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Straight Sun 日和・直人 ステラナイツ捏造第一幕

 このSSは2020年11月21日に行われたTRPG『銀剣のステラナイツ』でのセッションの二次創作です。

 タイトルの捏造第一幕とは、なんやかんやあって吹き飛んでしまった日和・直人ペアの第一幕のやりとりのログをなんとかして蘇らせようという動機で、後に記憶が定かでないままに、こんなやり取りしてたなぁとか思い出したり。こんなやり取りしててほしいなぁと思ったり。それらを捏ねて出力し、なんか第一幕っぽいSSになったよ!という意味です。実際の当時の会話の内容とはだいぶ違うのでご了承ください。

こちらペアを組ませていただいた方のアフターSSも併せて読むと良い感じです。とても良いので良いです見てください。(宣伝下手)

https://note.com/rabirabi/n/ndbb364743e6c



第一幕

 私の名前は蘇我日和、高校2年生!ありふれた日々を過ごしていたら、ある日ステラナイトって言うのに選ばれて…私の平凡な日々は一体どうなっちゃうんだろう。

 なんて、柄にもなく窓の外を眺めながら物思いにふけてみた。

「はぁ〜〜〜〜〜……」

 思った以上に大きいため息をついてしまった。これじゃあ誰かに話を聞いてもらいたいみたいじゃないか、本当に私らしくない。

「どうしたんだ、ため息なんてついて」

 そして、こんなあからさまなアピールにも心配をしてくれるクラスメイトが一人、この子は瀬川直人くん。私は直人って呼んでる。大人しいクールな男の子だけど、ご飯を口いっぱい頬張って食べる所なんてとっても可愛いんだ。そう、この子が私と一緒に戦う、ステラナイト。そして、私たち2人でステラナイツなんだ。

「んー、いやぁさ。私たちなんか選ばれちゃったわけじゃん……なんか実感わかないなぁ〜って思って」

 学級委員に選ばれたって感じの規模ではない。どうやらステラナイトというのは世界を救う感じのものらしい。いきなり規模が大きすぎる。

「あぁ、確かにあまり実感がないな……」

「そうなんだよ〜……私は、困ってる人を手伝うくらいの加減でいいのに」

 突然、漫画みたいにいきなり夢の中で大事な役目に選ばれましたとか言われて。はいどうぞ、世界を救ってくださいと言われて……。

「ため息ぐらい出るよ〜……こんなんじゃ」

「驚いたな、日和ならもっとやる気になってると思ってた」

「むっ、やる気はあるよ!満々!……でも私にそんな大役…務まるかなぁって」

 そう、やる気はあるんだ。ただ自分じゃ力不足なんじゃないかと……。そう思っただけ。


 こういうぐだぐだ悩んでるのは私らしくない、と直人思われている気がする。いや実際、私らしくもない。そもそもこうやってなにか行動する前に悩んでる時間がある事自体が珍しいんだ。…いつもだったら、悩むなんてこと、全部が終わったあとにしてたから……。私は、なんとなく怖くなって、直人の顔を見た。彼の顔はとても『らしくない』なんて微塵も思っていない目で、私を見ていた。そして、彼は口を開いた。

「大丈夫、俺も一緒にいるから」

「…………………………………」

 呆気に取られた。ぽかんと口を開けてその言葉に何かを返そうとするが、上手い言葉が見つからない。直人は不思議そうな顔でこちらを見ている。はやく、なにか、いいかえさなきゃ……。

「あ、あーぁ!……そういうこと真顔で言っちゃうんだもんなぁ」

 顔から火が出る様だった。なんなら耳はもう燃えてる気さえする。なんでかって、直人のそんな簡単な一言で自分のモヤモヤが全部吹き飛んでしまうという事実が恥ずかしかった。恥ずかしかったし、嬉しかった。

「な、なんかまずいこと言ったか!?」

「べぇーーーつにぃ?とても素敵な言葉だなぁーって。モヤモヤも無事晴れましたっ!」

「ああ……それなら良かった」

 私のちょっとしたからかいなんてなんのその、彼は胸をなでおろしている。私の分かりやすいくらいの気持ちをぶつけているのに、この子は気づいてるのか気づいてないのか……私が勝手に舞い上がってるだけのようにも思えてしまう。

「はぁ……むしろそれだったら逆によかったのかもなぁ……」

「何か言ったか?」

「なんでもないよー!」

 私が初めて外で泣いたあの日、そして彼からコーヒーを貰ったあの日から、今日までずっとアプローチしてるのにこの鈍感さ……やっぱり私から直球な告白をするしかないのかなぁ。
 いやでも乙女としては男の子から告白されたいという気持ちも捨てきれないし、でもそれってどうなのかな、まるで彼が私のことを好きだって決めつけてるみたいだしでも陽茉莉ちゃんが絶対私のこと好きだって言ってたしそれを否定するのもなんだか陽茉莉ちゃんのことも信用してないみたいでいやだしでも直人が私のこと好きだっていう保証はないんだし告白待ちしてたら一生ただお友達なだけで終わっちゃうんじゃないかなんてうーんどうすればいいんだろうわからないやっぱり私から告白した方が……」ブツブツ…

「お、おい。日和?本当に大丈夫か?」

「ひ、日和ちゃん。あ、頭から煙が…」

「ひよっち顔真っ赤じゃん!まぢウケる!」

 うーーんうーーーーーん……うぐぐぐぐぐ!

「ええーい!!!!!!迷ったらゴー!!!!!真っ直ぐ言ってストレートォオ!!!!!」

「ど、どうしたんだ日和!?」

「な、直人!わわわわわわ私!」

 意を決して想いを伝える!なんだか教室の至る所から生唾を飲み込む音が聞こえた気がしたけど今は無視!!!

「わ、私ね!!!!」

 す、と。き、を言えれば良い!それだけ、それだけなのに。上手く声が出せない。沈黙だけが声帯を通り抜ける。こういうときどうすればいいか、ヒーローは教えてくれなかった!でもヒーローなら!きっと伝えるべきことは伝える!よし!言うぞ言うぞ言うぞ言うぞ言うぞ〜〜〜!!!

『ぐぅぅううぅぅうう〜〜〜』

 ついにたった二文字が言えず、代わりに教室に響いたのは直人のお腹の音だった。
 直人は照れくさそうにお腹をさすった。

「…………」

「…………」

「…………」

「わたしね、おなかすいたな」

「そう言えば、昼ご飯まだだったな」

「………たべいこっか」

「ああ!今日も日和の作るおかずが楽しみだ!」

「ぅん」

 教室のあちこちからため息が聞こえた。私も大きくため息をついた。


捏造された第1幕『Straight Sun』〜完〜

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