財務計画を可視化してるうちに、逆に経営に提案したい方向性が見えてきた。
SEEDERがエキスパート人材マッチング"JINCHI"を通じて企業を支援した事例をご紹介します。
今回は表参道にオフィスを構える、ジュエリーの企画販売を行っている有限会社 ソラ (SORA)さんのFAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)をさせていただきました。
弊社代表であり4M株式会社の 村田 寛治 に伴走支援させていただき、経営資源循環部の 涌波 大志 さまにお話を伺いました。
御社の会社概要について教えてください。
涌波さま(以下敬称略):
SORAは、1994年の創業以来、フルオーダーメイドでオリジナリティの高いブライダルジュエリーを提供しているブランドです。お客様の多様なニーズや、唯一無二のストーリーを指輪という形に込めるために、従来のジュエリーに囚われない素材や技術の探求を行ってきました。
そのひとつとして、ジルコニウムという素材を活用した多彩な色表現があり、これは世界で初めて私どもが結婚指輪として商品化したものです。
近年はこうしたプロダクトのみならず、サービスやソフトの面でも他社と差別化しており、顧客のパーソナリティをもとにデザイン提案を行う独自サービス「DRIP(ドリップ)」を提供・ご好評いただいております。
JINCHIのギグワーカーによるご支援の前はどのような課題を感じていましたか?
涌波:
弊社(SORA様)は縮小市場にあるブライダル市場において、おかげさまで右肩上がりの成長を続けています。しかし、今後より戦略的に大規模な投資を検討・実行する上で、人などの経営資源をどう使っていくかの財務に関しての知見が社内に欠けていました。
経理担当が1名、決算書などの会計は十分スキルを持っていて業務に当たっておりますが
創業23年になる現在で、未来に向けたお金の使い方の企画や戦略の議論がまともにできておらず、そのノウハウも不足している状況でした。
なぜ、外部人材による支援の導入を決めましたか?
涌波:
業務委託の人材市場が活況というのは人事の仕事をずっとやっていて知っていたので、興味はありました。
採用の仕事をするようになってから、労働市場のことを考えていて、営業を受けることもありました。
外部人材の活用は初めてです。
きっかけ自体は紹介だったでしたが、自前でやるにはノウハウの習得などで効率が悪いと思っており
自分でやるのはなくて、ノウハウを持っている新たな人材に支援してもらおうと思っていました。
正社員採用は手段としてありましたが、財務戦略支援というよりは売上を作っていけるポジション(デザイナー・クリエイター)に採用面のリソースを集中したいと思っていたので
3人でやっていた経営資源循環部のうち人材採用まわりは私が全部やっていたので財務戦略支援についてはリソースなく、紹介いただいたのが「渡りに船」という感じでした。
今回ご支援させていただいた内容はどういった内容でしたか?
涌波:
3年先の中期計画で、売上計画は粗いながらあったのですが、それに対する財務戦略が作れていない状況でした。
そのため基本的な財務三表を作るところから着手しました。
結構大変でした(苦笑)。
会社のコスト構造を洗い出して利益を数値化する必要があり、経理担当の頭の中にしかなかったので。
私(涌波さま)は今のポジションは2期目で、社内の全容が理解できている状況ではなかったので。
あれは社内ではできないですね。
村田:
涌波さんと経理の丸山さんと、週1,2時間面談させていただいて。
結構日々の業務がたくさんあるので、情報共有したりやりたいことあってもなかなか取り組めないことがあったので
こちらから質問を投げかけることで課題を整理して、必要性を涌波さんが理解してたけど丸山さんは理解してなかったとか、逆に丸山さんが理解できていて涌波さんが理解できていなかったことを整理していきました。
涌波:
弊社は材料の調達から自社でやっているので、本店での販売や卸販売、オンライン販売に至るまでやっていて
加工や設備・工程も特殊です。
コストとして考慮すべきものが他社に比べて多いと感じています。
村田さんには包装に使う袋や箱に至るまで複雑な状況を理解いただいたので、理解力、専門性の高さには助かりました。
外部人材のご支援にあたって不安はございましたか?
