トライブ紹介 フューチャーショッパー【1/2】
私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!
トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
今回はフューチャーショッパーをご紹介します。
1. 行動する手間よりも考える手間を省きたいという新たな価値観
amazonからお気に入りの商品をワンプッシュで購入できるDashButtonや、音声による買い物を可能にする音声認識デバイスのamazonechoの登場、そのほかにも各種サブスクリプション型サービスが登場し、この数年で私たちの購買体験は飛躍的に進歩を遂げています。
また、複数チャネルや課金システムといった環境変化に伴って、生活者の買い物行動・意識にも大きな変化が起きようとしています。
このレポートでは、サブスクリプション型のサービスを多用している人、DashButtonを頻繁に活用している人、返品機能を駆使して購入したもので気に入らないものがあれば返品している人、primenowを利用してオンラインで欲しいものをすぐに購入している人、そして、リアル店舗で商品を確認してオンラインで購入している人など、オンラインとオフラインを自由に行き来して買い物をする人びとを「FUTURE SHOPPER(フューチャーショッパー)」と定義し、調査しています。
リサーチを通して、先進的な買い物行動を把握することで、今後の買い物における意思決定プロセスがどう変化していくのかが見えてきました。
今回はクライアントとの買い物プロジェクトの調査のため、通常のSEEDERのトライブのように共通の価値観でアプローチ違いではなく、より幅広い切り口になっていて、フューチャーショッパーの中にいくつかのトライブが入っているということを前提に読んでいただければと思います。
2. Amazon新サービスの登場
SEEDERが最初に着目したのはAmazonDashButtonで、これまでの定期配送やサブスクリプションとは一線を画す動きだと社内でも話題になりました。
この背景には、Amazonなどの定期配送は便利な一方、ある程度決まった周期で配送されるため、手元に在庫があってもどんどん届いてしまい、配送を最適化するのが面倒くさいという消費者の不満があります。何も考えないで、品物がなくなる、もしくは切れかけたらボタンひとつで注文するというのは、単なるサブスクリプションよりも新しいのではないかと考えました。
AmazonDashButton
Amazonが取り扱う商品を、ワンプッシュで簡単に注文できるボタン。ボタンは500円で購入でき、現在100種類以上の商品が対象となっている。AmazonDashButtonの狙いは、お気に入りの商品の近くに設置することで、商品がなくなった時にすぐに買い足せるようにすること。対象商品は日用品。有料会員であるprime会員限定のデバイスとなっている。
AmazonEcho
Amazonが所有する人工知能であり、デジタルアシスタントである「Alexa」を利用できる家電デバイス。音声を認識して色々な操作を実行してくれる音声認識ユーザーインターフェースである。声で呼びかけ、家の中にある家電のオンオフや、録画設定などを指示できる。この機能の中に、「電池を注文して」などと呼びかければ、その音声を認識し、Amazonから発注するものがあり、日常生活の中でよりAmazonを利用した購買行動が増えることが想定される。
3. 実店舗とECサイトの使い分け
また、実店舗とECサイトの使い分けとしては、ショールーミングという購買行動の登場があげられます。従来の実店舗に加えて、ECサイトでも商品を購入できるようになり、これに加えてAmazonDashButtonなどのサービスが登場し、購買のオムニチャンネル化は進んでいます。生活者は各購買チャンネルのメリットをそれぞれ活かして使い分けているのです。
ショールーミングの事例で、SEEDERがとくに注目しているのはb8ta(ベータ)です。
b8ta
スタートアップの製品を体験出来る店舗。スタートアップに関しての知識・知見のある専属スタッフが説明してくれる。オフラインだからこそ感じることができる、体験コンテンツを提供している。店舗内にはカメラが設置されており、どのブースにどんな年代・性別の人が立ち寄ったかデータを収集して、顧客のリアクションを知ることができる。マーケティングデータ・プラットフォームとして機能しているのが特徴的。
STYLENANDA
韓国発のファッションブランドSTYLENANDAが原宿に日本初の路面店をオープン。この店舗の特徴はフォトジェニックな内装で、商品はオンラインストアでも購入することができるが、Instagram用の写真を投稿すべく連日多くの女性が足を運んでいる。
4. 返品に対する新しい考え方
また、調査の中で派生的に発見したのがバイ&リリースという行動です。
従来、一度購入・使用した商品を返品できず、返品はよほど質の悪い商品だけに限られていましたが、昨今、返品に関する新しい考え方として、ユニクロやZARAといった大手アパレル企業を筆頭に、一度購入して自宅にあるものとの組み合わせを考えてから返品できるサービスが展開されています。
ユニクロ
オンラインストアで購入した商品をユニクロの店舗で受け取れるようになり、受け取り時に試着して気に入らない場合やサイズが合わない場合は返品が可能になっている。
これまで店舗とオンラインでの購入は分かれており、顧客はどちらで購入するかを選択する必要があったが、このサービスにより、ネットで購入した商品を近くのユニクロ店舗で受け取ることができるようになったため、顧客の都合のいい購入方法が選択可能となった。
ネットで注文した商品を試着してサイズが合わないなどの不具合があった際にその場で返品も可能になっているため、ネットで気になったものがあった際に気軽に購入できる。
ZARA
ZARAのアプリでは返品が無料で、店舗に持っていく必要もなく、宅配業者が回収に来るため、返品の送料負担を軽減しているだけでなく、作業すらも軽減している。
プライム・ワードローブ
プライム会員に限定されている、ファッション関連のサービスで、興味を引いたものをなんでもオーダーし、届いたものの中で気に入ったもののみを購入することができる。
ワードローブボックスが届いて7日間のうちに試着し、合わなかったり、気に入らなかったものは、送られてきたボックスに入れて送り返すことになる。返却用のボックスには、近くのUPSが発行したプリペイドラベルがついていて、集荷してもらったり、あるいは営業所に持ち込むことが可能。
LOCOND
靴を中心に扱うファッション系ECサイトのLocondのサービスの特徴は返品に対する対応を徹底している点。もちろん返品は無料で受け付けており、サイズを自由に変えることができる。このサービスの狙いは、「自宅でゆっくりコーディネート」「友人・家族と一緒にチェック」「サイズをしっかり確認できる」といったものが挙げられる。
次回はシニアトラベラーの5. さまざまなサブスクリプションサービス、6. トライブとしての可能性についてご紹介します!お楽しみに!
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