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ブラキャニはいいぞ。キリスト教一問一答・その2
Black Cat Carnival(ブラックキャット・カーニバル)の「キリスト教・聖書の話」ルームで募集した質問をまとめていくよ。
今回は第2回。第1回はこちら↓から。
たくさんの質問ありがとうございます。
楽しく答えさせていただきました。
キリスト教のこと、たくさん知っていってくださいね!
・信者ではなくても礼拝に参加させてもらうことは可能なのでしょうか。
もちろんです!
信じるつもりはないが学問的に興味はある、
という方も通っておられますし、大歓迎です。
大抵の教会ではその日の礼拝に必要な
聖書や讃美歌などは一式、
教会でお借りできると思いますので、
特別に何かをご用意する必要はありません。
お気軽に、いつでもお越しください!
・聖書の中で一番繰り返し読んでいる一節って何ですか?
理由やその一節に対する思い(個人的なものでも)を教えて欲しいです。
ありがとうございます。
いわゆる「愛称聖句」ですね。
私にとっては、
テサロニケの信徒への手紙一 5章16-18節の、
「いつも喜んでいなさい。
絶えず祈りなさい。
どんなことにも感謝しなさい。
これこそ、キリスト・イエスにおいて、
神があなたがたに
望んでおられることです。 」
が、何度も思い起こす箇所ですね。
感謝の心を忘れず毎日を過ごすのは
なかなか難しい時代だと思います。
多くの人がストレスや痛みを抱えながら
過ごしていることでしょう。
でも、そうやって心が痛んでいるときほど、
一言の優しい言葉、気遣いがどれだけ
私たちの心を癒すか、ということも
よく私たちは知っていると思います。
喜んでいる人、感謝する人の周りには、
自然と穏やかな雰囲気が保たれるものです。
誰もが心の癒しを求めているからこそ、
その癒しを自分を中心に広げていければ
自分の心も整っていくし、
心地よく過ごすことができる周りの環境も
少しずつ整ってくるものだと思います。
余裕がないと自分のことしか見えなくなるものです。
でも自分のために、根気強く誰かにやさしくする、
それもまた、聖書が勧めていることなのです。
偽善だと思う人もいるかもしれませんが、
やらない善よりやる偽善のほうが、
世界はもっとやさしくなれると思うので、
この聖句をいつも心に留めながら過ごすことにしています。
・同性婚への考え方は宗派によって違うのでしょうか?
センシティブな話かと思うので回答難しければご放念ください。
そうですね。
詳しいわけではありませんが、
教派によってかなり扱いが
大きく違うと思います。
ただ、これまで最も
一番同性婚・同性愛を否定してきたのは
カトリック教会なのですが、
現教皇フランシスコになってからは
「キリスト教は同性愛者に謝罪すべき」と
発言したり、
「同性カップルに対して祝福を許可する」
という宣言を出し、
歩み寄り始めています。
また実際に日本キリスト教団には
ご自身がLGBTQであることを
カミングアウトした牧師がいらっしゃいます。
一方で、同性婚・同性愛どころか
女性は牧師になれない、という教派もあります。
日本のキリスト教会の多くは
母体であるアメリカやフィンランド、
ノルウェーなどの教会の捉え方の影響を
強く受けることも多いので、
その母体の教派が保守派であると
日本でも難しい、となることが多い印象です。
・聖書はイエスが語った言葉を後に弟子?達がまとめた発言集だと聞きました(読んだ事はないです)。
まとめた人によって内容に偏りがあったり、誰がまとめたかで対応の違う宗派ってあったりするんですか?
主に福音書がそれにあたりますね。
キリスト教が新興宗教だった頃、
福音書は数十種類もあったそうです。
その中から
「イエスが人々に伝えようとしていた
意図をちゃんとくみ取って書かれたもの」
をキリスト教会が精査し、
今のマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの
4つの福音書が正典として選ばれる
ことになったのです。
この4福音書に扱いの優劣などは
ありませんが、
内容はそれぞれ
「読者は誰を想定して書かれたか」
「イエスとは何者であったのか」
が違うので、
同じシーンが描かれていても
詳細が異なることもあります。
それは福音書ごとに
強調したいメッセージが
違うからなんですね。
・(続き)ご回答いただいて更に疑問が湧いたのですが、聖書って複数あるんですか?
