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少しは大人になれただろうか。韓国軍人ぼろぼろ日誌。

「若い時はわからなかったけど、あのオトナたちが言っていたのは本当だったぜ?あの時に戻りてぇ~!!」
「大学生の時がいちばん楽しかったっよ。せふぁん、今を楽しめよ?!」

と周りのオトナたちからよく言われていた。僕は、こんな話を聞くたびには「これから楽しくなくなる人生を歩んでいくなんて」と億劫になっていた。

一方では「いやぁ、せふぁんくん。俺は今が一番楽しい。昨日より今日が、今日より明日が!人生って最高だぜ?」という大人もいた。僕は「俺も、こういう大人になりたい!」と憧れを抱いていた。

実際、僕はそのように感じながら生きていた。歳をとる毎に、見えてくる景色は変わってくるし、どんどん素敵な人に恵まれるし、人生がどんどん楽しくなっていくのを実感しながら大人への道を歩んでいた。

だけど、ある日を境に「あの時が、一番楽しかった。」とあのオトナ達に激しく共感するようになった。あの日とは、2024年1月30日のこと。僕が韓国陸軍に入隊した日だ。そして、僕が誰よりも尊敬している大好きな友人たちと別れた日。

僕にとって友達は家族のような存在だと言っても過言ではない。特に韓国に来てから出会った留学生仲間たちは。

居酒屋のつまようじ一本だけで一日中、腹を抱えて笑いあえるそんな関係性。目の前で起こった出来事を純粋に面白がってゲラゲラと笑いあう日々。

夜中まで一緒に課題をし、死にそうになりながら迎えたテスト期間や、いきなり集合して爆音カラオケ大会を開催しながら海までドライブに行ったり。朝が弱い仲間が多く、早く起きた人から、まだ寝てる人を起こしに家に突撃したり。

「世界を変えるには、青年が立ち上がるしかない」と一緒に学生団体を運営しながら、各々の強みを活かし助け合い、更なる日韓関係向上のためのコミュニティを広げたりと。

苦楽をともにする、最高の日常だった。

僕は、入隊しても、かなりの月日が経ったのにも関わらず、過去に囚われながら生きていた。今になって「あの時が一番楽しかった」とあのオトナたちが言っていたことに理解できる。

けど、先日ふと思うことがあった。
それは「今の仲間たちに申し訳ない。」だった。

本当に感謝すべきことに、僕は軍隊でも素敵な仲間に恵まれた。おかげさまで、しんどいこともあるが何とか楽しく過ごせている。けど、そんな素敵な仲間がいるのにも関わらず「あの時が一番楽しかった」と嘆いていては、つまるところ「お前らといるより、外の友達といる方が楽しい」と比較して優劣を主張しているようなもんだ。

とんでもない過ちを犯していたことに気がついた。
あの時の仲間も最高に好きで尊敬しているし、今の仲間も最高に好きで尊敬している。どっちがいいとか、ここに優劣などない。どっちも最高なんだ。

明日、11月23日に僕は歳をまた一つ重ねることになる。少しは大人になれただろうか。

D-249 #韓国軍人ぼろぼろ日誌

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