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トライブ紹介 FIRE【1/2】

私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

今回は「FIRE」をご紹介します。


1. 本レポートでのFIREとは

FIREとは、経済的独立(Financially Independent)早期退職(Retire Early)の頭文字を取った言葉になります。

支出を抑え投資を通じて資産を増やしていくことで30〜40代、早ければ20代という若い年齢で不労所得だけで生活できる状態を目指すという先進的なライフスタイルは、2010年代よりアメリカで注目を集め始め、今ではFIREの考え方を用いた生活を送る人びとが増加し、FIREムーブメントと呼ばれるようになっています。

SEEDERでは2018年から着目をしていましたが、昨今では日本でも新聞や雑誌などでFIREムーブメントが紹介されはじめるなどしており、少しづつ世間にも知られ始めているトレンドとなっています。

SEEDERでは、FIREは経済的不安を和らげながら、家族と過ごす時間や好きなことに使える自由な時間を手に入れつつ、幸福度を高める生き方として捉えています。経済苦や人間関係のストレスに悩まされるアメリカ・ミレニアル世代から強い支持を得ているだけでなく、日本も含めたその他の先進国でも広がりつつある考え方です。

本レポートでは、FIREを実践している人たちを単に「早期退職を目指すエクストリームな人」と捉えるのではなく、「日常生活から不安を取り除くために創意工夫をこなしてライフスタイルを構築する人」という視点で、彼らがどのような考え方の元、このような特徴的な生活を目指しているのかを分析しています。

2. FIRE登場の社会的背景

まず、本レポートでは米国のミレニアル世代と言われる25~40歳くらいの人びとを調査しました。

SEEDERのブログではたびたびご紹介してきましたが、彼らは大学卒業と同じタイミングでリーマン・ショックが発生、30代になり生活が安定し始めた矢先にCOVID-19によるロックダウン発生など、これまでの社会人生活において常に不景気に襲われ、アメリカ史上でももっとも経済的に困難な世代といわれています。

また、ネット技術の発達により、常にSNSや仕事からオフになれないことから精神的に強いストレスを感じている世代でもあります。これらの理由から、鬱が公に語られるような土壌が形成されたり、ヨガやマインドフルネス、瞑想が流行していることは既にご存じの方も多いでしょう。


このような経済的不安、精神的疲労が広がる中で、Mr.MoneyMustacheと名乗る人物が2011年にFIREについてのブログ開設したことがきっかけとなり、ネット上でコミュニティが生まれ、様々な人が追随する形で自らのFIREの体験談をブログやポッドキャストなどにすることでFIREは大きなムーブメントとなりました。

今回のリサーチでは、仕事のストレスと経済的不安を、早期リタイヤと経済的独立というアプローチで解決する新たなライフスタイルとして捉えています。

レポート本編では、このようなライフスタイルが流行したきっかけについても詳しくまとめているため、興味のある方はレポート本編をご購入ください。


3. 無駄な消費の大部分を省いたライフスタイル

今回リサーチをおこなった人びとは、基本的に外食はせず自炊をおこない、趣味もランニングや浜辺の散歩など徹底してお金をかけずに過ごし、住居費も家賃の高い都市部から郊外へ引っ越すなどさまざまな工夫をしていました。

アメリカの都市部は食べ物も家賃も物価が高額なため、一般的に高収入といわれる職業であっても、長期的に生活が向上すると感じられない現状があります。

FIREの基本的な考え方は、消費を中心とするライフスタイルではなく、無駄なお金を極力遣わず支出を下げて貯金をすることで、「10年後には不労所得だけで生活できる」状態を目指すという考え方です。

FIREを実践する人たちが参照する基本的な投資のルールに、4%ルールというものがあります。これは年間4%であればほとんど安定して利益を生み出せるという理論です。例えば1000万なら年間40万、6000万なら年間240万になります。年間240万円を不労所得として生み出せることができれば、支出を極限まで下げればそれだけで生活することが可能になります。もちろん1年間に必要な金額は人によって多少変わりますが、6000万を運用していけば働かずに好きなことをして暮らしていけるというひとつの基準となっています。

実際にインタビューをおこなった対象者は、車を持たず、カフェでコーヒーを買わず、外食を減らすなどさまざまな工夫をして、3人家族で1年間に使用するお金を250万円に設定し、残りを貯金に回していました。

これまでのように株や仕事で一発儲けようという考え方とは異なり、あくまで自分が幸せを感じられる範囲で消費行動をしながらも、無駄な消費の大部分を省いたライフスタイルが彼らの特徴です。


次回は「FIRE」の4. FIREのインサイトと未来洞察、5. 生活者変化行動仮説:ストレス源排除欲求の増加についてご紹介します!お楽しみに!

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