2eのgeometric sizeの近似計算について
文責:しぐま (Twitter: link)
先日の鉄強会(link)で2eのgeometric sizeの計算方法に関して、次のようなことを初めて耳にしました。
つまり、bet size $${r}$$はSPRを$${S}$$として、
$$
\begin{align*}
r\simeq \frac{1}{5}(S+1)
\end{align*}
$$
が成り立つということです。
例えば、$${S=3}$$の場合には$${r=\frac{4}{5}}$$なので、80% betをturnとriverで行えばよいというわけです(厳密な2e sizeは82.2%)。
以下ではこちらのstatementについての妥当性を簡単に確認していきます。
Turnとriverでpot sizeに対して$${r}$$倍のbetを行う時、turn時点でのpotを$${1}$$とすれば、riverのpot sizeは$${1+2r}$$で、riverのbet額は$${r(1+2r)}$$となる。
2 streetでのbet額の合計が$${S}$$に等しければよく、
$$
\begin{align*}
r+r(1+2r)=S
\end{align*}
$$
が成り立つ。
この$${r}$$についての2次方程式を解けば、
$$
\begin{align*}
r=\frac{-1+\sqrt{1+2S}}{2}=:r_{\mathrm{2e}}
\end{align*}
$$
を得る。
ここで、SPRが4付近として$${S=4(1+\delta)}$$とおけば(ただし$${\delta \ll 1}$$)上式は、
$$
\begin{align*}
r_{\mathrm{2e}}&=\frac{-1+\sqrt{9+8\delta}}{2}=\frac{-1+3\sqrt{1+\frac{8}{9}\delta}}{2}\simeq \frac{-1+3(1+\frac{1}{2}\cdot\frac{8}{9}\delta)}{2} \\
&=1+\frac{2}{3}\delta
\end{align*}
$$
と近似できる。
すると、
$$
\begin{align*}
\frac{1}{5}(S+1)=1+\frac{4}{5}\delta\simeq r_{\mathrm{2e}}+\frac{2}{15}\delta
\end{align*}
$$
となり、
$$
\begin{align*}
\frac{\frac{2}{15}\delta}{r_{\mathrm{2e}}} \simeq \frac{2}{15}\delta \ll 1
\end{align*}
$$
より$${\delta \ll 1}$$である限りはbet sizeの近似式$${r=\frac{1}{5}(S+1)}$$が有効($${\frac{2}{15}}$$のfactor分さらに1桁程度精度が高い)。
具体的なSPRについて計算すると、
$$
\begin{array}{cccc}
\text{(SPR)} & \text{(近似による2eの値)} & \text{(正確な2eの値)} & \text{(相対誤差)} \\
S & \frac{1}{5}(S+1) & r_{\mathrm{2e}} & \frac{\frac{1}{5}(S+1)-r_{\mathrm{2e}}}{r_{\mathrm{2e}}} \\ \hline
0.5 & 0.3 & 0.207 & 0.448 \\
1 & 0.4 & 0.366 & 0.0928 \\
1.5 & 0.5 & 0.5 & 0 \\
2 & 0.6 & 0.618 & -0.0291 \\
2.5 & 0.7 & 0.724 & -0.0341 \\
3 & 0.8 & 0.822 & -0.0277 \\
3.5 & 0.9 & 0.914 & -0.0155 \\
4 & & 1 & 0 \\
4.5 & 1.1 & 1.08 & 0.0174 \\
5 & 1.2 & 1.15 & 0.0359 \\
\end{array}
$$
のようになる。
上の表から分かる通り、実は$${S=4}$$だけでなく、$${S=\frac{3}{2}}$$でも$${\frac{1}{5}(S+1)=r_{\mathrm{2e}}}$$が厳密に成り立つため、SPRが$${\frac{3}{2}}$$から$${4}$$付近で広く近似式が使える。
($${S=\frac{3}{2}, 4}$$の2つのSPRについてのみ厳密に成り立つことは$${\frac{1}{5}(S+1)=r_{\mathrm{2e}}}$$を$${S}$$について解けば直ちに確かめられる)
初めからお気づきの方も多いかもしれないが、2eの近似式$${\frac{1}{5}(S+1)}$$は単に$${r_{\mathrm{2e}}(S)}$$を$${S}$$の関数として見て$${S=\frac{3}{2}, 4}$$の間の値を線型で補間しているだけにすぎない。
従って、同様の補間を例えば$${S=4, 12}$$の2点に対して行えば、2eの近似式として、
$$
\begin{align*}
\frac{1}{8}(S+4)
\end{align*}
$$
を得る。
この式はSPRがより大きい$${4}$$から$${12}$$付近で有効な近似式となる。しかし、stackが深くなるほど2eサイズの変化率は小さくなるため近似式を持ち出す必要性も低く、そもそも計算の労力も比較的かかってしまうことを考慮すると、適当なSPRに対する2eサイズを覚えておく方が効率的かもしれない。
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