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リチウム価格戦争(2022年ロシアウクライナ紛争)

リチウム価格の推移とロシア・ウクライナ戦争の経過について、答え合わせをしてみました。ドローンの電池にもなるリチウム。産出量シェアは、1位はオーストラリア46%、2位が南米チリ25%です。
ドローンの使用は、2021年4月3日「ドネツク地方で子供がウクライナ軍のドローンに子供が撃たれて死亡」しロシア官邸DUMAが欧州評議会に調査を訴えたという報道や、2021年10月26日「ウクライナ軍が親露派武装勢力にドローン爆撃を実施」した報道など、侵攻以前から上がっていました。

https://jp.tradingeconomics.com/commodity/lithium

上昇段階(図)
(1) 2020年3月14日 ロシアが憲法改正によりプーチン大統領の続投が決定。動きはありませんが重要なポイントです。
(2) 2020年7月6日 ウクライナ軍とNATO軍が合同演習。
(3) 2022年2月24日  ロシア軍、ウクライナに侵攻開始。
(4) 2022年9月21日  ロシア軍、30万人動員計画を発表。
(5) 2023年6月6日  ロシア軍、カホフカ水力発電所一帯を制圧して価格が急落し、カホフカダムが破壊され洪水が発生。そのことで再度急騰。

2023年4月21日、南米チリのボリッチ大統領は国内リチウム産業を国有化政策を発表。利益の見込める産業で税収を確保する常道政策(利益の見込める部門から民営化・天下り先になる日本政策のほうが、いわゆる逆コースです)。
鉱業もかうて労働搾取や児童労働が発生してきた産業ですが、チリとアルゼンチンは、調査活動や現場監督増員などのさまざまな対策が、国際労働局に評価されています。その活動もいっそう推進できることでしょう。
配当金株主の中国の天斉鋰業(ティエンチー・リチウム)は異議を申立てているようですが…。

さておき、リチウム価格が落ち着きそうな段階で日本企業や政府の動きが報じられていました。

下降段階(図)
(6) 2023年11月9日 ブリジストンが南米チリで、鉱業用タイヤサービスを開始。南米チリの税金にぶらさがる予定。
(7) 2024年6月14日 日本の経産大臣が南米チリ鉱業大臣と会談し、協力覚書を改訂しました。

以上のとおり、リチウム価格の上下は、おおむねロシア軍の動きに連動していたということでした。もちろん双軍がドローンを使用しているわけで、イギリスはウクライナ軍事支援の報道にとても熱心でしたが、イギリス連邦国のリチウム価格が支援理由のひとつだったのかなと思わないでもない。
なんにせよ早期停戦を祈りたい。


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