2020年5月30日 ダークブラウン、プレーントゥ、モンクストラップ
Siroeno Yosui の完成したばかりのビスポーク靴を囲みながら、作り手たちにこだわったところや苦労したことなど話してもらうシリーズです。
今回は、完成したばかりのこちらのダークブラウンのモンクストラップを囲んで語ってもらいました(早くお渡ししたい気持ちをこらえて)。
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高井俊秀(以下、高井):革がいいよなぁ。これ。
片岡謙(以下、謙):いいですよね。最初から色のイメージはあって、革屋さんに行って「こんな感じの色ないですか」って聞いたら 1 枚だけあって。いい感じやったから即決でしたよね?
高井:うん。「コレや!」ってなりましたね笑
謙:あと色もいいよなぁ。
高井:普通のスエードにオイルが染み込ませてあってちょっとだけ深い色味になってるんですよね。
(今回使った革を見せてもらいました)
聖:スムースレザーと違って大変なところとかあります?
高井:やっぱり厚みですかねぇ。
謙:たしかに。スエードは漉けないから。
聖:そうなの?
謙:うん。漉いたら弱くなるから。今回使ったスエードもそうだけど、裏面に樹脂が吹きかけてあって、銀面がない代わりにそれで強度を保ってて。で、漉こうと思うとそれを削ることになるんだけど、そうするとすぐに裂けちゃう。
高井:なので、漉いたら代わりに補強が必要になるんですよ。今回は結局漉いてから、豚革とかテープで補強する形になりました。
謙:あとはめっちゃ伸びるというのもありますね。銀面がないから。
聖:履いてるうちに伸びてくる?
謙:うん。だから結構タイトめに作る必要があって、モンクやと最初は一番ゆるいベルトの穴でフィットするくらいで作っておいて。で、伸びてきたらだんだん締められるようになってくる。
謙:あと真鍮のバックル!
高井:ああそう!
謙:上白石さんのところで選んで正解でしたね。砂型なんですよね。砂で型を作ってそこに真鍮を流し込んで、型を砕いて中を取り出すっていう作り方をされてて。
高井:そう。だからちょっと砂っぽいテクスチャが入ってる。
謙:そうそう。ザラッとしとるというか。ちょっと味のある質感になる。
(バックルのカタログも見せてもらいました。たくさん種類があります)
聖:ちなみに今回はどういう分担で?
高井:基本的に僕がメインでパターニングから底付けまでやりました。
謙:高井さん的なポイントはなにかあります?
高井:ポイント?やっぱりそうですねぇ...(30 秒くらい沈黙)バランスっすか...?
謙・聖:笑
聖:何のバランスです?笑
高井:形というか、線のバランスというか。
聖:なるほど。
高井:たとえば、ダービーとかは作りやすい。アイレットがあるからバシッとセンターを決めて線を引けるけど、モンクは明確なセンターがないから線のバランスをとるのが難しくて。結構何回も作り直しました。
謙:作っては捨てての繰り返しでしたよね。他のデザインでもパターニングはトライアンドエラーって感じやけど、モンクはとくにその感じが強い。ベルトの角度がすこし変わるだけでも全然印象変わったりするから。
高井:そうですね。やっぱりパターニングは他のデザインよりも時間がかかりますね。
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