あと、聖典に選ばれなかった福音書は現存していないのでしょうか?
聖書というのは実は、
旧約聖書と新約聖書が
一つになったもので、
旧約聖書の中に39冊、
新約聖書の中に27冊、
計66冊の短い書物の集まりに
なっているんです。
この新約27冊のうち4冊が、
イエスの生涯について書かれた
「福音書」と呼ばれる書物
ということになるんですね。
正典として選ばれなかった福音書は、
ほとんどはその時になくなってしまいました。
(別に異端として焼き払ったとかではなく
後代に受け継がれずに
自然となくなったということです)
ただ、イエスを裏切り、
十字架で殺されるきっかけを作った弟子、
「イスカリオテのユダの福音書」や、
「マグダラのマリアの福音書」などは、
現代にも残っていて、日本語訳されて
出版されています。
(ナショナルジオグラフィックより)
キリスト教からすれば異端的な考え方を
イエスの物語として書かれているので、
あくまでエンタメとして読んでもらえると
いいかなという本になっています。
・(続き)聖書とひと言で言っても源氏物語みたいに巻数がたくさんあって、それぞれ著者が違うという認識で合ってるでしょうか💦
追加で質問してばかりで恐縮なのですが、
初心者が読むのに適しているものがあれば教えていただきたいです。
ご興味を持っていただいて
ありがとうございます。
そうですね、そのような認識で
概ね大丈夫だと思います。
初めて読む場合には、物語がおススメです。
特にキリスト教にご興味があるなら
イエスの生涯を書いた「福音書」が
おススメです。
概観を捉えるなら短めなマルコ福音書、
ちょっと長くてもいいならルカ福音書
あたりが個人的にはおススメです。
今はスマホのアプリで無料で読めるので
「聖書」というアプリに入っている
「新共同訳」の聖書をおススメします。
↓こちらからDLできます↓
https://www.bible.com/ja
日本語訳にもたくさんありますが、
このアプリでは無料で公開されていて
かつ全国のキリスト教会でよく読まれている
訳になります。
そこでイエスの生涯をざっくり知ったら、
それをテーマにした映画などを
見てもいいと思います。
イエスの生涯全編を映画化した
「サン・オブ・ゴッド(Son of God)」
グロいのが大丈夫なら
「パッション(The Passion of the Christ)」
などがおススメです。
福音書を読み通すのが難しいなと
感じられたら、
映画から見られても大丈夫ですよ。
・懺悔室について教えてください。
悩みごとを打ち明けられるのかなと思っているのですがそういう場所なんでしょうか
懺悔室はカトリック教会にしかありませんので、
あまり詳しくはありませんが
正確には「告解室」と呼ぶそうです。
主に「自分の犯した罪を償うために
神父にそれを聞いてもらい、
神に赦しをいただく」ための部屋です。
ここでの罪というのは、
聖書がいう「罪」ですので、
法律に反することだけでなく、
もっと広い意味を持っています。
「誰かと仲違いをして傷つけてしまった」
「いつも嘘をついてしまう」
などの、人間関係が破れる行為も
それにあたります。
元々は信徒がこの罪の告白をして、
それを神の前に赦してもらい、
改善できるようにという心を新たにする場所、
また罪の償いとしてどのようなことを
すればいいか
(たとえば聖歌隊に入って歌ってもらう、
教会の掃除を手伝うなど色々あるそうです)
を教えてもらう場所でもあります。
現在ではもっと開放的に
「相談室」として使われることもあるそうなので、
信徒でなくてもご相談は可能かもしれません。
「誰にも言えないことでしんどい、
誰かに聞いてもらいたい」もご相談できます。
守秘義務があるので牧師は他の誰にも言いません。
ただ、教会に行ったこともない、
という方であれば、直でそこに行くのでなく、
まずは教会にお電話かお手紙などで
ご相談や、そのお願いをするのを
おススメします。
プロテスタントの教会では、そのようにして
お悩みをお聞きすることも多いです。
突然お電話が来た時に、
なかなか時間を取ってお話を聞くことが
難しいタイミングもありますので、
一度ご連絡いただいて、予定を組んで
教会に来ていただいてからじっくり聞く、
という形が一般的かもしれません。
・そういえば聖書の著作権てどうなってるんでしょう?
