2020年7月11日 ダークブラウン、プレーントゥ、ワンアイレットダービー
Siroeno Yosui の完成したばかりのビスポーク靴を囲みながら、作り手たちにこだわったところや苦労したことなど話してもらうシリーズです。
今回はこちらのワンアイレットダービーについて話を聞いてみました。
片岡謙(以下、謙)
高井俊秀(以下、高井)
聖:よろしくおねがいします。
謙 & 高井:おねがいします。
聖:ワンアイレットのダービー。
謙:そう。今回は、しっかりしたデッサンを持ち込みでいただきました。シームレスヒールとか、ワンアイレットで羽根のところにクロコを使うとか。あとは、羽根のところは "気球を逆さにした感じ" というイメージを伝えられました。基本的には、いただいたデッサンをベースにデザインの線を考えていった感じです。
高井:けっこう試作してましたよね?
謙:そうですね。線は結構難しくて... 羽根のラインをちょこちょこ変えながら試作を繰り返して。ただ、「デザインの線は、木型のバランスもあると思うんで好きにしちゃってください」と言ってもらえて、最終的にこういう形になりました。
謙:あとフィッティングでいうと、ワンアイレットダービーってけっこう特殊で、ダービーは甲の周りを紐で調節できるのがメリット。だけど、ワンアイレットだと軽く締めるだけになるんで、フィッティング的にはほぼローファーというか。紐で調整できない前提で、パターニングとか木型設計とかをする必要がありました。
聖:今回はクロコダイル使ってますね。
謙:そう。デッサン通り羽根のところにクロコを使ってて。クロコのウロコみたいな形がざっくり二種類あって、四角いほうが “竹斑(たけふ)”、丸いほうが “玉斑(たまふ)” と呼ばれてて、今回は竹斑のほうをメインで使った感じですね。
聖:ワニのどのあたりの部分になるんだろう?
謙:だいたいお腹の真ん中あたりが竹斑で、脇腹のほうが玉斑かな。今回使ってるのは喉のあたり。
(左側の四角い模様を竹斑、右端のほうの丸みをおびている模様のほうを玉斑と呼ぶそうです)
(クロコのここのあたり)
(パーツを切り出した後の革も見せてもらいました)
(今回は竹斑の部分がメインで使われています)
謙:ちなみに今回はソックシートもクロコにしてて。シンプルに遊びでっていうか。余ったから笑
聖:じゃあサプライズ…?
謙:そうサプライズで。作ってる最中に、マックスさん(今回オーダーくださった方のニックネーム)こういうの好きやろなぁと思って。ただ、はじめてやるんで履き心地いいかわからないんで、履いてもらって微妙って言われたら変える予定。
高井:マックスさん好きそうやなぁ。
謙:うん絶対好き笑。「いいですねぇー」って絶対言う笑
(ソックシートもクロコ仕様)
謙:あとアッパーの革はクラストカーフを手染めしました。
高井:デュプイのクラストカーフですね。
聖:クラストカーフってどういう革?
謙:素仕上げというか、染色されていない革のことかな。クラストカーフを手染めすると、ちょっとムラ染めっぽくなって、味のある感じになる。
(クラストカーフを手染めすることでムラ染めっぽくなるそうです)
(手染めする前のクラストカーフ)
謙:Twitter にこの靴の写真あげたら「ZONKEY BOOT っぽい」ってコメントもらって。たしかに、ぽいっちゃぽいかなって。このクラフト感とか、線の感じとか、底付けのしっかり感とか。
高井:たしかに ZONKEY BOOT 感ちょっとありますね。
謙:ちなみに ZONKEY BOOT ってどこのブランドか知ってます?(高井さんに向かって)
高井:知ってますよ!聞かないでくださいよ!そういうのは。
謙:ほんとに知ってます?
高井:知ってるって!知ってるから聞かんとって!やめて聞くんは...!聞くんはやめて…
謙:フラ…?
高井:フランス!!
謙:違いますイタリアです笑
高井:そう!知ってた笑
聖:笑...はい、ありがとうございました
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(念のため調べてみたところ、ZONKEY BOOT はオーストリアのブランドでした。イタリアには、彼らの靴を製造するパートナーの拠点があるようです。なんともテキトーな 2 人です...)
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