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断熱のススメ。

25年前の東北では、断熱をびちびちに入れてる新築住宅なんて多くなかったように思う。
新築でも、朝のフローリングをはだしで歩くと冷たかったし、窓下に枕を置いて寝ると鼻先がキンキンに冷えるのがふつうだった。

今では考えられない話だが、当時の工務店が力を入れていたのは、おもに耐震性。それが私の住む地域ではいわば常識だった。
「うちは耐震も断熱もデザインも、ぜんぶ標準仕様です!」
という工務店にお目にかかったことがなかった。
せいぜい、お客様がお金を出せばオプション対応できますよ、という感じ。

今どきの工務店は、ラーメンのごとく耐震も断熱もデザインも「全部のせ」でしのぎを削っている。そうでないと大手ハウスメーカーと同じ土俵で戦うことができない。

ここで、あらためて高断熱化についてクローズアップしてみたいと思う。

どうしてここまでハウスメーカーはもとより工務店までも高断熱化に取り組んでいるのか?

答えは、ズバリ国の政策。

国はCO2削減いわゆる低炭素化を進めてきたが、思ったよりなかなか進まない。では、建築時・居住時・改修時・解体時の各シーンにおいてけっこうな量のCO2を出す建設業界・住宅業界に努力してもらおうということになった。ざっくり言うと、居住時に暑かったり寒かったりすると、暖冷房をたくさん使う。ということは、電気をたくさん使う。電気を作るには燃料を燃やす。その時CO2が出る。

逆算していくと、

高断熱な家=居住時に暖冷房を使わなくてすむ家=CO2削減

ということになる。
だから、高断熱をうたうハウスメーカー・工務店が増えてきたのは国策
によると言ってもいい。

高断熱化が進んで、最近の新築住宅は昔に比べたら本当に暖かくなった。
一方、無断熱に近いような家は現在でも全体の60%以上にのぼるとも言われている。無断熱の家で生活する多くの人は、より一層ここ数年の猛暑に参っているだろうが、電気代の高騰でエアコンのスイッチをいれるのをためらう人も結構な数にのぼるのではないかと思う。

そこでやはり、断熱化や生活上の工夫をする必要性がでてくる。

具体的にいうと壁・床・天井の仕上材・下地材をはがして、まずは窓自体を入れ替えるか、古い窓の内側に高性能の窓を付け足す。さらに壁・床・天井に断熱材を入れ込んでいく。断熱材をいれこんだら、断熱材に湿気がはいらないように室内側から厚手のシートをすきまなくはっていく。ここですきまをしっかりテープでふさがないといけない。すきまだらけの家は断熱をびっちりいれても意味がないし、すきまから断熱材に湿気が侵入し、断熱材がかびだらけになるからだ。
仕上材・下地材をはがした際に、ついでに電気配線も入れなおせば漏電の危険性もぐっと減るし、給水給湯管を断熱材つきに更新するのもいいと思う。

一般的にリフォームと言えば、壁紙・床材を張り替えたり、流し台や洗面台、便器やお風呂の入れ替えをイメージすることが多いと思うが、実は断熱化工事の方がコスパはいい。正しく断熱化することで、さまざまな病気を未然に防ぐことができるし、光熱費も安くなる。

ここまで読んでみて、
「おおげさだな」
と思ったそこのあなた。光熱費削減をねらった「生活を工夫する系の手法」はどれも効果がうすい。窓にぷちぷちを貼ってもだめ。窓に遮光フィルムを貼ってもだめ。大した金額でないとはいえ、コスパが良くない。

お金があまりないなら、せめて窓の内側に樹脂製の窓をかさねてつけるリフォームをおすすめする。もしくは、思い切って断熱されている住宅に引っ越しを検討するのもいいだろう。

それすらもやはりきびしいと思ったそこのあなた。
夏は北側以外の窓の外側にアルミシートなどが裏打ちされたような明色系の覆いをかけて、室内に日射が入らないようにしてみて欲しい。やれそうなら、外壁も一緒に覆いで隠せたらベスト。
日射をさえぎり、家本体に日射をあてない・窓から侵入させないことが重要なのである。

冬は、窓の内側にホームセンターで売っている板状の断熱材を窓のサイズにあわせてカッターで切ったうえで、日が暮れはじめたらぴたっとはめ込むのがおすすめである。外からみると見た目がまったくもってよろしくないが、効果は感じられると思う。

数年後、さらに省エネに関する基準の最上ランクが引き上げられる。
今建てる基準ギリギリセーフの家が、5年後には省エネ基準から外れる可能性も出てくるわけである。

これから家を建てる人やリフォームをする人は、高断熱化について是非検討をしてみて欲しい。

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