【Patrick Mojii】隠し球だけど、飛び道具だけど、だけど一番スタンダード。
まずはじめに。
素敵な企画に参加させて頂きありがとうございます。少しだけお付き合い頂けると幸いです。
『隠し球だけど、飛び道具だけど、だけど一番スタンダード』
この曲にはこんな言葉が似合うのではないかと私はひっそり思っている。
2年前の8月この曲のMVが公開された時のことをかなり鮮明に覚えている。
それまでのユニゾンのMVはポップなものや、洗練されたものが主だった。ショッピングモールが舞台だったり、街中を歩いているものだったり、たまに火に囲まれていたり。(一部例外はあるが)
しかし、MV公開当時、Youtubeからの通知を開いてみると画面の中では、ドラマーはバケツを被り、ベーシストはラップに巻かれ、ギタボはサングラスピースしているではないか。
しかもその周りではゴリラが踊っているというなんとも異様でアングラな世界が広がっており、新曲のMVに歓喜しながらも困惑したことは記憶に新しい。
そんなちょっと衝撃的なMVを身に纏ったこの曲を改めて食べる前に、少しだけ食前酒を呑むような感覚でこの記事は読んでもらえると嬉しい。
この少しだけエキセントリックな曲がリードトラックであることについて。
基本的に、アルバムのリードトラックというものはタイアップやシングル曲が主に役割を担うことが多い。
アルバムのイメージを形作る大役を任せる程アーティストが最も力を入れていたり、思い入れがあったりする曲が選ばれるのだ。
しかしこのアルバムにおいてのリード曲はタイアップでもシングル曲でもなく、唐突に公開されたおもしろMVの曲だった。
アルバム全12曲中シングルカットされている3曲の内からではなく、どうしてアルバム曲が選ばれたのか。
そういえば、前回のMODE MOOD MODEでも『君の瞳に恋してない』がリード曲だった。
CIDER ROADでも『シャンデリア・ワルツ』だったような。
こうして毎回アルバム曲からリードが選ばれるのにはある種の思い入れがあるのだろう。
シングルでは出さない、ある種の隠し球だけれど、最大のユニゾンらしさが詰まった一曲。
これを正面から受けた瞬間、倒れてしまいそうになるくらいの衝撃を受けるのだ。
自由かつそれでいて手を抜かない。
そう、
抜かりない。
この衝撃は一度知ってしまったら手放せない。
もう一度、またもう一度とやみつきになる度にこの曲に多くの物語を見出していくのだ。
最後にめちゃ好きなフレーズだけ。
全員が同じ方法で音楽を楽しむのではなく、観客が各々のやり方で音楽を楽しむことを尊重してきたユニゾンが、改めて我々に音楽の楽しみ方を問う。
そんな印象を持つのと同時に、ユニゾン自身が改めてロックバンドを楽しく思っている事が強く表れたフレーズなのでは?と私は勝手に解釈して、もういっそ自分の都合のいい様に楽しく聴くことにした。
どう捉えようがこちらの勝手なのだ。
これから一聴では難しいこの曲を何度何度もも噛み砕くことになるのだろう。
日々変わる気分や考え方に大きく左右されながらこれから様々な何かを思い浮かべる。
ファンシーって何だ。世界ってそもそもなに?
そうやってさまざまな定義が曖昧なまま、私たちは何回も再生ボタンを押す。
なんだかロールシャッハテストみたい。
まんまと奴の魂胆にしてやられた。
#ユニゾン #PatrickMojii #PatrickVegee