聖書の原典である
ヘブライ語・ギリシャ語の
テキスト本文は著作権は
2000年以上前の書物ですから
もうフリーと言って良いんですが
この原典から訳された翻訳版聖書は
それぞれ翻訳をした出版社に
著作権があります。
ここでの回答に引用させて
いただいている聖書の訳は
「新共同訳」なので、
この訳は「日本聖書協会」が
著作権を持っていることになりますね。
・カトリックのいう七つの大罪はプロテスタントではどういう扱いなのでしょうか。
またセブンなどの大罪をテーマにした映画や作品を峰さんはどう感じますか?
プロテスタントではほとんど
取り上げられないと思います。
「そういう考え方もあったんだなあ」
くらいの捉え方ですね。
ただ、真理はついているように思います。
だからこそ
キリスト教の要素は映画だけでなく
様々なエンタメコンテンツの
題材や元ネタになってきたのでしょうね。
ですからそれが
キリスト教(とその要素)に対して
リスペクトの上で作品に
取り込まれているなら
目くじらを立てるものでもないと
個人的には思います。
ただ、キリスト教の要素をそのまま
取り込んだように見せておいて、
全くその解釈が間違っていたり、
悪いイメージと結びつけたり、
キリスト教の教えたい内容とは
かけ離れたものになっているなら、
悲しいなあと思います。
作品として目に触れる以上は
世に出たその時点で
チェックされていることが普通ですし、
早々お目にかかれないので、
そういう作品を見つけても
キリスト教とは切り離して、
単なるエンタメとして
受け取ると思います。
・おすすめの聖書(新約、旧約両方)はありますか?傾倒はカトリックよりです。
過去に答えていたらスルーで大丈夫です。
聖書訳のオススメか、
聖書の中のある書のオススメか
わからないのでどちらも答えますね。
オススメの聖書訳なら、
新共同訳かフランシスコ会訳が
良いと思います。
特にフランシスコ会訳は、
カトリック公認の聖書で、
修道会が訳しているため
原典に最も忠実です。
注釈もあります。
原典に忠実なのでわかりにくい部分も
あるかもしれませんが
意訳されてしまうより良い、
という人向けです。
注釈付きはかなりありがたいです。
書店で開いてみて決めても良いと思います。
聖書の中でオススメの書は、
旧約は創世記から出エジプト記、
特にエジプト脱出のシーンは
ドラマチックで映画の題材にも
よくなっているものですので
教養としてもオススメです。
映画なら「プリンス・オブ・エジプト」
はいいですよ。
格言集が良ければ箴言を読まれると
良いかもしれません。
新約はやはり福音書ですね。
個人的にはマルコ福音書が好きです。
理由は一度ブログに記事にしたので、
もしよろしければお読みいただければ
幸いです。
・牧師になる方は、讃美歌やキリスト教絵画、建築などキリスト教が生んだ文化についても学ぶのでしょうか。
もし学んでいたとしたら、その中でお好きなものについても教えてください。
神学校の授業で学ぶのは
聖書の知識や、
説教や礼拝の仕方、
キリスト教会の歴史、
あとは実際の教会での
実地演習が基本です。
讃美歌や絵画、建築などは
個々人の研究として
卒論などに取り上げられることは
ありますが、牧師全員が
牧師になるために必須の知識として
学ぶわけではないんですよね。
なので全然詳しくはありませんが
絵画を見るのは好きなので
たまに見に行きます。
特にエル・グレコの絵は
エネルギッシュで好きですね。
+++
以上で一問一答、その2でした。ご質問ありがとうございました!
「これ聞いてみたいな~」ということがありましたら、ブラキャニの「キリスト教・聖書の話」ルームまでお気軽にお越しください。
この記事をお読みの皆様の毎日に、キリスト教の豊かな知識と、神様の良い導きがありますように。
それではまた次回!(あれば)