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トライブ紹介 ハードノマド【1/2】

私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

今回は「ハードノマド」をご紹介します。


1. ハードノマドとは

SEEDERではこれまでも「多忙族」「ネオノマド」「マイクロワーカー」など働き方に関する調査をしてきました。

その中でも「ハードノマド」の特徴は「移動」にフォーカスして調査をおこなったという点です。

単なる「ノマド」ではなく「ハード」とついているのは、激務を表しています。彼らに近いトライブとしては多忙族があげられますが、ハードノマドの特徴は、移動中の工夫によってうまくやりくりしているということです。

彼らは作業場・働く場所をひとつに固定せず、オフィスがあってもカフェで働いたり、オフィス、コワーキングスペース、カフェなどの拠点をいくつも持ち、さまざまな場所でさまざまな人と働いています。

2. 調査対象者のセグメント

まず、今回の調査対象者のセグメントは以下の3つです。

多拠点ワーカー

さまざまな拠点を持ち、長距離の移動をしている人。

たとえば、関西にある技術系の企業につとめる一方、都内でさまざまな人と打ち合わせをしながら企画書を書きつつ、関西のチームにディレクションをしています。

都内であればインプットは図書館、コワーキングスペース、自宅、関西には本社、自宅、よく行くコワーキングスペース、カフェなど、東京と関西という大きく2つの拠点の中でもさらに3箇所ずつくらい場所を分けていることが特徴です。

東京、関西という2拠点が離れているため、必然的に移動が多い日々になりますが、その時間も自分の仕事にとってプラスと捉え、インプットやアイデアを考える作業の時間にしています。これはネオノマドと近い価値観といえます。

ただ、ネオノマドと異なるのは、ネオノマドは移動をオンとオフに分け、合理的に働く時間とクリエイティブな時間をという風に使い分け、モードの切り替えではっきりと作業が異なっていました。

一方、ハードノマドの場合はどちらも仕事に結びついています。かつ、いわゆる都会=仕事の場、地方=休息、クリエイティブ、副業というような使い分けではなく、移動中も次の移動先での戦略を立てる時間、スケジュール調整の時間という風に捉えています。

移動時間をデスクワーク以外のことにあてるという観点は共通ですが、そもそもの移動する目的が異なることが特徴です。

スイッチワーカー

スイッチワーカーは必ずしも長距離移動はせず、都内から出ない場合もありますが、おもに副業や起業などで事務、企画、広報、資料作成など、一人で性質の異なるさまざまな仕事をしている人たちです。

通常のオフィスワーカーであれば自分の固定デスク、つまりずっと同じ場所で作業することになりますが、一度に複数の性質の異なる仕事を進行させなければいけない場合、自己マネジメントが難しいという課題があり、スイッチワーカーたちは混乱に陥らないために自ら作業場所と作業内容を結びつけて考えているという特徴がありました。

たとえば、「この作業にはこの場所」と決めて、このカフェではこの仕事、シェアオフィスではこの仕事、アトリエではこの仕事など、使い分けることで、意図的に混乱を避けています。

「この作業にはこの場所」と自分のやりたいことに対して、もっとも理想的な作業環境、作業場所が自覚していることが理想的であり、それをかなり自覚的におこなっているという特徴がありました。

スイッチワーカーの価値観に近い大きな社会背景として「仕事内容に合わせて働く場所や机などを選ぶ生き方=アクティビティベースドワーキング」という言葉も広がり始めています。

異なるのは、アクティビティベーストワーキングはあくまでもオフィス内であるということで、たとえば個人的な作業ができる場所、プライベート性の高い執務室、打ち合わせに適した開放的スペース、外に声が聞こえない会議室など、「これをやりたいからここに行こう」と作業によって場所を変えることが生産性を高めるといわれています。

それをオフィス内に限定せず、より自分に合う作業環境を目的に合わせて使い分けている人たちがスイッチワーカーです。

企業に務めている場合、社長のようなポジションの人は、平日はオフィスで働きつつ土日はスイッチワークという働き方をしている人がわりと多くみられました。

また、スイッチワーカーには副業をしている人や、企業に勤めていてもさまざまなプロジェクトを横断している人が多くいました。

彼らは場所を切り替えることで、意識的に自分の脳の使い方を切り替えているのではないかというのがSEEDERの分析です。

ホッピングワーカー

スイッチワーカーと多拠点ワーカーの中間がホッピングワーカーです。

今回の調査対象者はわりと若めの方が中心で、起業家や、エンジニアなど、種類の異なる多くの仕事をひとりでこなさなければならないという環境にありました。

多拠点ワーカーほど移動距離は広くありませんが、たとえば都内にいくつかの拠点を持つなど、狭い範囲をレンタルサイクルなどを活用して行き来する、細かい移動を頻繁に繰り返しています。移動という体験を気分転換や単なる手段としてではなく、目的意識を持ち能動的に移動していることが特徴です。

たとえば、徒歩での移動は、街中を歩くことでリフレッシュとして捉え、このリフレッシュも仕事のうちと考えていたり、自転車に乗りながら何かを聞いてインプットの時間にあてたりしています。


次回は「ハードノマド」の、3. インタビューでわかったハードノマドにとっての「外部環境」、4. インタビューから発見したインサイトの一例についてご紹介します!お楽しみに!
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