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トライブ紹介 ミックスチャネラー【2/2】

前回に引き続きミックスチャネラーついて 3. 動画コンテンツにおける作り手意識の重要性、4. 真似を誘発するコンテンツデザインのビジネスチャンスについてご紹介します!


3. 動画コンテンツにおける作り手意識の重要性

このミックスチャネラーで当時みたかったのは、ミックスチャンネルをこうやって使っている実態とか、ミックスチャンネルの課題などではなく、先進的な人たちが使っているこのサービスの背後にある、「何の未来を見たいのか」という点です。

具体的には「動画コンテンツはどういう価値をもたらしているのか」とか「デジタルネイティブの人たちが友だち同士で交流する背後に、新しいどんな価値観があり、何を消費しているのか」を知りたいという問題意識がありました。だから、あくまで消費者として女子高生や高校生カップルを捉えています。

女子高生というのは夏休みごとに流行るものが変わるので、ミックスチャンネル自体は2018年の時点で最先端の流行とは言えないと思いますが、「だからこのトライブレポートは使えない」というのは大きな間違いです。

ミックスチャンネルの背後にある彼らの仲間意識や動画に対しての考え方などはむしろ今も生きていて、これらの価値観や行動をきちんと切り取って、新規事業や新商品、新サービスのプランニングに活かすことがとても重要です。

トライブレポートの中からプロファイルを紹介すると、動画のコンテンツを消費する先進的な意識が現れた発言として「テレビのCM(動画)は真似するもの」というものがありました。

これは過去から綿綿と続いていて、コンテンツの受け手は作り手の目線も持っていて、たとえばテレビ視聴者が「プロデューサーはこういうことを考えているだろうな」と考えるように、一視聴者でありながら、一瞬作り手の目線を持つということは過去もありましたが、ミックスチャネラーの人たちが先進的なのは「ほぼ作り手目線」ということです。

つまり、「動画を基本的に、作り手として見ている」というのが、これからも続いていくであろうこのトライブから見出された価値観になります。

実際、ミックスチャンネルではCMの真似をした動画を作って投稿するチャンネルが大人気でした。過去にも作り手意識というものはありましたが、ミックスチャンネルという動画技術を持ったプラットフォームが現れて、且つ暗黙知的に真似しやすいCMが受けると気が付いていたプロデューサーがいたからこそ、一部の人の作り手意識がさらに大きくなり、ミックスチャネラーというトライブの中で現実として現れたといえます。

ここまでは、ミックスチャネラーというトライブ独自の話ですが、さらに重要なのは、作り手意識がメインで動画を視聴するという価値観は、たまたまミックスチャンネルなどの真似できる環境や技術があったから現れたという点です。SEEDERの作成したトライブレポートを読む際は常に「これは決してトライブの中だけの話ではない」という目線を持つことが必要です。

4. 真似を誘発するコンテンツデザインのビジネスチャンス

要するに、当時はミックスチャンネルという技術があるからミックスチャンネル内だけで現れていますが、「そもそも映像やコンテンツというのは真似されるものであり、消費者は作り手目線でしか見ていない」という観点で商品やサービスを作れば、一般の人にも受け入れられるサービスやメディア体験を創出できる可能性があります。

例えば、おじいちゃん、おばあちゃんはミックスチャンネルにアクセスしようがないかもしれませんが、おじいちゃん、おばあちゃんの中にもきっと作り手目線と言うのがあるはずなので、「おじいちゃんやおばあちゃんにも真似できたり、作り手目線になりやすいコンテンツの新サービスを提供したりすることでヒットするかもしれない」、これが生活者変化行動仮説です。

今後も主な動画コンテンツというのは、「真似をされる」ということが大切で、真似をしやすいことと、真似しやすい技術とともに提供するということが1番重要なファクターになります。

この事実を踏まえたうえで、コンテンツを見ている人が作り手目線を持ち、真似をしたり、二次創作として作り替えたりするということが、今後の動画コンテンツのメインの消費行動になるのではないかというのが社会変化仮説です。

これらのことから、作り手意識を刺激する、または真似を誘発するコンテンツデザインというのがメディア系の新規事業、新商品・新サービスにおけるビジネスチャンスといえるでしょう。

繰り返しになりますが「ミックスチャンネルを利用している女子高生だけの話だけではなくなってくるはず」と言うのがSEEDERの未来洞察の本質であり、これは単にミックスチャンネルの利用実態を見ていてもわかりません。

何故かと言うと、私たちはこのトライブの調査から、真似をするということの楽しさや、作り手意識を誘発するということの楽しさを動画視聴を通じて消費しているという「新しい意味」を見出しているからです。過去の記事(ロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』にみる”意味のイノベーション”とは?)であったように、この「新しい意味」こそがイノベーションの源泉となるのです。

そして、作り手意識を誘発したり、真似を楽しんだりすることを誘発するコンテンツのデザインが求められているという生活者変化があるからこそ、こういったデザインをすることでビジネスチャンスにつながる可能性があるという例が、トレイブレポートには機会領域としていくつも掲載されています。

たとえば、ミックスチャネラーから見出した「意味」は旅行消費にも応用できます。仮にオペラを見に行くという昔ながらの旅行があったとして、それが「日本で3回オペラを練習してイタリアの大聖堂でみんなでオペラを歌う」という内容になると、真似を誘発するコンテンツのデザインになっている。つまり、このミックスチャンネルの「意味」から考えられる新しい旅行商品といえます。

私たちはこの「真似を誘発するというコンテンツがビジネスチャンス」であるということを踏まえた上で、これを単なる体験型旅行と分類してしまうのではなく、この旅行商品は未来を見据えていると評価しているし、オペラ以外にもさまざまな分野で応用可能だといえます。これが未来の大きな旅行ビジネスになっていくかもしれないし、SNSでもこういった流れは強くなっている傾向があります。

ミックスチャネラーのトライブレポートはこのように先を見据えた要素を出しているので、今現在も古くならず使用することが可能なのです。


今回はミックスチャネラーについてご紹介しました!
いかがでしたでしょうか?お仕事のヒントになるアイデアは見つかりましたか?

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