トライブ紹介 ハイブリッドペアレンツ【1/2】
私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!
トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
今回は「ハイブリッドペアレンツ」をご紹介します。
1. 本レポートの概要
かつて日本の子育ては、母親が家で専門的に行い、父親が外で稼ぐという分業体勢の上で行われてきました。しかし、近年共働き世帯の増加や女性の社会進出に伴い、こういった子育ての常識は過渡期を迎えています。
男性の育児休暇の取得率は増え、フリーランスとして働きながら子育てを行う若い親は増加傾向にあります。また、周りの人を積極的に巻き込んだコミュニティでの育児も実践されており、旧来の子育ての価値観は大きく変化し始めています。
これは、ミレニアム世代に代表される人々の、常識に捉われない新たな子育ての実態であり、これからの親、そして夫婦の姿といえるのではないでしょうか。もはや性別による家事育児と仕事という境目は曖昧になっており、ハイブリッドであることが求められています。
また、彼ら自身は父親、母親という性別による役割分担をよしとはせず、それぞれが同等の家事育児スキルを持つ中で、それぞれのスケジュールを補う形でともに家事育児をする、「二人の親として見てほしい」というインサイトを持つことも分かりました。
本レポートでは、ミレニアム世代の夫婦の子育ての実態を調査しながら、これからの夫婦の姿を洞察していきます。
2. ミレニアル世代の子育て価値観の変化
SEEDERではこれまでもミレニアル世代のインサイトに関するさまざまな調査をおこなってきましたが、ミレニアル世代は、度重なる災害や経済危機を体験した世代であり、国や企業に対する絶対的な信頼があった親世代とは異なるライフスタイルを追求することが特徴的な世代といえます。
幼少期から思春期にこれらの体験を何度もした結果、絶対的な安定などないことを前提に「自分の力で生きていくべき」と考えるようになっています。そのため、住居、働き方、生き方に関しても多様な価値観を持っていますが、ミレニアル世代を理解する上で重要なインサイトのひとつが「自分が心地よいと思うことを追求する」というものです。
たとえば、KEMIO氏の「脳の容量が足りないから、嫌なことはスワイプしてどんどん消して、ウチはウチのために生きていく」(出典:ダ・ヴィンチニュース 嫌なことはスワイプして消す。夢をかなえ続けるkemioの「棺桶までランウェイ」な生き方 https://ddnavi.com/review/532297/a/)といった発言や、りゅうちぇる氏の「パパとママではなくて、「僕とぺこりん」。個人と個人で考えたとき、僕らに性別による分担って似合わない」(出典:日経DUAL パパのカタチ”はパパの数だけあっていい!https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/082200115/022100007/)といった発言に象徴され るように、ミレニアル世代からは、これまでの風習に従うのではなく、自分のいいと思うこと、正しいと感じる行動をし、周りと比べずに自己表現をしている同世代の著名人が支持されています。
また、ミレニアル世代は親世代では常識とされていた”子育ての常識”を引き継いでいないことも大きな特徴のひとつです。
彼らは親世代が経験した経済的豊かさなどの成功体験は自分たちには当てはまらないと考え、たとえば、
・自然分娩で子供を産むことが大事
・母親が専門的に子育てを行うべき
・母乳で子育てをすることが大切
・大企業に努めて終身雇用の元で安定的に子育てをするべき
・子供の受験に有利な裕福なパートナーと結婚をするべき
といった、高度経済成長期以降に善しとされ引き継がれてきたあらゆる価値観がありましたが、「結婚したのは緊急連絡先をつくるため」(出典:朝日新聞DIGITAL 結婚したのは、緊急連絡先をつくるため 石井リナ×佐々木ののかhttps://www.asahi.com/and_M/20180329/150901/)と発言するなど、これらの価値観を鵜呑みにせず、新たなパートナーシップを築こうとしています。
3. ハイブリッド・ペアレンツのセグメント
今回はミレニアル世代の価値観に代表されるような、過去の常識に囚われない子育ての象徴として、以下の3つのセグメントを調査しまた。
#01 :エンライテッド・ペアレンツ
育休がきっかけとなって転職などを行っており、自分のキャリアや人生観にとって育児が重要な意味合いを見出している人たち。
キャリアの中で育児休暇を取得しており、そのことがきっかけとなって自身のライフワークバランスや人生観を見直し、子育てをする前は想定していなかった・踏み出すことができなかったような生き方を実践している。また、体を酷使するような働き方をやめ、家族との時間と自分の感性を大事にするような生き方にシフトすることで、人生をより有意義にすることができると考えている。
#02 : チームビルド・ペアレンツ
自分にできない育児を自覚しているため、育児を夫婦の力だけで行わずに積極的に周りを巻き込んで行っている人たち。
子育てを自分一人で行おうと考えておらず、地域コミュニティやシェアハウスの住人など、家族以外の人に積極的にみてもらいながら、自分はトレーナーのような距離感で子供と関わっている。また、SNSで子育ての様子を配信するなど、人の注目を集めるためのコンテンツとして子育てを捉えている。子供が自分以外の人と関わることによって、むしろ多くのメリットを与えることができると考えている。
#03 :キュリアス・ペアレンツ
現職を止めることなく育児をおこなっており、子育てを自分の人生のイベントのひとつとして他と並列に位置づけている人たち。
会社の代表やフリーランスで働くなど、仕事における個人の裁量が多く、ロールモデルがないような働き方・生き方を実践している人たち。子育ての優先度が必ずしも高くなく、あくまでも自分の人生のイチ経験として早期に取り組むことに価値を感じている。
家事代行サービスやパートナーに育児や家事を頼むことを厭わず、自分のための時間を捻出するためにまわりの環境や仕組みを変えていきたいと考えている。
次回は「ハイブリッドペアレンツ」の3. ハイブリッドペアレンツのセグメント(続)、4. 生活者変化行動仮説:築いてきた関係を忘れるための時間を意識的に確保するようになるについてご紹介します!お楽しみに!
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