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トライブ紹介 ちょい足し族【1/2】

私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!
トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
今回はちょい足し族をご紹介します。


1. 「10分どん兵衛」の登場と生活者の発明


2015年末、カップうどん「どん兵衛」にお湯を入れて10分待つと美味しくなる、という「10分どん兵衛」が話題となりました。このムーブメントは、考案者である芸人とどん兵衛の開発者が日清の公式ウェブサイトで対談するに至るほどの盛り上がりをみせたことで記憶にある方も多いのではないでしょうか。

近年、分野を問わず、メーカー側が想定していない使用法を生活者が発明し、それをメーカー側も取り入れるという事例が増えています。とくに食においては、個々人のこだわりや、マニュアルから外れた美味しい食べ方などが世の中に数多く存在します。そしてSNSなどの登場により、提供者の想定した使い方、消費のされ方にプラスアルファを付け加える生活者は今後ますます可視化されていくことが予想されます。

そんな彼らの存在は、あらゆるB2C企業にとって大きな商機といえます。食品産業における「ちょい足し族」にフォーカスして調査を行った結果から、企業と生活者のコラボレーションを理解するきっかけとなれば幸いです。そもそもちょい足し族の調査のきっかけは、SEEDERのメンバーが、あるコーヒーチェーンの裏メニューをよく使っていたり、冒頭に紹介した10分どん兵衛が話題になったりしたことがあげられます。

マーケティング研究の分野にはリードユーザーという言葉があり、リードユーザーの定義は以下の2点です。・数年後にほかの人も直面しそうなニーズにすでに直面していること・そのニーズに対応するために自分なりのソリューションをすでにもち、自分で実践してカスタマイズしていること。トライブとも似ていますが、リードユーザーの場合は自分で実践してカスタマイズしていることに着目しています。

リードユーザーにプロトタイプを見せたり、ワークショップに呼ぶということは昔から行われていました。食品の分野のリードユーザー、もしくはプロシューマーの一部がちょい足し族といえます。実際彼らに話を聞いてみると、知識を持っているというわけではなく、ニーズに直面しているから自らソリューションを生み出している、どちらかというとトライブの中でもかなりリードユーザーに近い人たちであることが分かりました。

2. カスタムフードカルチャーの世界的潮流

世界的にも「自分なりにどんどんカスタムしていこう」というカスタムフードカルチャーという流れがあり、ちょい足し文化は世界的にブームがきているといえます。ただ、一般的なメーカーがひとりひとりにカスタムすることは、現在は生産工程の問題などもあり、まだ現実的ではありません。

その間をとっているのが、マスカスタマイゼーションで、たとえばスマホケースや財布などweb上で複数の組み合わせの中から色が選べる商品などがこれに該当します。ただしこれは、購入時に仕様を少し決めるということなのでカスタムとは少し異なります。今回はマスカスタマイゼーションとは違う消費者のフィットのさせ方として、購入後にいじるというちょい足し族に着目しています。とくに食品はカスタムしやすいこと、また、できたものをいじるほうが消費者としても簡単であることなどが特徴です。

また、裏メニュー.comといったメニューに記されていない飲食店のサービスをはじめ、コーヒーチェーンのカスタムレシピなども、クックパッドやnaverまとめといった集合知を拡散して共有するようなサービスが増えてきたことも、ちょい足し族に影響を与えている要因としてあげられ、今後も増えていくトレンドといえるでしょう。現在では裏メニューやカスタムフードがInstagramやTwitterなどと組み合わさることでさらに広がるという文化もあります。これらに注目することこそが、ソーシャルで公開されているものにマーケターが耳を傾けていこうというソーシャルリスニングの考え方です。マーケターは今後、消費者が主導で行うカスタムをしっかりリスニングしていくことが重要であり、近年メーカー側も既にそれに対応しているという現状があります。

次回はちょい足し族の3. ちょい足し族の分類とその実践例、4. 「ちょい引き」のトレンドと未来の食品開発についてご紹介します!お楽しみに!

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