川口ちゃんの衣装計画#63 香水は靴と似ている
香水は靴と似ている。
どんなにそのブランドが好きでも、商品の見た目が好きでコンセプトに合っていても、香りが生理的に無理なら纏えないところが。
私には今、欲しい香水がある。
香りや製品のストーリーが私のコンセプトにも合うと思うし、奇跡的に自分の好み(香りや持続時間などもろもろ)にもぴったりというかなり貴重な物!君こそ私の浄土香!
でもひとつだけ問題がある。
値段が高い。
約38,000円。
香水ってバカにできない。別に周りに漂わせなくても、自分だけに香るような場所にシュッとひと吹きするだけでいつもより「その香りっぽく」行動できる。だから、なりたい自分になることを後押ししてくれるアイテムとして、ぜひ欲しい。
…でもやっぱ高いよ!!!!
無くても困らないもの(※しかも水)(※さらには消耗品)に38,000円も払うってなかなか清水だよ。
Twitterには高級香水を毎シーズン何本も買う香水好きの方々がいるけど、あいつらはもうとっくの昔にイカれちまってんだ!!(洋画の吹き替え風)。
まあ気持ちはわかる。香りの好みはあれど高い香水は基本的にすごいですからね。10,000円しない香水なんて香水ではないっっと感じるくらい違う(※といっておきながら10,000円以下の香水もバッチリ愛用中)し、30,000円を超えるともはや調香師による芸術品。あなた商売なんて二の次でしょう、好き勝手してるでしょうという世界。あ、さも高い香水を愛用しているような口ぶりですが、度重なるタッチアップで得た感覚です。
香水ってよほどの人気商品でなければ入れ替わりが激しい世界だし、もう買ってしまいたい。けど私はしがない会社員だから、買うなら他の欲しいもの38,000円分を諦めなくてはいけない。
まともにできる気がしないけど、冷静に比較するために好みと合わないところも見なくては。
唯一あまり気に入ってないところは見た目かな。まあ見た目なんて、あきらかに苦手なモチーフでなければそこまで重要じゃないでしょう…いや、パケ買いとかもあるくらいだから、重要なのかな。
パケ買いといえば、超余談なのだが、最近出会った「見た目が大好きだったけどコンセプトと香りが微妙だった」香水がある。
それがペンハリガンのポートレートシリーズの、ハートレスヘレン(残酷なヘレン)。
(ラトリエデパルファム公式サイトより)
これをパケ買いだなんて、川口ちゃんはニワトリ好きなのねと思われるかもしれない(※実はこちらニワトリさんではなくまさかのオカメインコです)。
しかし私はこのゴージャスでユニークなボトルに惹かれたわけではない。液体の色味に惹かれたのだ。
公式の商品画像だと黒っぽく見えるが、実はこちらのポートレートシリーズ、公式サイトの液体の色味と、実際の色味が結構違うのである!!
というか、少量だったり、光が当たると全然違う。ハートレスヘレンの店頭での色は、こちらのラトリエデパルファムのスタッフさんの後ろに写ってる色なのだ。
(こちらのサイトより。矢印は私が付けました。)
おわかり頂けただろうか…。
ご覧の通りとっても鮮やかな水色!まるでハクリューの胴体の色!つまり私のとっても好きな色。通りすがりに一目惚れして、家に帰って調べた時にサイトに同じものが無くて焦ったくらいには色が違う。もし液体の色味に惹かれてポートレートシリーズを狙っている人がいたら実物を要チェックですよ!(※たぶんいない)
こんなん小さすぎてわからんわ!って方は、もしご興味あればラトリエデパルファム店頭に行くか、もしくは「ハートレスヘレン」で画像検索してみてください。これぞ!な画像は出てきませんが、なんとなく実際の色味はわかると思います。
まあ実際は保管の際にこんなに光を当てては劣化してしまうためいけないので、自宅でここまで水色に見えることはないとは思いますが…。
ちなみにこれは一目惚れした後に購入したディスカバリーキットの残り少ないヘレン液。この色がわりとリアルかなと思う。リアルかなというか、現物。これでも公式よりはずっと青いと思う。
でもこちら、見た目はよくてもコンセプトと香りが自分と合わずに購入は見送った。
人気のシリーズなのでご存知の方も多いと思いますが、ペンハリガンのポートレートシリーズはこんな風に架空のイギリスの上流階級の人々をモデルに香りが作られているシリーズ。物語があるんです。相関図を見ているだけでわくわく。
イギリスの上流階級の秘密・・・礼儀正しく丁寧に振舞う彼らは、そのとおりの人物だと思いますか?
