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トライブ紹介 フェリカ―【2/2】

前回に引き続きフェリカ―ついて
3. フェリカ―の3種類のアプローチ、4.フェリカ―の考え方についてご紹介します!


3. フェリカ―の3種類のアプローチ

今回ご紹介するフェリカーは、「現金決済ではなく、電子決済技術を用いたキャッシュレス決済をすることが自分の生活にとって価値がある」という価値観を持つトライブで、そのアプローチは以下の3通りです。

スピードフェリカー

Suicaなどの各種Felicaを高い頻度で利用し決済を高速化してる生活者

インベストフェリカー

投資機能がついた決済サービスを活用する生活者

シェアフェリカー

決済や資金の共有機能を持ったサービスを利用している生活者

スピードフェリカーはまさに現在の一般層ですが、調査当時は先進的でした。

スピードフェリカーの一人は、おもに交通機関にフェリカを活用し、それ以外は2000円以内程度の少額な決済に使用、逆に大きな金額は現金かクレジットカードを活用しているといいます。また、毎月給料日にはSuicaに現金で2万円チャージするため、1度に8000円ほどのものに使うのは違うと感じる、また、チャージの手間をとられるので高額金額を使いたくないといいます。

このようなフェリカーならではの決済上限感覚は今後しっかり調べていくべきでしょう。

そして、重要なポイントとして、彼ら彼女らは空いた時間にしっかり利用履歴を見ているため、むしろ無駄遣いはしないといいます。

IT化が進むと利用履歴が可視化され、余分なものを買わなくなるというのは以前フィンテッカーでも出てきたトレンドです。サービスデザインする側は、無駄遣いをさせないという方向性もある一方、消費してもらうためには見せたくないという事業者もいるかもしれません。

さらに、カードもSuica、nanaco、Edyなどを使い分けしていましたが、この調査をした2016年当時は店舗によって使えるカードが決まっていたことが原因で、現在は多くのカードがどこでも利用できるため、今後使い分けは減っていくのではないかとSEEDERは予想しています。

インベストフェリカーの男性は、貯金投資を目的とし、細かく、いつどのカードを使うとどのポイントが貯まる、何倍になるということを把握していました。

印象的な発言として「日本人は現金至上主義の感覚があるためキャッシュレス決済は増えないのではないか」とフェリカーであるトライブ自身が発言していましたが、今現在振り返るとこの予測は外れています。つまり、当時はトライブさえも流行ることはないだろうと感じていたという点がポイントです。これはトライブが3~5年後の未来の価値観を体現しているが、本人たちには自覚がなく、解釈者(インタープリター)が必要ということがわかる典型的な事例ともいえるでしょう。

また、もうひとりのインベストフェリカーの男性は、paypal、Yahoo!ウォレット、suica、LINEペイ、クレジットカード、デビットカード、waonなどを使用し、月10回も現金を使わないといいます。

シェアフェリカーの女性は店舗などでの電子決済はもちろん、個人間送金を活用していて、トライブ全体としてキャッシュレス決済の割合がいちばん多いという特徴がありました。日本人はお金のやりとりがそもそもタブー視されがちですが、アプリを活用することで円滑に割り勘や個人間送金をおこなうことができるといいます。ほかにも使った履歴をSNS上でシェアするなど、周囲を巻き込みながら広がっていくのがシェアフェリカーの特徴です。

アメリカでは夫婦間で個人間送金アプリのvenmo(ベンモ)を使う人も増えているといいます。venmoの支払い手段としては銀行口座、デビットカード、クレジットカードの中から選ぶことができますが、銀行口座とデビットカードからの場合は手数料が発生しないというメリットもあります。

4. フェリカ―の考え方

当時のフェリカーのプロファイルリングは、2019年現在となってはほとんど一般化していますが、当時の分析の一部をご紹介します。

電子決済で浮いた時間で大きな心の余裕を生み出している

フェリカーで最も特徴的なのが、電子決済サービスを利用することで時間を節約できるということです。電子決済を利用することにより 生まれる時間は毎回は微々たるものですが、そうした時間の積み重ねは大きいものであると捉えていました。そうして生まれた付加的な時間は、家事や現金の引き出しなどの日々のしなければならないマイナスなタスクを打ち消してくれたり、「読書や勉強などの余暇時間を生み出してくれている」というイメージを与えてくれると感じているのです。

