとは本来「ボールは友達」みたいな事を言ったり罰ゲームでランニング100周したり特訓と称して自分よりデカいタイヤを好き好んで引っ張る熱血少年たちが紆余曲折あってスポーツにのめりこむような作品であって、初手からメタ発言しながら諦めてるようなやつに尺が与えられるはずなどない。心情の変化が緩やかなネイチャならなおさらアニメ18話くらいでようやく本腰入り出すようなもので、主人公にすれば打ち切り、良くて申し訳程度に出番がある脇役程度だっただろうが、「ウマ娘」はソシャゲ。アニメや漫画とは違い、当人が「他の子にした方がいいよ」だのなんだのと言おうが、キャラクター1人1人に個別シナリオで尺いっぱいにスポットライトを当ててやることができる。
さも俺が特別に他人との能力差、努力や才能に悩んだような書き方をしたが、別に日が当たりにくいだけで、実の所、これはもっと色々な人が抱えるような悩みで。そんな沢山の人が苦しむ悩みである、他人との能力差に絶望しながらも、自分を応援してくれる人の思いに応えたい、もっと輝きたいと人一倍自分と向き合おうとする彼女は、その姿がこの上なく魅力的で輝いていることを体現している。
終わりに
期待はノーサンキュー?なシニカルガール、でも本当は誰よりも等身大の真面目で優しくて負けず嫌いな女の子。葛藤しながらも徐々に邁進していく彼女は魅力的で応援したくなると同時に、「後ろ向きになったり、斜に構えてしまう」ときがあってもいいんだと思わせてくれる。例え不相応に思える目標を口に出すことも、決して恥ずかしいことなんかじゃない。
スポーツモノは元々好みという程ではないので、もしかしたら他にこの手のエピソードは存在するのかもしれないが、ここまで振り切った捻くれガールを中心に据えた物語が描けるのは、「ウマ娘」というコンテンツとソシャゲという媒体の懐の深さが為せる技ではないだろうか。(あったらあったで気になるので是非教えてください)
取って付けたようだがナイスネイチャというキャラクターがこんなに感情を揺さぶり、応援してあげたい!と思わせてくれるのは、他でもない前田佳織里さんの声と演技の存在が欠かせない。あの柔らかな可愛さと、その中に内包された芯の通った凛々しさを持つ声が大好きだ。ナイスネイチャ特有のちょっと疲れてて、でも根の優しさやその時々の感情が都度声色に出る演技が大好きだ。
ナイスネイチャと前田佳織里が今日も可愛い。
仮面屋
好きな声優は前田佳織里、杉田智和、小野賢章。
秋アニメはにごリリ、嘆きの亡霊、治癒士を中心に楽しんでます。
寝る前にナイスネイチャの育成ストーリーを見返しては就寝が3時を超える。