『ピスコ』ー南米発の葡萄のお酒
『ピスコ』とはブドウを原料にした蒸溜酒で、ペルーとチリで造られています。もちろんヨーロッパでも葡萄を原料にした蒸留酒はあるのですが、「グラッパ」とか「ブランデー」と名称を変えています。実際、葡萄の蒸留酒は日本でもしっかりと浸透しているのですが、『ピスコ』=南米発となると、日本ではあまり浸透していないのが実際のところです。
アルコール度数も42度が平均となっているため、「強いお酒」と感じてしまい敬遠されることも多いです。それでも近年ラテンアメリカ文化は日本にも浸透してきており一部の人の中では「神に愛されたお酒」などと呼ばれ、非常に高貴なお酒として楽しんでくださっている方もいるのは本当に嬉しいことです。
日本でこの『ピスコ』が新たなブームを生み出し、日本における南米文化を大いに味わっていただきたいと思っています。それで今回はペルーの『ピスコ』を中心に基礎から楽しみ方、現地の魅力をお伝えできればと思います。
ピスコってどんなお酒?
まずは、ペルーで作られている葡萄の蒸留酒「ピスコ」がどんなものかを見てみましょう!
語源:ピスコという名前は、ペルーの祖語であるケ チュア語で、元々はとある小型の鳥類を指していましたが、徐々にの町や都市の名前にも使用されていきました。スペイン人が葡萄の木を持ち込んだ際に多くの収穫があった町がペルーのピスコと言われており、そこで作られたお酒ゆえにピスコと呼ばれたと言われています。(チリにおいてもケチュア語を利用していたと言われていますが、チリの語源はまた別のものとなるので、今回はペルーに焦点を当てていきます。)
「ピスコ」とは:葡萄を原料とした蒸留酒ですが、ペルーにおいては原産地呼称(ピスコというペルー産の製品を特定地域と結びつけるために行われている概念でリマ・イカ・アレキパ・モケグア・タクナの5県が原産地呼称の保護を受けています。)が導入されているとともに、葡萄品種や製造工程もしっかりと定義されており、基準に満たされないものはピスコと呼ぶことはできません。
ピスコにカテゴリーってあるの?
主に3つの種類に分けられます。
「プロ」(スペイン語の意味では「ピュア」とか「純粋」という意味)と呼ばれる単一葡萄から作られたもの。限定された品種8種類(ケブランタ・モジャール・ネグラクリオージャ・ウビーナ・アルビージャ・トロンテル・イタリア・モスカテル)の1品種を用いて蒸留されたもの。感覚的にはシングル品種と覚えておくといいでしょう。750ml一本に対して約7-9kgの葡萄が使われます。
「アチョラード」と呼ばれるのはプロと違って単一品種で作られていないもの。つまりはブレンドということになります。蒸留後ブレンドするところがほとんどですが、稀に搾汁の時点で混ぜているところもあります。
「モストベルデ」(スペイン語の意味では「モスト(葡萄の果汁を発酵させてワインに近い状態にしたもの)が若いまたは未熟な」という意味)こちらは葡萄の搾汁後の発酵過程を短めにして蒸留したもの。葡萄を搾汁して十分発酵させたモストを蒸留するのが基本ですが、モストベルデは発酵短くするので当然モストに含まれるのアルコール度数は低くなります。そうすると抽出できるアルコールの量も少なくなるので、750ml一本に対して約2倍の量の葡萄の14-20kgの葡萄を使わなければなりません。
この3種類が基本ですが、8種類の葡萄品種も加わるのでかなり多くのバリエーションを生み出すことがわかると思います。ワインにおいても同じ銘柄でも違う葡萄品種によって全く違う味わいを得られるのと同じようにピスコも同様です。
8種類の葡萄品種に「プロ」と「モストベルデ」加えて16種類。アチョラードを2種類の組み合わせで作った場合にはが28通り、3種類のブレンドの組み合わせなら56通り、4種類のブレンドの組み合わせとなると70通りと数多くなっていくことからも、カテゴリーや葡萄品種で大きな変化と種類を意味出すことからも『ピスコ』はかなり奥が深いことがよくわかると思います。
次回はピスコ認定のルールについて書いてみようと思います。