涌波:
不安ですか?そうですね〜
代表が決裁権を持っているので、代表との相性ですね。認めるかどうか、契約前に実際に会って話をしてもらえて相性が良かったところですね。
代表が30年近く、表現の場として指輪の制作をしている職人なので想いを共有できる人でないとできないなと思っていました。
面談の場では村田さんの想いを聞いてもらって、私自身も不安はなくて楽しみをむしろ感じてました。「やりたかったことをようやく動かせる」と思って。
村田:
面談のときに聞かれて覚えているのは「SORAっていう会社のどこに魅力を感じたのか、なんで一緒に仕事をしたいのか」という点でした。
涌波:
会社の将来性があると思うか?という代表からの質問について村田さんが「わかりません。見てみないと。」と言ったのは、逆にいいと思いましたね。ファクトベースで客観的に議論してくれそうだという良い印象だったと思います。
導入した成果を感じるポイントを教えて下さい
涌波:
財務3ヵ年計画を一緒に策定してもらって、今回提案も通りました。
今はそれを軸に事業計画3年計画を社内で議論しているところです。
この3ヶ月という短い期間で、これだけの質の財務企画を作れたのは良かったですし、想定してなかった収穫もありました。
表参道の本店の席数や成約率などKPIを眺めているときに、ふと村田さんが提案いただけたことで
それを元に売上目標が再考できました。販売比率を再考し利益計画としては上方修正になります。
最初は数字を可視化しようとしていましたが、議論してるうちに経営に提案したい方向性が見えてきました。
方向転換ですね。
その意思を村田さんに伝えて、代表に意思決定をするための情報を揃えてもらう協力をしてもらいました。
ずっと担当してきた我々ではバイアスがあってできなかったことです。
経験則が突破できて、理詰めで作れたため納得感の高い計画になりました。
村田:
元々かなり丁寧に現場の数字を拾い上げる努力をなさっていました。
売上を構成している、客数や単価を紐解いていき、SORAさんが管理していたKPIを確認していると「客観的に見て、もう少しこの数字は伸ばせるよな?」と直感的に思い、アドバイスさせていただいたのが最初です。
本店での販売・卸売・オンライン販売などの売上計画の配分を変えて、結果的には利益計画は上方修正になりましたね。
涌波:
これは今後の投資計画や、人材の採用戦略など変わるのて大きな転換になります。
JINCHIを通じた外部人材のご利用について満足度を教えて下さい
涌波:
想定以上、100%以上で本当に良かったなと思っています。
前に進む一つの一歩がはっきり見えました。まだやることいっぱいで、一歩ですけどね。
外の知見を入れた収穫としては、私と経理担当が刺激を受けて自身の成長の指針も考えられるようになったので人材育成の観点の面も大きいなと感じました。
採用しちゃうと、できないことを覚えさせる時間やコストが発生するので双方向の効率的なコミュニケーションをすぐに生むのは難しいと感じます。
外部人材はそういうことがないのでフラットなので良いと思います。
JINCHIを通じた外部人材はどのような会社におすすめでしょうか?
涌波:
そうですねー、どういう会社か。
変化を起こしたい・成長したい・大きな成長目標を抱えている。こういう会社で
リソース・機能が不足している企業は
正社員採用するよりも、会社や社員をスピーディに成長させられると思いました。
前提として、
これまでと異なる成長率やステージ向上をしたいと思っていて、変化を起こす必要がある企業
そのための機能が明確に不足していながら、採用リソースや採用力そのものに課題がある企業
独自の確かな経営資源を持っている一方で、成長のセオリーやナレッジが不足している企業
これに該当する企業が、JINCHIを活用し他所で様々な成功体験を持つ人材とその成功体験にアクセスすることで、より早期かつ効率的に会社と社員を成長させられると思います。
今後、SEEDER / JINCHIを通じてやっていきたいことはありますか?
涌波:
私自身の関心としては、村田さんとお金のことはやっているので、
業務効率化とDXをやっていきたいので有力な選択肢になると思います。
各チームの業務プロセスの効率化をやっていきたいですね。
あとはデジタルを活用した付加価値のサービス。デジタルだからこそ顧客を理解できるようになるという側面もあると思うんです。
社内で企画して実施する施策も、
過去の成功体験に縋って、あるいは失敗に囚われすぎてしまうので
内部的に議論するよりは、外の経験持った方の刺激を入れた方が成功するんじゃないかと感じました。
インタビュアー吉冨の所感
元々想定していた財務企画が3ヶ月で実現しただけではなく、
売上計画の精緻化までできたということで、大変満足いただけたようでとても良かったです。
意外だったのは涌波さまが「外部人材の知見を社内に取り入れることは、人材育成の観点からも良い」とおっしゃっていたことです。
日々仕事に忙殺されていると、これまでのやり方が正しいと盲信しがちなのは仰る通りだなと思っていて
自分のやるべきことや将来できるようになるべきことが、社外の人材から刺激を受けることで意識づけられるのは
とてもいいことだなと思いました。
SORAさまについて
SORAさまはとても魅力的なものづくりをされています。
ジルコニウムといった珍しい材質や、独特の色遣いの特徴的な指輪です。
結婚指輪をはじめとしたジュエリーの、フルオーダーメイドも可能で
私(吉冨)も金属アレルギーを抱えているため(チタンは金属アレルギーが起きにくい材質です)、元々結婚指輪を作る際に第一候補に入れていました。(妻の要望で実現しませんでしたが・・・)
またDRIPという「結婚指輪作りを通じてこれまでの / これからの二人の生き方をすり合わせ、その指針を込める」という制作プログラムを実施されており、せっかく作るなら何か想いをこめられると良いと思いました。結婚当初って意外と二人とも浮かれてしまっていて、しっかり話し合う時間ってないんですよね。
2023年7月1日より、新サービスとしてiDRIPというAIを活用した性格と相性の診断を行い、デザイナーが指輪のデザイン提案を行うサービスも実施されています。まさか伝統的なジュエリー制作にAIという異色の組み合わせ。とても興味深い取り組みですね。
SORAさまウェブサイト:https://www.sora-w.com/
金属加工にちょっと詳しい私としては、彼らの酸化皮膜による発色のコントロールってとても技術力高いんですよ。