PORTRAITS(ポートレート)は、英国のウィットを、上流階級の人間関係、ユーモア、刺激的なエッセンスを持って表現する、かつてないフレグランスコレクションです。
この人たちが…
こうなる。(まって、よく見たらこのヘレンの色味実物に近いじゃん)
さて、ヘレン様はどんな人物なのかというと…
常に明確な意思を持ち、相手を負かすためなら平気で作り話もするヘレン。なぜなら、相手が負けなければ、勝ったことにはならないからです。
愛は戦って勝ち取るものであり、勝者のみが愛されるのです。そして、ヘレンは何よりも愛されることが大好きなのです。
共感できねえや。
そんなヘレン様の香りはどんなものなのかというと…
運命か罠か。抗えない魔性の香り。
欲しいものは必ず手に入れ、男性をも征服してしまうヘレンのように、ミステリアスで自信に満ちたフレグランス。 官能的なチュベローズを基調とする香りは、弾けるようなピンクペッパーコーンと甘くジューシーなマンダリンの香りで幕を開け、濃厚でありながら、明るく人を惹きつけるいきいきとした印象を与えます。やがてジャスミンの香りとともに現れるのは、純真で優しい少女のようなイメージ。思いがけないうつろいを魅せながら、ラストはクリーミーウッドとカシュメランで優雅に幕を閉じ、恍惚とするセンシュアルな余韻が長く続きます。 “罠”のような香りと言われても避けられない、魔性の香りです。
キャラクター: オカメインコ ― “トサカを広げて自己主張する鳥” 香調: フローラル ウッディ キーノート: マンダリン/チュベローズ/クリーミーウッド 調香師: ドミニク・ロピオン
とまあこんな感じなのですが、説明文の中でも『濃厚でありながら、明るく人を惹きつけるいきいきとした印象』という部分がこの香りの特徴を簡潔に表しているなと思った。とても甘く柔らかく、でも意外に爽やか。爽やかといっても柑橘系のような鋭さはなくて、オブラートに包まれたアンパンマンのグミのオレンジ味みたいな感じ。男性らしさとか、暗いところが全くない。完全に普通の女性。終始まろやかで色気のない、入浴剤のような無害な香り。
たしかに魔性の女って色気むんむんの人じゃなくて「私、恋とかあまり興味ありません」という感じだからね。噂のわりに良い子じゃん、というまんまと恋に落ちる王道のやつ。良く言えばコンセプト通り、悪く言えばいたって平凡な香り。
ということで、香りもコンセプトも特別これっていうものではないし、見た目…というより、いつか消える液体の色が好きなだけだし、なんせお値段がめっちゃ高い(36,300円)ので、買うのはやめました。
ちなみにポートレートの最新作、ドラゴンですって。素敵〜。
(引用、画像はすべてラトリエデパルファムの公式サイトより)
余談が長くなってしまったが、つまり靴と同じでいろいろなポイントがバチッとはまる香水は珍しいということ。
買っちゃえと思う自分と、もっと優先するものがあるんじゃない?と思う自分がいて、うじうじしている。次々と欲しいものが出てくる世界、お金は使わないに越したことがないですからね。
信じないことが信条🍤