購買物を振り返ることに価値を感じている

電子決済に対して一般的にいわれているのは「現金を持っている感覚がないことで無駄遣いをするようになる」ということです。しかし、 フェリカーは明細や履歴をこまめにチェックすることで支出を管理し、本当に自分が欲しいものに多くのお金を落としていることがわかりました。

つまり、何が無駄であるか、そして何が必要なのかという選択肢を絞る作業をすることで、自身の必要と不要をクリアにしているのです。フェリカーの特徴は、家計簿をつけることで節約を促すという従来のネガティブな考えに対して、購入金額を可視化することで趣味 などに多くのお金を使うようになるというポジティブな兆しがあることです。

手持ちのお金ではなく銀行口座を含めて自分の財布と認識している

フェリカーは手持ちのお金ではない銀行残高も含めて 自分の財布だと認識しているという特徴もありした。

これまで、現金をおもに利用していた際は、財布に数万円を入れておき、普段の買い物は財布のお金を利用し、財布のお金とは別に、 銀行にもお金を入れておくのが一般的でした。ところが、フェリカーは現金を極力持たない上に、財布の中に入れていたとしてもなるべく買い物で利用しないようにしていたのです。

彼らは銀行口座のお金だけを利用している感覚を持ち、言うなれば、「手持ちではない」銀行残高も含めて、自分の財布と認識しているといえるでしょう。

ポイントは付加価値ではなく通貨として見ている

電子通貨を利用した時に、ポイントが付加されることがありますが、一般的にはポイントは特定のサービスに対してしか使うことができず、狭い範囲で特定の財と交換するためのおまけとして捉えられてきました。しかしフェリカーたちはポイントを「おまけ」ではなく、現在どれくらいの価値がポイントそのものにあるのか、再利用できるのか、投資できるのかといった風に、何か他の価値と交換するための第二の通貨として捉えています。

つまり、ポイントはフェリカーにとっては貨幣と同等に扱われているため、限定されたシチュエーションで利用可能なクーポンよりも多様な活用の仕方のあるポイントの方を好まれることが分かりました。

最近ではドコモポイントの投資も話題になりましたが、電子ポイントはもはや金券よりもさまざまなところで使えるものになってきているのです。

さらに、今後もう少し先の未来に一般化するとわれわれが予測しているのが、「現金は機能的価値より情緒的価値のほうが重視されるようになる」というトレンドです。

かつて、情報を伝える手段として手紙しかなかった時代は、それが当たり前だったためそこに情緒価値はありませんでした。しかし、そこに電子メールが登場し、手紙には儀礼、お礼、特別なときという情緒的要素が加わりました。

さらにSNSなどが登場すると、メールですら儀礼的な要素を持つようになり、もはや紙は儀式やハレといった非常に思いが込められたレベルまで情緒的な価値が高まってきていますが、おそらく現金もそうなっていくでしょう。

トライブのインタビューで「のし袋に入れている30000円のご祝儀は相当面倒くさいから30,000円以上の価値がある」という発言がありました。

今現在、多くの企業は「現金を利用してモノを買ってもらうということに、情緒的な価値はない」と思っていますが、今後は人々の情緒的な側面を刺激することにブランドのキャンペーンを使ったり、現金を払うという行為は価値のある行為だと再定義することで、さまざまな行動のデザインができ、現金が新たなジョブの解決手段になっていく可能性があるでしょう。

記事ではこれ以上はご紹介できませんが、ほかにもトライブレポートにはおもしろい機会領域が数多く掲載されているため、お問い合わせの際は、まずは気になるトライブレポート名と「〇〇ビジネスをやっています」ということをお伝えしていただければ、我々がトライブレポートをもとにビジネスアイデアをいくつかご提案し、コンサルティングさせていただきます。

あとは皆さんの会社がすでに持っているリソースと掛け合わせて、新規事業の場合はビジネスモデルを変える、または新商品・新サービスを生み出すなど、それぞれの課題に対応いたします。

たとえば、新商品を作りたいという会社の場合、SEEDERが提携している会社とこのトライブが世の中に何万人いるかを調査し、その人たちにテストマーケティングしてみて伸ばしていくことも可能です。また、サービス開発の場合もプロトタイプを作ることができますし、ビジネスモデルの場合でも、ビジネスモデルに関する検証された知識を手に入れるPoB(Proof of Business)のプロセスに入ることも可能です。

今回はフェリカ―についてご紹介しました!

いかがでしたでしょうか?お仕事のヒントになるアイデアは見つかりましたか?

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